薄型大画面ブラウン管の開発について 1997年3月3日
当社は、平坦な表示面をもつ箱型真空容器の後ろ側に、 複数の電子銃、偏向ヨークを取り付けた構造によって、 奥行き約20センチメートル、重量約20キログラムの薄型、 軽量のフラットな32型の大画面を実現したブラウン管を 世界で初めて開発しました。 今回開発した32型モデルでは、6型の小形ブラウン管に 相当する小画面を縦に3個、横に8個、合計で24個配置し1つの 大画面を合成する構造になっています。 背面に配置する小形ブラウン管の数を増やしたり、 それぞれの画面を大きくすることで、40型以上の大画面も実現可能です。 本開発品は、各小画面の境界に支持材を取り付けることで、 ブラウン管に加わる大気圧を分散して支えることができます。 このため、従来のブラウン管では無理であった薄くて平坦なガラスが使用でき、 軽量化が図れました。支持材の先端は楔状になっており、 この先端が蛍光体スクリーンのブラックストライプに位置出しされるので、 前面からこの支持材が見えることはありません。 また、複数の小形のブラウン管を同時に表示させるため、 きわめて明るい画面表示が可能となります。本開発品では、 従来のブラウン管より明るくできる分、陽極電圧を下げ、 偏向ヨークの消費電力を低減させています。 従来のブラウン管はRGBの3色に対応し3本の電子銃を用いていますが、 本開発品は、1本の電子銃から発射された電子ビームを、 偏向ヨークに入射する前に補助偏向し、 RGB各色に対応した3つの軌道を作りシャドウマスクに入射させることで色選別を行います。 電子銃はモノクロ用の小形で簡略なものが使用でき、低消費電力化、低コスト化が図れるとともに、 1本の電子銃でRGB3色を表示するので、3色の色バランス調整も容易です。 本開発品は、液晶表示装置(LCD)やプラズマ表示装置(PDP)では原理的に難しい、 完全に無発光な状態から500cd/m2を超える高輝度状態までを忠実に表示することができます。 さらに大型テレビやパソコン用モニタで好評を得ている マイクロフィルター管技術を採用することによって、 さらに明るく、メリハリのある画像を表示できます。
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