32nm世代LSI向け高性能トランジスタの開発について

2007年6月13日

高性能化の要素技術を確立

 当社は、32nm世代LSI向けに、CMOS素子を構成するnMOS、pMOSそれぞれについて、高性能化のための2種類の要素技術を確立しました。今後、要素技術をCMOSプロセスとしての統合や技術の最適化を通じ、2010年までに実用化を目指します。

 nMOSでは、ソース・ドレイン電極と基板の界面に不純物を偏析させるDopant Segregated Schottky(DSS)技術によって界面抵抗の低減とキャリア速度の向上をはかり、低電圧動作と高速化を実現しました。さらに、歪み応力膜によるキャリア移動度の向上を組合せ、0.7Vの低電圧でのトランジスタ駆動力を従来構造に比べて約35%向上させました。
 また、低電圧動作での動作マージン不足が課題となっているSRAM回路でも、0.7Vの低電圧で十分な動作マージンが得られることを実証しました。

 pMOSでは、キャリア移動度を向上させるため、ソース・ドレインに埋め込みSiGe構造を導入しました。また、この構造を形成するにあたり、短チャネル効果を抑制しつつ応力効果を最大化する、新開発の二段形状の埋め込みSiGe構造とプロセスを採用しました。ゲート近傍ではチャネルと埋め込みSiGeを近接させて応力によるチャネル移動度を向上させながら、ゲートから離れる深部では離間させて短チャネル効果を防止します。この構造により、前世代(45nm)pMOSに対し30%以上の高速動作を実現しています。

 今回の2種類の要素技術は、32nm世代LSIの開発において、高性能化、低消費電力化の用途に共通して適用できる成果です。
今後当社は、多層配線など他の要素技術の開発を進めるとともに、各要素技術をLSI技術として統合していくための開発を継続します。

 なお、今回の技術については、6月12日から京都で開催中の国際学会「VLSIシンポジウム」において、本日講演を行いました。




(参考資料)

 
 
 


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