次世代原子炉の研究棟開設について

2008年2月20日

液体ナトリウム冷却の高速炉実現に必要な技術開発を加速

高速炉研究棟

高温液体ナトリウム循環設備

 本日、当社は、液体ナトリウム冷却の高速炉実現に必要な技術開発を行う研究棟を開設いたしました。

 本研究棟に設置した高温液体ナトリウム循環設備は国内メーカの試験設備としては最大級の流量と加熱・冷却容量を有しており、実機の温度と流量を模擬した試験が可能となります。当社は、本設備を用いて高速炉のシステム設計や解析手法の検証に必要なデータを取得すると共に、液体ナトリウム用のポンプや蒸気発生器、計測器などの開発を行います。

 原子力需要が世界的に拡大する中、燃料資源を有効活用できる高速炉の開発を加速しようとする動きが活発化しています。我が国の「高速増殖炉*1サイクル実用化研究開発」や米国の「グローバルエネルギーパートナーシップ(GNEP)」構想などに向けて、また当社が2010年代後半に分散電源として実用化を目指している小型高速炉「4S」*2の早期実現も視野に入れて、当社は、高速炉に必須のナトリウム技術のさらなる高度化を図り、将来的な事業分野の拡充に備えます。

 本研究棟は、原子力事業の中核拠点である磯子エンジニアリングセンターに隣接しています。設計・エンジニアリング部門と研究開発部門の緊密な連携により開発の加速と効率化を実現します。

*1

高速増殖炉:核分裂で生じる中性子を減速させずに効率良く炉内反応に用いる高速炉(ナトリウム冷却材を使用)のうち、燃料(ウラン235)を消費しながら新たな燃料のプルトニウム239を生み出す(燃料ではないウラン238と中性子の反応を利用する)増殖の仕組みを持つもの。

*2 4S(Super-Safe, Small and Simple Reactor):燃料の交換無しで30年程度の長期間稼働する安全性の高い小型原子炉。東芝と(財)電力中央研究所とで共同開発中。

研究棟の概要

設置場所:

横浜事業所内(横浜市磯子区新杉田町8)

建物構造: 鉄骨造3階建
面  積: 建築面積531m2、延床面積1000m2
設  備: 高温液体ナトリウム循環設備
最高温度600℃、流量~1m/min(10m/minまで拡張予定)
用  途: 液体ナトリウム用機器、計測器等の開発、高速炉技術に関わるシステム設
計や解析手法の検証
建設期間: 2007年4月着工、2007年12月(消防検査合格)

プレスリリース記載の情報(製品価格/仕様、サービスの内容、お問い合わせ先、URL等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。最新のお問い合わせ先は、東芝全体のお問い合わせ一覧をご覧下さい。