プラスチックから金属まで同時に撮影できるX線透視撮影装置の開発について

2001年7月9日

レターオープナーの撮像例 新方式(左)、従来方式(右)

 当社は、独自開発のシート状カラーシンチレータ(蛍光板)と、CCDカメラを組み合わせることで、非破壊検査などにおいて、プラスチック筐体と内部機械といった、X線透過率に違いのある対象物を同時に撮影することができる簡便なX線透視撮影装置を開発しました。

 X線撮影装置(レントゲン)は、映したい部分とその周辺部とのX線透過率の違いを利用して撮像するシステムとして医療用・産業用に古くから利用されていますが、特定のX線透過率の対象物を撮影するのには適しているものの、X線透過率の異なる部位で構成された対象物全体を映し出すことは困難でした。 X線CTスキャナーなどでは、連続撮影して得たデータを高性能のコンピューターを用いて高速処理することで、X線透過率の違いを断層映像とし、対象物全体の映像を映し出すことが可能ですが、複雑で、高価な設備が必要となります。 そこで当社は、X線に対して、赤(R)・緑(G)・青(B)の3原色で発光し、透過量に応じて発光割合の変わるシート状カラーシンチレータ(蛍光板)を開発し、従来と比較して約100倍*1のダイナミックレンジを実現することで、シンチレータとCCDカメラとを組み合わせただけの簡便なシステムで、X線透過率の異なる物質を同時に撮影できる方法を考案しました。

 本システムは、まず火力・原子力発電所や石油、化学コンビナートでの配管減肉観察や異物混入検査に適用できます。 また、大面積のカラーシンチレータを用意することで、従来のX線透視撮影装置では撮影できなかった、大きな対象物の透視撮影も可能となります。 将来は、CCDカメラの解像度向上や、画像処理のためのソフトウェア開発により、半導体部品検査装置や空港の手荷物検査装置、医療用診断装置などへの応用も可能です。

*1 照射するX線の条件を同一にした場合。


開発のポイント
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添付資料
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