次世代DVD「HD DVD」の事業化に向けた取組みと特長

7月26日から28日の3日間、国内のコンテンツ業界などに向け、「HD DVD」の説明会を開催。約150社、1,000名が来場予定。
株式会社ポニーキャニオンが「HD DVD」の2005年発売を表明。世界初の「HD DVD」コンテンツ発売へ。
「HD DVD」再生用ディスクの製造ラインについて、本年8月下旬から技術資料を公開。

 次世代DVD規格である「HD DVD」は、世界の約220社が加盟するDVDフォーラムが策定した、高精細映像など大量の情報を高密度に収録することのできる次世代光ディスクの規格で、現在、事業化に向けた取り組みが進められています。
 メモリーテック、NEC、東芝の3社は、7月26日から3日間、「HD DVD」の普及を加速するために、国内のコンテンツ業界向けの説明会を開催します。この3日間で、国内コンテンツ業界などから約150社1,000名の来場を予定しています。
 また、本日、ポニーキャニオンから、HDムービー「ムーンライト・ジェリーフィッシュ」など、世界で初めてとなる「HD DVD」のソフトの発売の発表がなされました。
 ディスクの量産体制整備に関しては、メモリーテック、東芝から、「HD DVD」ディスクの生産ノウハウを公開する旨の発表がなされました。(詳細はそれぞれのプレスリリースをご参照下さい。)
 今後も「HD DVD」の事業化に向けた取り組みを一層強化していきます。

「HD DVD」の特長は、

(1) 現行のDVDと同じディスク構造(0.6mmディスク2枚の貼合わせ構造)を採用し、現行DVDと同様の2層ディスクやハード機器製造面での容易さを確保していること
(2) 青色レーザ、新たなデータ処理方式、現行DVDに使われた画像圧縮技術をさらに性能アップした高効率画像圧縮技術を採用し、高精細画像の長時間収録/録画を可能にしていること

にあります。
 現在、これらの特長を活かしながら、2005年の事業化に向けて、DVDフォーラムでの規格策定作業と併行して、多方面での準備が進められています。

1. DVDフォーラムにおける規格策定作業
 日本電気株式会社と株式会社東芝が、2002年8月にDVDフォーラムに技術提案を行い、以後、フォーラムの技術部会のひとつであるワーキンググループ11(出席75社(04年3月時))で規格の策定作業が進められてきました。
 「HD DVD」にも、CDや、現在普及しているDVDと同様に、再生専用(ROM)、書換用(Rewritable)、一回書込み用(R)の用途の異なる3種類の光ディスク規格があります。再生専用規格は、昨年11月の規格(Ver.0.9)策定を受けて、今年6月に規格書Ver.1.0が発行されました。また、書換用規格は、今年2月に規格Ver.0.9が策定されています。1回書込み用規格も、今年9月の規格(Ver.0.9)策定に向けて技術検討を終え、テストディスクの検証作業がDVDフォーラムで進められています。
 画像圧縮方式としては、現行DVDで用いられているMPEG2の他、画像データ量をさらに約3分の1に圧縮できる高効率の圧縮技術であるMPEG4 AVCと、VC-9を採用することが6月に正式決定しました。
 
2. ハード機器の開発
 策定された規格は、DVDフォーラムを通じて技術内容が公開されており、これに基づいて、光ディスク規格普及の要となる映像再生用のプレーヤや、ノートPCに搭載するドライブ機器などの開発が進められています。録画機器については、現在DVD録画機で主流となっているハードディスクとのハイブリッド化による長時間録画とアーカイブ機能の実現をコンセプトとした商品開発が進められています。また、これらに使用する光学部品や半導体レーザ、LSIの準備も各社で進められています。
 
3. ディスク量産体制の確立
 再生専用ディスクの量産体制も実働可能なラインとして整備が完了しました。現行DVDとの共用製造ラインを整えることで、コンテンツ産業の「HD DVD」コンテンツへのスムーズな移行を可能にしました。現在2層ディスク1枚あたり3.5秒(現行DVDは約3秒)での生産が可能であり、現行DVDと「HD DVD」の生産切り替えも約5分で可能です。マスタリング(原盤製造)からディスク製造に至るまで、現行DVDとの製造設備の共用が可能となっています。
 書換用、一回書込み用ディスクについても、ディスクメーカーによる量産に向けた準備が進められています。
 
4. コンテンツ業界へのプロモーション活動
 再生専用ディスクに収録するコンテンツに関しても、米国ハリウッドの映画業界などへの定期的な技術説明を行っています。実際に映像コンテンツを提供いただいて「HD DVD」ディスクに収録した映像を評価いただくなど、積極的な情報交換を行ってきました。
 コンテンツ業界が特に関心を持っている、高度な著作権保護機能についても、先にAACS LA(Advanced Access Content System License Administrator)の組織が結成されるなど、具体的な事業化に向けた準備が整ってきました。

「HD DVD」の主な仕様・特長

1. 再生専用ディスクでは、量産が既に可能な30ギガバイトディスク(片面2層ディスク)を使うことで、8時間を超える高精細映像の収録が可能です。コンテンツ会社の様々なニーズに対応したバリエーションのある長時間の映像・音声の収録が可能です。
132分の映画コンテンツをHDビデオ画質で収録するのに使用する容量は8ギガバイトで済むため、再生専用ディスクでは、殆どの映画ソフトが、ボーナス映像も含めて、ハイビジョン画質で15ギガバイトディスク(片面1層ディスク)に収録できます。
2. 書換型では現在20ギガバイトのディスクの規格が決まっています。さらに30ギガバイトを超える大容量ディスクの規格も提案準備が進められていますが、20ギガバイトディスクでも、高性能の画像圧縮技術を採用することで、約330分(5時間半)のハイビジョン映像の録画を可能にしています。
現在普及しているDVDレコーダーはハードディスクとのハイブリッドタイプが主流ですが、「HD DVD」録画機においても、ハードディスクとのコンビネーションや、策定中の一回書込みディスク(HD DVD-R)を使うことで、ハイビジョン放送を録画し、アーカイブとして残すことが、現在のDVDレコーダーのように容易になります。

「HD DVD」の主な仕様・特長

 


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