デジタル家電向けメディア・プロセッサ「MeP」のハイエンド版コア「MeP‐h1」を開発

2005年8月17日

コンフィギュラブルプロセッサで世界初の1GHz動作を実現

 当社は、デジタル家電向けSoC*1などに組み込むメディア・プロセッサ「MeP」*2のハイエンド版コアとして、65nmプロセスで動作周波数1GHzの高速処理を実現する新コア「MeP‐h1」を開発しました。
 MePは、設計段階で用途などに応じて回路構成を変更したり、命令を追加するなどのカスタマイズが可能な当社が開発したコンフィギュラブル(構成が可変)プロセッサで、同方式での1GHz動作は世界初となります。

 新コアでは、高速化の手法として、命令を時分割して多重的に処理するパイプラインの段数を従来の5段から9段に増やしました。また、処理待ち時間の低減などの調整を行う「リオーダー・バッファ回路」を取り入れ、ユーザーが命令を追加するカスタム仕様に対してもプロセッサ全体の処理を常に最適化できる設計となっています。
 なお、本コアは、設計の記述データ(RTL)*3の形式で提供されるため、ユーザーが自由に論理合成でき、また、90nmなど他のプロセスへの適用も可能です。

 現在、マルチメディア関連機器の市場は急成長を続けていますが、アプリケーションごとに要求される性能などが異なり、データ処理量も急激に増加しているため、カスタマイズできる高性能な内蔵プロセッサが求められています。
 今後当社では、今回の技術をさらに改良し、GHz級動作に対応したMePのハイエンド版コアとしてデジタル家電向けSoCを中心に製品への適用を図る方針です。

 なお、本技術については、米国カリフォルニア州・スタンフォード大学で、8月14日から開催されているプロセッサの国際カンファレンス「HOT CHIPS17」において、本日(現地時間8月16日)に発表しました。

(注) *1 SoC: System-on-a-Chip
  *2 MeP: Media embedded Processor
  *3 RTL: Register Transfer Level

MePの概要

 MePは、ユーザーのニーズに応じて命令セットや混載メモリの容量など数100万通りのパターンから選択できるコンフィギュラブルプロセッサです。映像や音声、通信などの大容量データを高速処理することが求められるデジタルメディア機器に最適な32ビットRISCプロセッサで、チップ面積が小さく、高速・低消費電力処理に加え、以下のような特長があります。

高いメディア処理(画像・音声処理)性能
内蔵メモリの容量など構成が可変(コンフィギュラブル)
ハードウェアに拡張性があり、機能追加が容易
 これにより、複雑な機能を盛り込んだSoCを短期間で開発でき、デジタル家電などの開発工期の短縮を実現します。
 当社では、MePを自社で利用するほか、設計の柔軟性などの特長を求める社外ユーザーに対してもIP(設計資産)を公開しています。MePを製品に適用したいユーザーは、専用のWebサイト(http://www.MePcore.com/)で会員登録し契約に同意すれば、設計データをダウンロードして利用できます。

MePコアのロードマップ

 2001年に5段パイプライン構成(cシリーズ)の最初のコア「MeP-c1」を開発した後、「MeP-c2」「MeP-c3」と順次機能の拡充を図ってきています。今回、9段パイプライン構成で開発した「MeP-h1」は、新しい高性能プロセッサコアhシリーズの最初のコアと位置づけています。一方、cシリーズの改良版として、「MeP-c4」コアも開発中です。

MePコアのロードマップ

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