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与信管理システムに必要な機能をネットで提供
XBRLとXML Webサービスを用いた開放型与信情報サプライチェーン
世界初の共同実験をWebで公開


2002年6月21日

東京工業大学
株式会社 東芝
株式会社 東京商工リサーチ
富士通株式会社

 この度、東京工業大学(以下 東工大)、株式会社 東芝(以下 東芝)、株式会社 東京商工リサーチ(以下 東京商工リサーチ)、富士通株式会社(以下 富士通)はXBRL(*1)とXML Web サービス(*2)を活用した「与信情報サプライチェーン」の実証実験システムを共同開発し、本日から東工大のWebサイト(http://www.craft.titech.ac.jp)で公開します。

 与信情報サプライチェーンとは、取引先企業の与信管理に必要な財務情報の「提供」、「加工」、「評価」といった専門サプライヤーが提供するサービスと、ユーザ企業の与信管理システムをインターネットを介して直接結びつける仕組みです。本実証実験では、財務情報はXMLベースの国際標準言語であるXBRLを用いて記述し、各サービスはXML Webサービスとして提供します。情報の標準インターフェイス(XBRL)と通信の標準インターフェイス(XML Webサービス)を用いることにより、ユーザ企業は各サービスを必要に応じて連携させた高度な与信管理システムを容易に構築することができます(図参照)。
 財務情報の提供から加工、評価、利用までの一連のサプライチェーンをXBRLとXML Webサービスを用いて構築し、実証実験レベルで示したのは世界初です。

背景

 昨今の倒産被害の増加を受け(2001年度の倒産負債総額は16兆5196億円で戦後2番目・・・東京商工リサーチ調べ)、企業の与信管理のニーズが高まっています。しかし、与信管理システムの導入には財務情報の入力・加工機能や信用リスク評価機能などの専門性を要する開発および継続的な保守が必要であり、金融機関や大手商社以外の一般企業では十分なシステム化が進んでいませんでした。例えば、取引先の財務情報を紙で入手した場合、従来は専用の文字読み取り装置でシステムに読み込む必要がありました。また、信用リスク評価機能は、毎年モデルを更新する必要がありました。これらをすべて自社で開発運用する場合は、数億円規模の投資が必要となります。

実証実験の特徴

 本実証実験では、XMLベースの財務情報の国際標準言語であるXBRLを採用するとともに、「XBRLによる財務情報の提供(東京商工リサーチ)」、「XBRL財務情報の加工(富士通)」、「財務情報に基づく信用リスク評価(東芝)」、などの与信管理システムに必要な専門機能をインターネット上のXML Web サービスとして各参加企業が提供し、それらを利用・連携することにより高度な与信管理システムを容易に構築できることを示しました。
 XML Web サービスのプロトコルにはSOAPを採用しています。XBRLとXML Web サービスを用いた与信情報サプライチェーンを実証実験レベルで示したのは世界で初めてです。

各社の役割

 本実証実験は、東工大理財工学研究センターが推進する「信用情報共有基盤プロジェクト」の一環として産学連携で行われました。本実証実験において各社が提供しているXML Webサービスは以下のとおりです。

(1) XBRLによる財務情報の提供(東京商工リサーチ)
XBRL(第二版仕様)で記述された企業の財務情報を取得できるXML Webサービスを提供。XBRLの財務情報の作成/編集には、株式会社日立システムアンドサービスの「タクソノミエディタ&インスタンスクリエータ」および富士通の変換ツールを使用しています。
(2) XBRL財務情報の加工(富士通)
XBRL(第二版仕様)のタクソノミーとインスタンスから様々な加工情報を生成するサービスを提供。具体的には、指定された表示形式への変換サービス、簡易経営分析サービスおよび信用リスク評価に必要な情報の抽出サービスを行っています。
(3) 信用リスク評価(東芝)
企業の財務情報から倒産確率等の企業の信用リスク分析を行うサービスを提供。コアとなる信用リスク評価エンジンには、東芝が東工大と共同開発したCRAFTスコアリング法(*3)に基づき東京商工リサーチの財務情報データベースを原材料として構築したモデルを採用しています。

今後の展開/事業化の時期

 現在、XBRLはオーストラリア等の海外の公的機関で採用が進んでおり、日本でも2003年度に一部機関で導入が進み、2004年度には財務情報の提供者(公的機関、民間信用調査機関等)と利用者(与信管理システム、会計システム等)の共有情報基盤になると予想されています(市場規模推定100億円)。本実証実験の参加企業は日本におけるXBRL標準化推進団体であるXBRL Japan(*4)の主要メンバーでもあり、XBRLの普及状況を見ながら2003年度以降にXML Webサービスなどとして順次商用公開する予定です。与信情報サプライチェーンはXML Webサービスのもっとも有望な適用分野としても期待されております。

