ニュースリリース

川崎市健康安全研究所と食中毒原因菌の特定を迅速化する検査技術の共同研究を開始

DNAチップを活用して食の安心・安全、公衆衛生向上を目指す
2013年03月21日

 当社は、京浜臨海部ライフイノベーション国際戦略総合特別区域に移転・開設された川崎市健康安全研究所と食中毒原因菌の特定を迅速化する検査技術の共同研究を4月1日から開始します。DNAチップの実用実績がある当社とライフイノベーションの推進を目指す同研究所の連携により、食の安心・安全、公衆衛生の向上など社会に貢献する技術の創出を目指します。

 本共同研究は、当社が独自開発した電流検出型DNAチップを応用し、複数の食中毒原因病原体を短時間かつ高感度で同時に検査できる技術について、これまで旧川崎市衛生研究所と連携を行っていた研究を発展させるものです。従来の培養法では、腸管出血性大腸菌、赤痢菌、黄色ブドウ球菌、カンピロバクター、サルモネラ、腸炎ビブリオ、ノロウイルスなどの特定に4~5日間程度かかっていましたが、DNAチップを用いた本検査技術では、これらの食中毒原因病原体を一括で約2時間で特定することが可能となる見込みです。

 集団食中毒の発生が後をたたない中、被害を最小限に抑えるためには早期対応が効果的です。そこで、DNAチップによる病原体の迅速検査が実現すれば、公衆衛生の向上に対して多大な貢献が期待できます。

 当社は、今回の共同研究において「食中毒原因菌特定用DNAチップ」を開発すると同時に、操作性、価格面など従来の遺伝子検査における課題を解決する新型のDNAチップシステムの開発を進めます。さらに今後は、品種識別、遺伝子組換え食品の検査、家畜感染症の早期防除など幅広く応用を検討していきます。

共同研究の概要

研究テーマ:

電流検出型DNAチップを用いた食中毒原因菌の簡易自動検査技術の開発

研究概要 :

当社独自の電流検出型DNAチップを食品向けに応用し、

複数の食中毒原因菌を短時間かつ高感度で同時に検査できる技術を開発

研究期間 :

2013年4月1日から1年間

DNAチップの概要

 DNAチップは、ガラスやシリコンの基板上に、複数種のDNA分子を固定したもので、試料中のDNAと結合するか否かを調べることによって、試料中に目的のDNAが存在するかどうかを特定することができます。当社が独自開発した電流検出方式は、検出に光学系を必要としないため小型で簡単な操作が特長で、これまで子宮頸がん原因ウイルス判別用、実験動物微生物モニタリング用などのDNAチップ及び検出装置を製品化し、医療機関や研究機関向けに販売を行っています。