GE社との協業による次世代コンバインドサイクルH System(TM)の実証試験完了と商業販売開始

2003年7月8日

世界最高の熱効率を実現

バグラン・ベイ発電所(英国)
 
H System(TM)

 当社は、世界最高の熱効率60%を実現する次世代ガスタービンコンバインドサイクル発電*1システム「H SystemTM」を用いた発電プラントの本格的な商業販売を2003年第4四半期より日本市場を中心に開始します。

 H SystemTMは、燃焼温度を世界最高水準の1500degreeレベル*2とし、ガスタービンと蒸気タービンを直列に配置して発電機を駆動する世界最大の一軸式コンバインドサイクル発電システムで、蒸気冷却方式の採用により世界最高の熱効率60%を実現します。従来のガスタービンコンバインドサイクルシステムに比べ、低い発電コストを実現するとともに環境性に優れたシステムです。同システムは、1995年に米国ゼネラル・エレクトリック(GE)社が発表したもので、当社は1998年よりGE社による開発、設計に協力しています。

 今般、英国南ウェールズ地方、カーディフ市近郊にあるバグラン・ベイ発電所において、初の商用システムとしてH SystemTMが導入され、GE社による技術実証試験*3を進めた結果、商用システムとしての十分な性能が確認されました。当社は、今回の試験において、蒸気タービンを製造するとともに、建設・試運転・実証試験期間を通じて要員を派遣し協力してまいりました。9月には、最先端のガスタービン蒸気冷却技術を用いた世界初の商用コンバインドサイクルプラントとして運転を開始します。
 
 当社とGE社はH SystemTMの開発、設計、製造の各分野においてRSP方式*4で両社協力して事業を展開してゆく包括契約を1998年に締結しています。これに基づいて、東芝は蒸気タービン、発電機の設計、製造と共にGE社が設計した圧縮機を製造します。GE社はシステムの統合設計と性能の責任を担うと共にガスタービンを設計・製造し、システム制御を供給します。
 また、GE社はすでに東京電力(株)から富津火力発電所にて2008年以降順次運転開始予定の4号系列3基(合計出力152万キロワット)を受注しており、当社は包括契約の下で蒸気タービン・発電機の設計・製造と圧縮機の製造を担当します。

 日本はH SystemTMの単独市場としては最も大きな市場の一つと期待されます。今後当社はGE社との連携の下で、日本市場を中心にH SystemTMを使ったコンバインドサイクル発電所の積極的な販売活動を展開してゆきます。

*1 燃焼ガスによるガスタービンの出力に加え、ガスタービンからの排出ガスで蒸気を発生し、蒸気タービンを回転させることによって発電を行う、従来の火力発電エネルギー効率に比べて優れたシステム。
*2 ガスタービン入り口付近の燃焼温度。熱効率・発電出力に影響する。従来システムでは1300degree
*3 広範囲なフィールド検証試験は2002年11月に開始。ユニットは、全負荷を含むあらゆる条件で運転され、大気温度7degreeの時に出力53万キロワットを記録した。
*4 リスク・アンド・レベニュー・シェアリング方式。特定のパートナーとの間において製造の分担に対応し、リスクと収入を分け合う包括的契約方式。

本システムの特長

1. 世界最高の60%の熱効率の実現
 従来のガスタービンコンバインドサイクル発電システムが、ガスタービンの高温部に空気冷却方式を使っているのにくらべ、本システムは閉ループ蒸気冷却方式を採用し、ガスタービン動翼入口温度を高めて発電効率の向上を実現します。さらにコンバインドサイクル化によってガスタービンの排出エネルギで蒸気をつくり蒸気タービンを駆動するので、システム全体の熱効率は一層高められています。従来のガスタービンコンバインド発電システムとくらべ、一段高いレベルの発電技術ということができます。
   
2. 高い経済性
 燃料費は発電所の運用コストの主要部分を占め、例え1ポイントの熱効率向上でも40万キロワットないし50万キロワットクラスの発電所では寿命を通して平均的に20億円前後の運用コスト削減に値します。本システムは、従来システムに比べ2~3ポイント以上の効率向上が期待できます。さらに発電容量が大きいため、単位敷地面積当たり従来に比べ約45%大きい出力の発電所の建設が可能です。
   
3. 優れた環境性
 高効率なH SystemTMは、燃料消費を抑えるとともに、CO2の排出量削減にも効果を発揮します。また、蒸気冷却システムを採用して燃焼器温度は従来と同じレベルに保つ事ができるので、低いNOx排出濃度を維持しています。
   
注: H SystemTMはGE社の商標です。

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