ニュースリリース

毎分10,500回転のエンタープライズ向け2.5型HDDの商品化について

業界最大クラスの記憶容量900GBを実現

　当社は、業界最大クラス^注１の記憶容量900GB（ギガバイト）^注２を実現した毎分10,500回転のエンタープライズ向け2.5型ハードディスク装置（HDD）「AL13SEB900」をはじめとした全４機種を商品化し、8月に量産を開始します。

　新商品「AL13SEB900」は、磁気ヘッドやディスクの磁性層を改良することにより、面記録密度 856 Mbit/mm2（552 Gbpsi）を実現し、記憶容量900GBを達成しました。また、線記録密度を向上させることにより、従来機種「MBF2600RC」^注３に比べ内部転送レートが約32 ％改善し、内部転送レート286 MB/sを実現しました。

　新商品全機種は、当社として初めてトラッキング用の位置決め機構に当社独自開発の2段アクチュエータを採用しました。2段アクチュエータは、従来の１段アクチュエータに加え、トラッキング用アームの先端部分にピエゾ（PZT）素子^注４の精アクチュエータを搭載したもので、1段アクチュエータと比較して、位置決め精度を約30%改善できます。狭いトラック幅に対して、より高い精度でのトラッキングを実現した結果、ドライブとして安定した動作が可能になりました。

　新商品「AL13SEB900」は、コントローラICによる消費電力の削減と同時に記憶容量の増加により、従来機種「MBF2600RC」に比べエネルギー消費効率^注５が約41%改善しています。また、新商品全機種はEU（欧州連合）RoHS指令^注６への適合や、本体全体のハロゲンフリー／アンチモンフリー^注７の実現など、人と環境に配慮した設計を行っています。

注１

毎分10,000回転以上のエンタープライズ向けHDD商品として、2012年7月11日現在。（東芝調べ）

注２

メガバイト（MB）は1,000,000バイト、1ギガバイト（GB）は1,000,000,000バイトで計算しています。bitについても同様です。

注３

2010年に商品化した「MBF2 RC」シリーズの600GBモデル。

注４

電圧の制御で伸縮変化する素子。

注５

省エネ法で定める測定方法により測定した消費電力を省エネ法で定める記憶容量で除したものです。

注６

RoHS：Restriction of the use of certain Hazardous Substances (2002/95/EC)
EU（欧州連合）で、コンピュータや通信機器・家電などで特定有害物質（鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、　　
PBB（ポリ臭化ビフェニール）、PBDE（ポリ臭化ジフェニルエーテル））の使用禁止を定めた指令。2006年7月から施行。

注７

当社セミコンダクター＆ストレージ社は、ハロゲンフリー／アンチモンフリーのHDDを次の要求をすべて満たす製品として定義します。
（ａ）臭素(Br)および塩素(Cl)をそれぞれ重量比900ppmを超えて含有せず、かつ臭素と塩素の合計が重量比1,500ppmを超えて含有しないこと
（ｂ）アンチモン(Sb)を重量比で1,000ppmを超えて含有しないこと
これは、本HDDが臭素、塩素、およびアンチモンを全く含有しないことを意味するものではありません。
 また、他のハロゲン族元素（フッ素(F)、ヨウ素(I)、およびアスタチン(At)）が含まれる可能性があります。

 新商品の概要　

型　名	記憶容量	外形寸法	回転数	質量
AL13SEB900	900 GB	69.85×100.45×15.00 mm	10,500rpm	240g （max）
AL13SEB600	600 GB
AL13SEB450	450 GB
AL13SEB300	300 GB

商品化の背景と狙い　

　近年、エンタープライズ向けHDD市場においては、高速なデータ処理性能に加えて、発熱量の抑制、消費電力の低減、実装スペースの縮小などが求められており、従来主流だった3.5型HDDよりも、小型で低消費電力の2.5型HDDへの要望が高まっています。このような中、当社は、大容量の900GBを実現した毎分10,500回転のエンタープライズ向け2.5型HDDを製品化することで、サーバやストレージシステムなどのエンタープライズ向けHDDのニーズにこたえていきます。

新商品の主な特長　

１．毎分10, 500回転以上のエンタープライズ向けHDDとして業界最大クラスの記憶容量を実現【AL13SEB900】

　「AL13SEB900」は、垂直磁気記録方式の磁気ヘッドや、ディスクの磁性層の改良により、面記録密度を856 Mbit/mm2（552 Gbpsi）に向上させました。これにより、業界最大クラスの記憶容量900GBを実現しました。

