火力発電所向け蒸気タービン用スチール製最終段動翼の共同開発について

2002年4月8日

世界最大の排気環状面積を実現

テストロータ
スチール製最終段動翼

 当社は、米国のゼネラル・エレクトリック社(以下GE社)と、火力発電所向け蒸気タービン用最終段動翼として、スチール製では世界最大の排気環状面積を持つ、48インチ(50Hz機:3,000rpm用)及び40インチ(60Hz機:3,600rpm用)の高性能新翼を共同で開発しました。

 二極機用のスチール製長翼は、遠心応力の制約により50Hzで42インチ、60Hzでは33.5インチが限界とされ、これを超える長さのものについては、鉄よりも比重が軽いものの価格の高いチタン材を使用する必要がありました。そこで、遠心応力に耐えるスチール製の長翼の実現を目指して、GE社から引っ張り強度に優れたガスタービン圧縮機の動翼材料の技術を、東芝からは材料の強度を高める蒸気タービンロータの改良熱処理技術を持ち寄り、従来の40インチチタン翼の10年以上に亘る運転実績で培ったデータを基に、最新の構造設計と、空力設計技術*1を融合し、高性能な遷音速翼列形状*2を有するスチール製長翼を実現しました。

 新翼は、従来のチタン翼と比較して大幅なコストダウンを実現するとともに、最新の空力設計技術の適用によりタービン性能の向上も達成しています。

 この新翼開発の成功は、蒸気タービン及びガスタービン事業における両社の長年の友好的な協力関係をベースに、設計・技術者が共同で開発プロジェクトチームを編成し、両社の最先端技術を結集させた成果によるものです。また、開発の過程においては、GE社のグローバルリサーチセンターと航空エンジン部門、東芝の電力産業システム技術開発センターがそれぞれ保有する先端技術を採り入れています。
 また、今回の開発プロジェクト推進のために、シックスシグマによる品質管理手法を使用したほか、翼の空力設計には最新の3次元数値流体力学(CFD)*3を、機械構造設計には詳細な有限要素法解析(FEA)モデル*4を活用しています。新翼の信頼性と空力性能は、東芝とGE社の試験設備で検証されています。

 なお、新翼の製作は、東芝とGE社の合弁会社である東芝ジーイータービンコンポーネンツ株式会社(横浜市)の最新鋭羽根工場で行い、2003年以降の国内外の複合発電プラントと通常汽力発電プラントに標準的に適用していきます。

*1 試験や解析によって得られる情報から、流れの乱れを最小にして流れを制御する最適形状を求める技術
*2 入口で亜音速、出口で超音速となる高速流れで高性能を発揮する翼列翼型
*3 流れを微小な要素に分割し、物理方程式を単純化して数値的なシミュレーションを行なう方法: Computational Fluid Dynamics
*4 構造物を小さな多面体要素に分割して応力分布を解析するための計算格子


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