開発にあたっての技術的背景

 LSIなどの半導体部品を製造するためのシリコンウエハの材料となるシリコン単結晶は、シリコン融液の入った溶融坩堝から結晶をゆっくりと引上げることによって製造されていますが、単結晶の大型化により坩堝容積が大きくなるのに伴い、結晶融液の対流が大きくなることで不純物が混入しやすくなり、単結晶の品質が低下するという問題があります。 一般に、この品質低下を防止するために、シリコン融液に磁界を印加し、融液の対流を抑制するシリコン単結晶引上げ方法(MCZ(Magnetic Field Applied Czochralski)法)が採用されています。
 現在、この磁界印加は、NbTiなどのいわゆる金属系材料を用いた超電導コイルによって行われていますが、このコイルの動作のための冷却システムには、高価で希少な4.2Kの液体ヘリウムが使用されています。
 一方、1986年に発見された高温超電導導体は年々特性が向上し、臨界温度が110Kと高温のAgシースBi2223線材を用いた、小規模なコイルが開発されてきています。
 この高温超電導導体を、上述のシリコン単結晶引上げ装置に使用することで、高温での動作が可能となり、液体ヘリウムを使わずに、極低温冷凍機のみによるコイル冷却でシステム稼動ができることから、省エネルギー効果の面でも、実用レベルの能力を備えた高温超電導マグネットの開発が期待されていました。


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