２．2段アクチュエータの採用でトラッキング精度が向上【4機種すべて】

　トラッキング性能を向上させるために、トラッキング用の位置決め機構に当社独自開発の2段アクチュエータを採用しました。2段アクチュエータは、通常のトラッキング用アームの先端部分に、電圧の制御により伸縮変化するピエゾ（PZT）素子の精アクチュエータを搭載したもので、1段アクチュエータと比較して、位置決め精度を約30%改善できます。

３．高速データ処理を実現【AL13SEB900】

　「AL13SEB900」は、線記録密度の向上により、従来機種「MBF2600RC」と比べて内部転送レートを約32%向上させ、内部転送レート286MB/sを実現しました。高速のデータ処理が求められるサーバなどに適しています。

４．環境への配慮【4機種すべて】

（１）本体全体のハロゲンフリー、アンチモンフリーを実現

　塩素および臭素を対象として、濃度を自主基準値以下（それぞれ900ppm以下で、合計1,500ppm以下）に管理しています。また、アンチモンを対象として、濃度を自主基準値以下1,000ppm以下に管理し、アンチモンフリーを実現しています。

（２）従来機種に比べて高いエネルギー消費効率を実現

　「AL13SEB900」は、従来機種「MBF2600RC」に比べエネルギー消費効率が約41 %向上し0.0044となりました。また、新商品は、待機時にディスクの回転数を下げるモードを搭載しており、回転そのものを停止させずに維持することで、復帰時間を短く保ちながら、低消費電力化も実現しています。

（３）ライフサイクルによるCO₂排出量削減効果　^注８

　新商品は、装置の消費電力を低く抑えることや、原材料製造時の環境負荷を減らすことなどにより、製品ライフサイクルにおけるCO₂の排出量を抑えています。「AL13SEB900」では、削減効果として年間約2.4kgのCO₂を削減しています。

注８

当社と事業統合前の富士通株式会社が2007年に商品化した「MBB2147RC」との比較。当社のLCA（ライフサイクルアセスメント）評価法によります。

（４）RoHS指令に適合

2006年7月施行のEU（欧州連合）RoHS指令(2002/95/EC)に適合しています。

当社グループの環境ビジョンについて

　当社グループは、「地球内企業」として持続可能な地球の未来に貢献するため、「東芝グループ環境ビジョン2050」を策定し、総合環境効率を2000年度基準で2050年度までに10倍に高める目標を掲げています。この実現に向け、「東芝がモノを作るときのエコ“Green of Process”」、「東芝の作る製品がエコ“Green of Product”」、さらに、効率の高いエネルギー供給機器の開発などの「環境技術で貢献するエコ“Green by Technology”」、の3つのGreenで地球との共生や豊かな価値の創造のための取り組みを行っていきます。

当社グループは、こうした環境への取り組みを一層加速するとともに、広く訴求するため、「ecoスタイル」をグローバル統一ブランドと定めています。詳細は以下をご覧ください。
URL: http://www.toshiba.co.jp/env/jp/management/vision2050_0_j.htm

新商品の主な仕様　

		AL13SEB900	AL13SEB600	AL13SEB450	AL13SEB300
記憶容量		900 GB	600 GB	450 GB	300 GB
平均シーク時間	読出し時	3.7 msec
	書込み時	4.1 msec
インターフェース		SAS 2.0
インターフェース速度		6Gb/s
回転数		10,500rpm
バッファ容量		64 MiB注９
外形寸法		（Ｗ）69.85 mm×（L）100.45 mm×（Ｈ）15.00 mm
質量		240 g（Max.）
消費電力	アイドル時	4.7 W
	低回転数時	2.7 W
エネルギー消費効率		0.0044	0.0057	0.0076	0.010
区分名		I			F
騒音（レディ時）		30 dB
耐振動性	動作時	9.8 m/s2 {1.0 G, 20-300 Hz}
	非動作時	49 m/s2 {5.0 G, 20-300 Hz}
耐衝撃性	動作時	980 m/s2 {100 G, 1 ms}
	非動作時	3,920 m/s2 {400 G, 2 ms}

注９　　１メビバイト(MiB)は1,048,576バイト(2の20乗)として計算しています。

お客様からの商品に関するお問い合わせ先：

ストレージプロダクツ事業部

ＴＥＬ ：　０３（３４５７）２４４５