新会社設立の背景と狙い

 近年のマルチメディア・デジタル技術の進展の中で、 放送事業におけるデジタル化・多チャンネル化が世界的規模で急速に進んでいます。 しかし、これらのデジタル放送サービスは、 いずれもホームユースでの利用を中心とした固定受信が対象であり、 国内だけで7000万台にのぼる自動車を中心とした移動体へのサービス提供については重点がおかれていませんでした。
 一方、92年の世界無線主管庁会議において、 移動受信可能な衛星デジタル音声放送向け周波数の分配が決定されるとともに、 移動体受信に適した画像圧縮符号化技術であるMPEG4や大電力・大型衛星技術の進歩により、 技術的にも移動体向けのマルチメディア・多チャンネル放送の実用化が可能となってきました。
 こうした動きを受けて、欧米ではモバイル向け衛星音声放送サービスの実用化が進められています。 国内では、昨年7月に東芝を中心に民間企業13社が「Sバンド・モバイル・マルチメディア衛星放送サービス事業研究会」を結成し、「RadiVision構想」をベースに技術的内容や市場性の確認を進めるとともに、9月には郵政省に本サービスの提案を行いました。トヨタ自動車は、ITS(高度道路交通システム)および情報通信への取り組みの一環として、自動車向けの大容量の情報提供を可能とする衛星の利用可能性の検討および実験を含む研究開発を進めてきました。また、富士通は、ITSやモバイル・コンピューティング分野を有力な市場と位置づけて研究開発に取り組んできており、モバイル・マルチメディア衛星放送サービスを、こうした新分野の通信インフラとして注目してきました。
 今般、これらの3社を中心に本サービス内容の事業化に向けて合意に達したことから、 放送事業会社を設立し、具体的なサービス開始に向けての活動を開始することとなりました。


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