新技術について

1.コイルの巻数、周波数

 アルミや銅製の鍋は、材質が非磁性かつ低抵抗のため、 (1)弱い磁力では鍋側に電磁誘導による電流が流れにくい、 (2)抵抗が低いので電気が流れても熱が発生しにくいなどの理由で、 従来の電磁調理器では加熱できませんでした。開発品では加熱コイルを上下2段型にし、 上段コイル50ターン、下段コイル15ターンで構成し、 コイルの巻数を増加させることで磁力を高めています。
 従来の鉄、ホーロ、ステンレス鍋では、 周波数は20kHzで下段コイルのみ(15ターン)使用し、 アルミ、銅製の鍋では周波数を50kHz程度に上げ、 上段下段のコイル(65ターン)を使用します。



2.コイルの低損失化と高効率インバータ

 従来のコイルやインバータにおいては、 単にコイルの巻数を増加させ高速スイッチング素子により周波数を上げるだけでは、 損失が大きすぎて、アルミ、銅鍋を効率よく電磁加熱できませんでした。 そこで、コイルの低損失化と高効率インバータの開発により、アルミ、 銅鍋の効率的な電磁加熱を実現しました。

 コイルの損失は、周波数が増加するにつれて電流が銅線の表面にしか流れない 「表皮効果」により発生します。それを低減するために、 コイル素線の細線化による表面積の拡大とその細線を束ねてよる「より方」の工夫をし、 低損失コイルを開発しました。
 インバータにおいては、大きな損失となる過大な電流が高速スイッチング素子である IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)に流れるのを防ぐ制御方式を採用することで 高効率を実現しました。



3.材質の検出方法

 コイルに一定の間隔をおきながら電圧をかけ、 コイルに流れる電流の量をセンサーで測定することで、 電磁調理器に置かれた鍋の材質を判別します。 鉄系の鍋は抵抗が大きいため、コイル側で電流が流れにくいのに対し、 非鉄系の鍋は抵抗が小さいため、コイルに電流が流れます。 この電流をセンサーで感知することで、鍋の材質を判別し、 コイルの巻数と周波数を自動で切り替えます。



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