設計・開発支援システムにおける協業について

2001年3月26日

株式会社 東芝
松下電器産業株式会社

 株式会社東芝(以下、東芝)と松下電器産業株式会社(以下、松下電器)は、 製造現場のIT化を実現するソリューションシステムの開発・構築および提案活動で協業することについて合意しました。 まずは、3次元CAD*1やPDM*2システム、ドキュメントシステムの分野で協業していきますが、 今後は、更なるシナジー効果の発揮に向けた協業のあり方について検討を重ねていきます。

 製造現場では、設計、開発、調達、生産とが相互に連携し合った効率的な体制が求められており、 図表や文書等の設計・技術データを体系的に保管・管理し、 各現場で共通のデータベースとして活用できる統合的な情報管理システムの導入が重要となってきています。
 今回の協業は、3次元CADやPDMを早くから自社工場内で活用し、豊富な納入実績と活用ノウハウを持つ東芝と、 自動車や造船等の大規模事業場の製造現場で活用されるドキュメントシステムにおいて高い提案力を有し、 多くの納入実績を持つ松下電器の相互の強みを融合させるものです。 この協業によって両社は、設計から調達、製造現場での作業手配までの一連の業務の流れをドキュメント管理するシステム、 各種データを体系化するシステム等の開発、構築およびコンサルティングサービスで連携して取り組みます。
 両社の協業での主な機能分担は次のとおりです。

東芝: CAD・PDM・ERPの連携へのコンサルおよびSI、プロダクト提供、保守
松下: ストレージ・出図プロダクト提供および営業活動

 両社は、日本型の工場の製造現場業務に精通し、かつその変革にも積極的に取り組んで来ており、 その経験と実績に基づいたノウハウを持ち寄ることで、最適なコンサルティングとソリューションを提供し、 幅広いニーズに対応していけるものと考えています。

 なお、両社が連携してシステム構築する事例として、現在、川崎重工業株式会社・破砕機事業部向けで取り組んでいます。 同社は、競争力のある製品を市場に素早く出荷する体制の整備を目指し、 製品ライフサイクル(受注~出荷・保守まで)に関する情報を管理するシステムの構築に取り組んでおり、 今回、基幹業務システム(ERP)に連動させたシステムとして、設計部門の情報管理(PDA・CAD)、 ドキュメントシステムを活用したトータルソリューションを採用頂くこととなりました。

 両社は今後、組立加工メーカや重工メーカ等に、 設計・技術データに関連した現場業務支援システムのトータルソリューションをOneStopで提供し、 3年間で約200億円規模の売上を目指していきます。

*1 CAD:Computer Aided Design コンピュータによる開発設計支援
*2 PDM:Product Data Management 製品データ管理

協業の背景

 今年が「BtoB(企業間の電子商取引)元年」と言われるように、 各企業は競争力強化に向け、製造現場のIT化を本格化させています。 IT化を進めるメーカーでは、欧米流のERPを導入する動きが多く見られますが、一定の効果は見込まれる反面、 急激かつ大幅な業務プロセスの見直しが伴います。 また、そのシステム化においては、一部門の部分最適ではなく、企業全体、 グループ企業や部品ベンダーをも巻き込んだ広い範囲での全体最適化が求められており、 製造現場のIT化はかなりの難題となっています。
 こうした中、IT化の成功事例を見てみると、モデル部門の特定業務分野において、現場の意見を反映させてIT化し、 その実績を踏まえて、徐々に他の部門や業務にも変革させて行く「StepByStep」の取り組みが有効であると考えられています。 「StepByStep」でIT化を進める場合、最初に取り組む業務分野としては、 既にドキュメントシステムを導入し電子データ化されている分野や、 生産の根幹をなす製品データを扱うPDMシステムの分野から着手されるケースが多く見られます。 また、製造現場では過去の図面の継続使用や原寸図面での確認、手書きの指示などが発生しやすいため、 紙資料を画像化して取り込む「ドキュメントマネジメント」のIT化も先行的に取り組まれるシステムです。
 これらから、PDMに強い東芝とドキュメントに強い松下電器の連携は、 IT化の導入において着実に投資対効果が上げられる組み合わせであり、 両社の実績からくる信頼感と提案力においてシナジー効果を発揮し、互いの営業力を高めるものと考えています。
 東芝は、自らがリファレンスモデルとなるべく製造現場のeカンパニー化の取り組みに注力しており、 一方、松下電器は、21世紀型の製造業の必要条件として、ITを用いた製造プロセスの抜本的改革に注力しています。 両社は共に典型的な日本型工場において製造現場のIT化に取り組んでおり、 日本の慣習を踏まえたコンサルテングサービスやシステム構築、運用・管理において顧客の経営課題を共有した最適な提案が提供できるものと考えています。

協業における両社のメリット

東芝 ・PDMシステムのビジネスチャンス拡大
・納入事例の増大によるテンプレート化(価格競争力の強化)
松下電器 ・設計・技術部門へのトータルソリューションのビジネスチャンス拡大
・システムコンサルティングを請負う体制の強化
・ドキュメントシステムのビジネスチャンス拡大

お客様からのお問い合わせ先

株式会社 東芝 産業情報システム事業部 電話:03-3457-4236
松下電器産業株式会社 法人総括部 電話:03-5460-2645


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