次世代の高速ルータ技術の供与に関する合意について

1997年4月8日

株式会社 東芝
古河電気工業株式会社


 株式会社 東芝(取締役社長:西室泰三)と古河電気工業株式会社(代表取締役社長:古河潤之助)は、 東芝が開発した次世代の高速ルータ技術である「セルスイッチルータ」技術について、 東芝から古河電気工業へ同技術を供与することにより、今後、両社で同技術の普及を図ることについて合意しました。

 古河電気工業は、東芝より「セルスイッチルータ」制御ソフトウェアのライセンスを受け、 今後、従来から蓄積したルーティング技術を活かして、「セルスイッチルータ」をはじめとする次世代の高速ルータと、 既存のイーサネットなどのネットワークを接続するルーティング機器を開発し、ルータのラインナップを強化します。

 「セルスイッチルータ」技術は、より高速な インターネット/イントラネットの構築を実現するために東芝が開発した高速ネットワーク技術で、 「セルスイッチルータ」技術を採用したルータは、従来タイプのルータに比べ、 約10倍の高速性能と半分以下のコストを実現します。

 世界的規模で急速に発展しているインターネットは、ブラウザの検索をはじめ、 音声・動画像のリアルタイム送信などにその利用法は拡大しており、 より大容量のデータを高速に伝送するしくみが求められています。 従来タイプのルータは、データのパケット転送を行う際に、 全てのパケットごとの宛先を確認するソフトウェア処理を行っていますが、 同一宛先のパケットが数多く発生する特性のあるインターネット上のデータ伝送では、 ルータの処理能力がデータ転送遅延の原因となっています。

 これに対して、「セルスイッチルータ」では、データのパケット転送を行う際に、 従来のルータで行っていた全てのパケットごとの宛先を確認するソフトウェア処理に加えて、 同一の宛先のパケットが連続する場合などに、最初のパケットのみ宛先を確認し、 残りのパケットはハードウェアによる処理に切り換える「カットスルーパケット転送モード」(注1)を採用しています。 これにより、同じ宛先のパケットが連続するインターネット上のデータ転送の特性を活かし、 高速処理を可能にするものです。

(注1) 「カットスルーパケット転送モード」: ATMスイッチをパケットの転送エンジンとして活用する方式。 各パケットごとのソフトウェア処理を省くことにより、高速転送が可能となる。


 さらに、「セルスイッチルータ」は、 ATM交換網の通信方式であるSVC(注2)をサポートしており、 既存のLANやルータへの接続はもとより、 高速ネットワークの構築が実現できるとともに通信事業者などに導入が進んでいるATMネットワークにも接続ができます。

(注2) SVC(switched virtual connection):ATM交換網で使用される通信方式の一つで、 通信開始時にその都度相手を指定して接続する方式。


 また、「カットスルーパケット転送」の方式としては、現在の「フロードリブン(注3)」方式に加え、 より大規模なネットワークに最適な「トポロジードリブン(注4)」 方式にも対応するデュアルモードを今後採用する予定です。

(注3) 「フロードリブン」:カットスルーを行う際に、個々の通信毎に処理を行う方式で、 ネットワークの構成変化により柔軟に対応でき、きめ細かい品質確保が可能になる。
(注4) 「トポロジードリブン」:カットスルーを行う際に、同一の通信相手先ごとにまとめて処理をする方式で、 より大規模なネットワークに適している。


 古河電気工業株式会社は、15年以上前よりネットワーク機器/LAN機器分野に参入し、 物理層製品からWANを利用したLAN間接続装置まで様々な製品をINFONET (インフォネット)という商品名で市場に投入してきました。現在、インターネット、 イントラネットに代表される情報通信ネットワーク市場はめざましい勢いで拡大しており、 同市場に対して本年(1997年)2月には、SOHO市場を狙って、 ISDN/専用線対応低価格アクセスルータ“ムーチョ(MUCHO)”シリーズを発売しました。
 今回、「セルスイッチルータ」技術を導入することにより、 従来の実績のあるミドルレンジアクセスルータに加え高速ルータの分野に製品ラインナップを強化する予定です。

 東芝は本年6月に、「セルスイッチルータ」技術を用いた第一弾の商品として、 通信事業者、インターネットプロバイダ、 企業・大学などのネットワーク向けに2.5GbpsATMスイッチを内蔵したコアルータ 「CSR5300」などの投入を予定しており、今回の合意により、 同技術を用いた製品の幅広いラインナップを実現するとともに、 「セルスイッチルータ」技術を世界標準の技術とするべく、事業を展開していきます。



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