ニュースリリース

HPVタイピングDNAチップ「クリニチップ®HPV」の製造販売承認取得について

- 国産DNAチップとして初 -
2009年08月05日

積水メディカル株式会社
株式会社 東芝
東芝ホクト電子株式会社

積水メディカル株式会社(以下、積水メディカル)は、株式会社東芝(以下、東芝)と共同開発したHPV型判別(以下、HPVタイピング)DNAチップ「クリニチップ®HPV」の体外診断用医薬品の製造販売承認を7月30日付にて厚生労働省より取得し、9月より販売を開始致します。

積水メディカルと東芝は、2004年1月から東芝の開発した電流検出型DNAチップと積水メディカルの持つ体外診断薬のノウハウを組合せたHPVタイピングDNAチップを共同開発し、製品化に向けて準備を進めてまいりましたが、このほど国産DNAチップとして、またHPVタイピング診断薬として、国内初の体外診断用医薬品の製造販売承認を厚生労働省より取得しました。
「クリニチップ®HPV」は子宮頸癌の原因である高リスク13種のヒトパピローマウィルス(以下、HPV注1)を高感度にタイピングすることが出来る日本で初めての体外診断薬であり、東芝が開発した電流検出型DNAチップ技術および栄研化学株式会社(以下、栄研)が開発した遺伝子増幅技術であるLAMP法注2を採用した純国産技術による新規診断薬です。なお、積水メディカルは、本診断薬の製品化のために、既に栄研よりLAMP法特許の実施許諾を取得しております。

子宮頸癌は早期に発見されれば完治し、その後の妊娠出産が可能な疾患ですが、最近では性行動の低年齢化から若年層の罹患および死亡率の上昇が問題となっています。「クリニチップ®HPV」は患者や医師がこれまで知ることの出来なかったHPVタイプを新たな医療情報として提供することにより、これらのニーズに応えることが出来る製品となっております。

なお、試薬の製造および検査キットの製造販売は積水メディカルが行い、HPV‐DNAチップおよび測定装置の製造は東芝ホクト電子株式会社(以下東芝ホクト電子)が担当します。また、東芝および東芝ホクト電子は、最大24個のDNAチップを連続で自動測定可能な自動ローディング装置を一体化した自動DNA検査装置を開発し、本診断薬の発売に併せ、積水メディカルを通して発売を開始致します。

注1
ヒトパピローマウィルス(Human Papilloma Virus)子宮頸癌の原因となるウィルス。発癌との関連性が高い13のウイルス型が知られている。
注2
Loop-mediated isothermal amplification の略で、栄研が開発した等温で増幅可能な遺伝子増幅方法。

<ご参考>

1.東芝独自の電流検出方式について

DNAチップとは、ガラスやシリコンの基板上に、複数種のDNA分子を固定したもので、試料中のDNAと結合するか否かを調べることで、試料中に目的のDNAが存在するかどうかを調べることができます。現在市販されているDNAチップの殆どは、レーザを照射し蛍光を測定する蛍光検出方式を採用しており、装置が大型で、チップも検査システムも高価格であるために、研究用途以外への普及を妨げる原因となっていました。
東芝が開発した電流検出方式は、検出に光学系を必要としないため、検出部の装置構成がきわめて簡素になり小型化が可能となりました。操作が簡単、精度が高い、コストが安い、IT技術との融合が容易であるなどの利点があります。

2.製品写真

電流検出型DNAチップ測定機器の写真

 

電流検出型DNAチップの写真

 

検査試薬類の写真

3.筑波大学産科婦人科 教授 吉川 裕之先生コメント

今回開発されたHPVタイピングDNAチップは、これまで研究機関や検査会社でのみ可能であったHPVタイピング検査を医療機関でも可能とした。HPV感染後の子宮頸癌の発生は、HPVタイプにより危険度が異なることが知られており、特にHPV16,18型やHPV31,33,35,45,52,58型が危険性の高いタイプとして知られている。癌の中でも腺癌は、16, 18型が圧倒的に多いことが知られている。これらの事実からHPVタイピング診断薬の開発意義は大きい。

お問い合わせ先:

積水メディカル株式会社 総務人事部 広報担当
TEL : 03(3272)0672

株式会社 東芝 広報室 広報担当
TEL : 03(3457)2100

東芝ホクト電子株式会社 管理部 総務勤労担当
TEL : 0166(31)4721