開発の背景と狙い

 インターネットをはじめとする近年の電子情報分野の発展にともない、 電子化された文書や画像情報をいつでもどこでも見たいという要望が 高まってきています。携帯情報端末やサブノートパソコンなどの 携帯情報機器においては、軽量で長時間の使用が求められています。

 液晶表示装置においては、バックライトが消費電力の大半を 占めています。バックライトが不要となる反射型方式は、 大幅な低消費電力化を可能とするだけでなく、軽量化や 薄型化も実現できるため、携帯情報機器に最適な方式です。
 しかし、現在実用化されている反射型液晶表示装置は、 画面が暗いことや色数が少ないことなどの理由から用途が 極めて限定されています。

 反射型で明るい表示を実現するためには、光の利用効率を 高めることが重要です。しかし、従来の方式では、 偏光板によって光の約半分が失われ、また、白色表示の場合でも カラーフィルタによって光が吸収されるため、原理的に光の 利用効率の向上が困難でした。

 今回開発した反射型液晶表示装置では、印刷分野などで 用いられている減法混色の3原色であるシアン(薄青色)、 マゼンタ(赤紫色)、イエロー(黄色)の各色を表示する 液晶層を3層に重ね、各層ごとに光の吸収状態と透過状態を 制御することに成功しました。各液晶層には、液晶に色素を混合した ゲストホスト方式と呼ばれる表示方式を用いており、カラーフィルタや 偏光板を使わずに明るいカラー表示を実現しています。このため、 広く見やすい140度の広視野角を実現しながら十分な明るさを 維持しています。

 低消費電力化、軽量・薄型化を実現する今回の新技術によって、 携帯情報端末やサブノートパソコンなどの携帯情報機器の 表示装置として、広く用いることができます。将来は、 ノートパソコン向けなどのより大きなディスプレイへの応用も可能です。

 なお、本開発品は、3月4日から9日まで有楽町駅前の 東京国際フォーラムで開催される 「TOMORROW21東芝技術展」に出展する予定です。


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