次世代の高速ルータ技術の供与に関する合意について

1997年3月17日

株式会社 東芝
株式会社フジクラ


 株式会社 東芝(取締役社長:西室泰三)と株式会社フジクラ(取締役社長:田中重信)は、 東芝が開発した次世代の高速ルータ技術である「セルスイッチルータ」技術について、 東芝からフジクラへ同技術を供与する契約を締結し、 今後、両社で同技術の普及を図ることについて合意しました。

 フジクラは、東芝より「セルスイッチルータ」制御ソフトウェアのライセンスを受け、 今後、「セルスイッチルータ」技術に準拠した商品を開発します。
 フジクラが開発予定の製品は、東芝の「コアルータ CSR5300」と パソコンやワークステーションなどとを接続する「ネットワーク・インタフェース・カード 」です。

 「セルスイッチルータ」技術は、より高速なインターネット/イントラネットの 構築を実現するために東芝が開発した高速ネットワーク技術で、 「セルスイッチルータ」技術を採用したルータは、従来タイプのルータに比べ、 約10倍の高速性能と半分以下のコストを実現します。

 世界的規模で急速に発展しているインターネットは、ブラウザの検索をはじめ、 音声・動画像のリアルタイム送信などにその利用法は拡大しており、 より大容量のデータを高速に伝送するしくみが求められています。従来タイプのルータは、 データのパケット転送を行う際に、全てのパケットごとの宛先を確認するソフトウェア処理を行っていますが、 同一宛先のパケットが数多く発生する特性のあるインターネット上のデータ伝送では、 ルータの処理能力がデータ転送遅延の原因となっています。

 これに対して、「セルスイッチルータ」では、データのパケット転送を行う際に、 従来のルータで行っていた全てのパケットごとの宛先を確認するソフトウェア処理に加えて、 同一の宛先のパケットが連続する場合などに、最初のパケットのみ宛先を確認し、 残りのパケットはハードウェアによる処理に切り換える「カットスルーパケット転送モード」(注1)を 採用しています。これにより、同じ宛先のパケットが連続するインターネット上のデータ転送の特性を活かし、 高速処理を可能にするものです。

 

(注1) 「カットスルーパケット転送モード」: ATMスイッチをパケットの転送エンジンとして活用する方式。 各パケットごとのソフトウェア処理を省くことにより、高速転送が可能となる。


 さらに、「セルスイッチルータ」は、 ATM交換網の通信方式であるSVC(注2)をサポートしており、 既存のLANやルータへの接続はもとより、高速ネットワークの構築が実現できるとともに 通信事業者などに導入が進んでいるATMネットワークにも接続ができます。

(注2) SVC(switched virtual connection):ATM交換網で使用される通信方式の一つで、 通信開始時にその都度相手を指定して接続する方式。


 また、「カットスルーパケット転送」の方式としては、現在の「フロードリブン(注3)」方式に加え、 より大規模なネットワークに最適な「トポロジードリブン(注4)」方式にも対応するデュアルモードを 今後採用する予定です。

(注3) 「フロードリブン」:カットスルーを行う際に、個々の通信毎に処理を行う方式で、 ネットワークの構成変化により柔軟に対応でき、きめ細かい品質確保が可能になる。
(注4) 「トポロジードリブン」:カットスルーを行う際に、 同一の通信相手先ごとにまとめて処理をする方式で、 より大規模なネットワークに適している。


 フジクラは、「セルスイッチルータ」の高速インターネットワーキングを、 エンドシステムが効率的に活用するためのソリューションとして、 「セルスイッチルータ」対応のネットワークインターフェースカードを ATM製品ラインナップに加えることを予定しています。

 東芝は本年6月に、「セルスイッチルータ」技術を用いた第一弾の商品として、 通信事業者、インターネットプロバイダ、 企業・大学などのネットワーク向けに2.5GbpsATMスイッチを内蔵したコアルータ 「CSR5300」などの投入を予定しており、今回の合意により、 同技術を用いた製品の幅広いラインナップを実現するとともに、 「セルスイッチルータ」技術を世界標準の技術とするべく、 事業を展開していきます。



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