強誘電体メモリ(FeRAM)の共同開発について

2000年12月21日

携帯電話用メモリとして早期市場投入図る

株式会社 東芝
インフィニオンテクノロジーズAG

 株式会社東芝(以下、東芝)と独・インフィニオンテクノロジーズAG(以下、インフィニオン)は、 次世代メモリである強誘電体メモリ FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)の共同開発で合意しました。 本提携により開発スピードを加速することで、 急増する携帯電話向けのメモリとしてFeRAMの早期市場投入を図ります。

 FeRAMは、消費電力が低く、電源を切ってもデータが消失しない不揮発性メモリで、 同じ不揮発性メモリであるフラッシュメモリと比べ高速なデータの読み出し・書き換えが可能です。 また、FeRAMはプログラムメモリとファイルメモリの両方の性質を併せ持つため、 携帯電話に使用されているSRAMとNOR型フラッシュメモリを積層したマルチチップパッケージモジュールの置き換えをはじめ、 モバイル製品、無線タグ、ICカード、ゲーム機器など広範な応用が可能なメモリとして期待されています。

 東芝は、すでに独自で開発した8メガビットFeRAM(2001年3月サンプル出荷予定)において「チェーン構造」を考案したほか、 1T1C(1トランジスタ1キャパシタ)のセル構造、 強誘電体膜のPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)プロセス技術を有しています。 一方、インフィニオンは、読み出し・書き換え回数増加に関するノウハウや製造工程におけるシリコンウェーハの金属汚染防止技術を持っており、 両社の技術を持ち寄ることで、大容量FeRAMの開発を加速していきます。

 今回の両社の提携では、第1段階としてすでに東芝が開発した8メガビットFeRAMの評価、 マーケティングを共同で行ないます。そして、第2段階として、 両社の技術を持ち寄りFeRAMのさらなる大容量化を目指し、 COP技術(Capacitor On Plug)を実現し、2002年末までに32メガビットFeRAMの共同開発、 試作を行ないます。将来においては、 市況や開発状況によっては64メガビットもしくは128メガビットの開発までを共同で行い、 市場への早期参入を図ります。

 なお、共同開発は、2001年1月初頭から東芝のアドバンストマイクロエレクトロニクスセンターおよび半導体システム技術センター大船分室(いずれも横浜市)で行い、 インフィニオンから20人の技術者が派遣されます。 両社は、大容量FeRAMに関するプロセス技術の開発、設計、評価を共同で行なうことになります。

*チェーン構造: 従来直列接続されていた強誘電体キャパシタとトランジスタを並列接続した構成のメモリセルをチェーン(鎖)状に配列した構造。 これにより、不揮発性メモリとして世界最高速のデータ読み出し・書き込み動作とチップ面積の縮小を実現できる。

インフィニオンテクノロジーズAG概要

会 社 名 Infineon Technologies AG
代 表 者 Ulrich Schumacher(ウルリッヒ・シューマッハー)
設 立 1999年4月1日(独・シーメンス社の半導体部門が独立)
本 社 St.-Martin-Str. 53, D-81541 Munich, Germany
売 上 高 72億8,000万ユーロ(2000年9月期)
事業内容 有線通信と無線通信、セキュリティシステムとスマートカード、 自動車電装と産業機器などのアプリケーションへ向けた半導体デバイスおよびシステムソリューションと、メモリ製品の供給
従業員数 29,000名


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