手のひらサイズで1Wの出力を実現したモバイル機器用小型燃料電池の開発について
2003年10月3日
当社は携帯電話などのモバイル機器に使える手のひらサイズの小型燃料電池の開発に成功しました。開発品は出力1Wで、容積を140cc、重量130gまで小型化しています。
また、高濃度メタノールを発電時に生成された水で、発電に適した濃度に希釈する「希釈循環システム」の採用により、少ない燃料でも長時間の発電ができるため、高濃度メタノールを25cc供給した場合には約20時間の発電が可能になります。
今後はさらなる小型化と出力の向上(2W程度)をはかり、2005年中の製品化を目指し、開発を継続していきます。
現在、情報化社会の進展とノートパソコン、携帯電話、PDAなど、モバイル機器の急速な普及にともない、モバイル用電源装置について小型化が求められています。
このような中、当社は今回、「希釈循環システムの採用」と「送液、送気系統の改良とポンプの小型化」によって燃料タンクの小型化、システム全体の小型化、燃料の効率的利用を可能にした小型燃料電池を開発しました。
当社の開発した燃料電池の技術的ポイントは下記の通りです。
| (1) |
「希釈循環システム」の採用により、燃料タンク(カートリッジ)に高濃度のメタノールを供給しても、発電時に生成された水を利用し、発電に適した濃度に燃料を希釈することができるため、効率の高い発電をすることが可能となります。
また、高濃度メタノールはエネルギー密度が高いため、燃料タンク(カートリッジ)を小型化できます。(25ccまで小型化) |
| (2) |
送液ポンプなど補器を採用したシステムの場合は、部品数が増えるため、システムの小型化が困難でしたが、今回、「送液、送気系統の改良とポンプの小型化」により、燃料電池システム自体の小型化を実現しています。
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本開発の成果は、2003年10月7日〜11日に幕張メッセ(日本コンベンションセンター)で開催される通信、情報、映像の複合展示会「CEATEC JAPAN」にて参考出展する予定です。
また、当社は今回の開発品とともに、出力12W級のノートパソコン用小型メタノール燃料電池*1についても2004年中の製品化を目指し、開発を進めています。
今回開発した燃料電池の主な特長
| 1. |
「希釈循環システム」について
従来の燃料電池においては、長時間運転には多くの燃料が必要になるため、燃料タンクが大きくなってしまうという問題がありました。また、燃料電池は性能が出やすい3〜6%程度に燃料の濃度を設定しているため、エネルギー密度の関係から燃料タンクが大きくなり、燃料電池全体として小型化することが困難でした。一方、高濃度メタノールを採用した場合には、燃料タンクを小さくすることができるが、電解質膜をメタノールが素通りしてしまう「メタノールクロスオーバー」が発生し、発電効率が悪くなります。
今回、採用した「希釈循環システム」は、高濃度メタノールを燃料として採用しても、発電時に反応生成される水を利用(希釈)し、最適な燃料濃度に調整するシステムとなっているため、高濃度の燃料を採用しても効率の高い発電をすることが可能です。
高濃度の燃料を供給した場合には1Wで20時間程度の発電が可能になります。(携帯電話のリチウム電池*1
約6個分に相当します。)
さらに、高濃度燃料は体積エネルギー密度が高いため、燃料体積を減らすことができ、燃料カートリッジの小型化、およびシステム全体を小型化することが可能となります。
| *1: |
携帯電話のリチウム電池が、3.7V、600mAhの場合 |
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| 2. |
「送液、送気系統の改良とポンプの小型化」について
燃料電池に送液ポンプや送気ポンプなどの補器を採用した場合、燃料電池の触媒の能力にあわせて、メタノールを供給できるため、燃料を効率的に利用できるが、部品が多くなるため、システム全体が大きくなるという問題がありました。
今回、当社は「送液、送気系統の改良とポンプの小型化」によりシステム全体の小型化を実現し、エネルギー効率とシステムの小型化を同時に実現しました。
また、触媒の性能が十分に得られるようにセル、スタックの構成を改良しています。
| *1: |
セル(電解質をはさんだ電極で構成された単電池) |
| *2: |
スタック(単電池が集まって構成された電池) |
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開発品の主な仕様
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