<図>

実験に関するお問い合わせ先

東京工業大学 理財工学研究センター   電話:03-5734-3516
株式会社東芝 研究開発センター   電話:044-549-2404
株式会社東京商工リサーチ 社長室   電話:03-3574-2014
富士通株式会社 プロジェクトA-XML XMLビジネス開発部   電話:045-476-4609


補足資料

(*1):XBRL (eXtensible Business Reporting Language)

 XBRL (eXtensible Business Reporting Language)は、各種報告用の財務情報を作成・流通・利用できるように標準化されたXMLベースの言語である。XBRL仕様により、ソフトウェアやプラットフォームに関係なく、電子的な財務情報の作成・流通・再利用が可能になる。財務情報にかかわる関係者(公開会社、非公開会社、会計専門家(監査人)、アナリスト、投資家、資本市場関係者、ソフトウェアベンダー、信用情報提供会社、政府)にとってシステム開発のコスト削減や利便性の向上等の効果がある。世界では、XBRLインターナショナルInc(http://www.xbrl.org)が推進しており、日本ではXBRL Japan(http://www.xbrl-jp.org)が開発、普及活動を行っている。今年秋にはXBRL国際会議が東京で開催される。

(*2):XML Webサービス

 XML Webサービスは、インターネットプロトコル上で利用可能なサービス・コンポーネントの総称である。通常のWebページでは、Webブラウザに表示するための言語であるHTMLを用いて、人間に対してサービスを提供していた。これに対して、XML Webサービスでは、データ記述言語であるXMLで記述されたメッセージをSOAP(注)プロトコルにより、人間を介することなく、システム間で直接サービスを提供できる。また様々なWebサービスを組み合わせることにより、新たな高付加価値サービスを提供することができる。たとえば、地図表示サービス、レンタカー予約サービス、気象情報サービスなどを組み合わせ、新たなドライブプラン作成サービスといったようなサービスを提供することが可能になる。日本でも、今年になってWebサービスを用いた商用システムが登場してきたが、本格的普及はこれから。XBRLを用いた与信情報サプライチェーンシステムは、Webサービスのキラーアプリケーションとして期待されている。
(注) SOAP (Simple Object Access Protocol)
XMLとHTTPなどをベースとした、他のコンピュータにあるデータやサービスを呼び出すためのプロトコル(通信規約)。 標準化団体W3Cにて策定。

(*3):CRAFTスコアリング法

 東芝と東京工業大学理財工学研究センター(CRAFT)が共同開発した信用リスク評価モデル構築手法。与えられた財務情報データベースを原材料として、データマイニングにより倒産確率を算出するモデルの構築手順を示している。CRAFTスコアリング法は以下の3つの特長を持つ。

(1) ロジックが利用者に公開されている
CRAFTスコアリング法のロジックは各種学会やWeb上で発表・公開されており、Webサービスの利用者が安心、納得して使うことができる。
(2) モデルの精度が安定している
データマイニング時に学習用データに過度に適合するモデルは実際のデータに適用した時には逆に精度が落ちる現象(過学習問題)があり、これを回避する新しい手法を導入した。具体的には、過学習によるモデル劣化の推定式を求め、劣化を考慮しつつ最適なモデルを選択する基準を示した。
(3) 景気動向を反映して倒産確率を算出する
倒産確率は景気動向に大きく影響される事を重視し、モデル作成時点と評価時点の景気動向の差を読み込んで倒産確率を補正することができる。

 なお、今回Webサービスとして採用した信用リスク評価モデルは、東京商工リサーチの2万社の財務情報からCRAFTスコアリング法に基づき2000年度に開発したものである。調べたい企業の過去2期分の財務情報と景気動向を入力するとその企業の1年後の倒産確率が算出できる。

(*4):XBRL Japan

 XBRL Japanは、XBRL Internationalが開発したXBRLに関するタクソノミー(用語体系)の日本語版の開発、普及などを目的として、平成13年4月に設立された。日本公認会計士協会をはじめ、財務情報サプライチェーンに関係する有力企業・団体が幅広く会員として参加しており、日本におけるXBRLの普及、日本の財務情報のためのタクソノミーの開発など精力的に活動している。

<参加大学および企業について>

(1) 東京工業大学 理財工学研究センター
「信用情報共有基盤プロジェクト」の一環としての本実証実験を推進し、公開用の計算機ネットワーク環境を提供。また、CRAFTスコアリング法を東芝と共同開発。
(2) 株式会社 東芝
信用リスク評価モデルの構築手法であるCRAFTスコアリング法を東工大と共同開発。本手法に基づく与信管理システムのパッケージソフトの開発販売も行っている。本実証実験では、信用リスク評価機能をXML Webサービスとして提供。また、XML Webサービス連携による与信管理デモシステムを構築。
(3) 株式会社 東京商工リサーチ
本実証実験では、XBRL(第二版仕様)で記述された企業の財務情報を提供する機能をXML Webサービスとして提供。
(4) 富士通株式会社
本実証実験では、XBRL(第二版仕様)のタクソノミーとインスタンスから様々な加工情報を生成する機能をWebサービスとして提供。


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