火力発電プラント向け復水流量計の演算回路における不適切な補正について

2007年3月30日

 当社は、2006年2月以降、火力発電プラント向け復水流量計の試験データの不適切な変更について調査を実施し、同年5月に調査結果を公表しました。また2006年11月には、経済産業大臣の指示による発電設備に係わる総点検に関し、電力会社から計算機の演算処理内容に関する調査依頼もあり、当社としても調査を続けてまいりました。その結果、中部電力株式会社(以下、中部電力)碧南火力発電所4号機(以下、碧南4号機)、同5号機(以下、碧南5号機)で、火力発電所のタービン性能を算出するために測定する復水流量に関する計算機演算処理内容に、タービン性能において客先計画値を満たすための不適切なデータ補正を行っていたことが判明しました。

 そこで、当社が蒸気タービンと計算機を合わせて納入している各電力会社の他のプラントについても、復水流量などの計算機演算処理内容に関して、当社仕様書と実機より抽出した計算機設定の整合を調査しました。その結果、碧南4号機、同5号機以外に不適切な補正を行ったと判断されるプラントはありませんでした。
しかし、今回、2プラントで不適切なデータ補正が判明したことから、念のため、今後は各電力会社と協議しながら、自主的にタービン性能に関わる包括的な調査を実施します。

 なお、今回不適切なデータ補正が判明した当該2プラントにおける保安上の問題はありません。

 これまでの調査では、客先に納入した現地の計算機演算処理内容との整合の調査までは至っていなかったため、本件について確認できませんでした。不適切なデータ補正を行ったこと、ならびに昨年の調査が不十分だったことを深く反省するとともに、中部電力をはじめとした関係各位にご迷惑をおかけしたことについてお詫び申し上げます。

不適切なデータ補正内容

 火力発電所には、復水流量を測定するオリフィス前後に流量を電気信号に変える差圧検出器があります。その差圧検出器から送られた電気信号を復水流量として算出するために計算機演算処理を行います。通常、オリフィスの経年劣化などの影響を考慮するために計算機側に差圧検出器から送られた電気信号に係数をかける補正機能がありますが、碧南4号機、同5号機では、この補正機能を用いて、見かけの復水流量を少なくする不適切な補正を行っていました。

 当社にて関係書類の調査や、当時の関係者に対する聞き取り調査を実施した結果、2001年3月からの碧南4号機試運転時に、当時の当社プロジェクトマネージャーが、実際の復水流量が計画値より多いことから、タービン性能が客先計画値を満足しないものと考え、同年4月に不適切なデータ補正を指示・実施し、当時の上司に報告したとの証言を得ました。また、碧南5号機についても、同様な理由により、2002年1月に不適切なデータ補正を行いました。

 今後は、自主調査の結果を踏まえて、再発防止策の徹底など、必要な対応を図ってまいります。


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