ニュースリリース

携帯電話向けフルHD対応アプリケーションプロセッサのプラットフォームを開発

電源供給の制御や専用回路の採用により低消費電力を実現 
2010年02月12日

 当社は、携帯電話向けアプリケーションプロセッサのプラットフォーム(製品の基本形)として、最先端40nmのプロセスを用い、低消費電力でフルハイビジョン動画像処理が可能な「T6G」を開発しました。今後、顧客の仕様に応じて、順次製品化していく予定です。

 近年、携帯電話では多機能化が進み、携帯電話で撮影・録画した動画像をTVやプロジェクターで表示するなど、高い画像処理能力を必要とする機能やフルハイビジョンなどの高精細な動画対応へのニーズが高まっています。
  多機能化への対応には、1チップに複数のコアを内蔵するマルチコアプロセッサが適していますが、高い画像処理能力を実現するには消費電力が大きくなるという課題がありました。

 今回開発したLSIは、内部を25個の電源領域に分けてそれぞれに電源供給のスイッチを設け、動画の撮影や再生など、動作ごとに必要な領域にのみ電源を随時供給する制御を行っています。動作していない部分の電力消費を削減することにより、低消費電力を実現しました。
  これに加え、TV放送信号の復調や3Dゲームなど、特に高性能が求められる機能については当社の液晶テレビ「レグザ(REGZA)」向けやゲーム機向け回路を携帯電話用に改良した専用回路を採用することで、消費電力を低減しました。
  また、高精細画像を処理するには、メモリアクセスの高速化が必要となるため、DRAMとプロセッサをマイクロバンプ(突起状の端子)で直接接合しました。さらにマイクロバンプ間の配線幅は世界最小注1の5マイクロメートルとするなど、最先端の実装技術により小さな面積に多数のマイクロバンプの配置を可能にし、10.6GB/秒という高速データ転送を低消費電力に実現しました。

 当社は、今回開発したプラットフォームによる製品をラインナップに加え、携帯機器向けLSI事業をさらに強化していきます。
  なお、本プラットフォームに採用した低消費電力回路技術については、米サンフランシスコで開催中の半導体国際学会ISSCC(国際固体素子回路学会)において、2月10日(現地時間)に発表しました。

注1 2010年2月現在。当社調べ。

今回開発したLSIの主な仕様

名称

T6G

パッケージ

12mm × 14mm × 1.2mm 651pinFBGA

概要

携帯電話向けフルHD対応画像処理LSI

機能

動画コーデック、音声コーデック、2D/3Dグラフィック、

LCDコントローラ:

Full-HD動画出力可能なTV I/F、

HDとFWVGA動画が出力可能な2系統のLCD I/F

Camera I/F:

Full-HD動画入力、24Mピクセルまでの静止画入力

メモリ:画像用広帯域高速伝送可能なDRAM、

モバイルDDR SDRAM

動作温度範囲 

-20℃~+70℃

動作電源電圧範囲

コア:1.1V、I/O:1.8V~3.0V