ニュースリリース

炭化ケイ素を用いた炉心材料の製造技術を確立

燃料集合体カバー材の試作に成功
2014年07月03日

株式会社 東芝
イビデン株式会社

 株式会社東芝(以下、東芝)とイビデン株式会社(以下、イビデン)は、耐熱性と耐酸化性に優れた炭化ケイ素(以下、SiC)を素材とする原子力発電プラント向け炉心材料の製造技術を確立し、燃料集合体カバー材の試作に成功しました。
 本研究は、原子燃料工業株式会社、東京大学先端科学技術センターの香川豊教授、東北大学金属材料研究所の後藤孝教授と連携して進めています。

 今回、燃料集合体カバー材に適用したSiCは、SiC長繊維で構成することにより強度を向上させたSiC複合材です。SiC複合材の製膜工程に化学気相成長法注1(以下、CVD)を用い、製膜装置と製膜プロセスを最適化することで、燃料集合体カバー材の量産化に必要とされる、従来比20倍注2の製膜速度を実現しました。
 また、特殊炭素素材に機械加工を施した型を用いることで、SiC 長繊維を燃料集合体カバー材の形状に成形するとともに、CVD装置を長尺化することで、4m超の燃料集合体カバー材を密度と強度を保ちながら高い精度で製造することが可能になります。この技術は、薄肉長尺円筒などの特殊な形状にも適用でき、燃料被覆管にも応用可能です。
 今後、2016年度以降、研究炉で試験を行い、データ収集、検証を経て、2025年以降に既設プラントの交換部品として実用化を目指します。

 東芝は、今後も技術開発を進め、原子力発電プラント向けサービス・燃料事業の強化を進め、安定的に収益を創出するとともに、プラントの安全性向上に貢献します。

 イビデンは、独自のコア技術を融合・複合することで新たな価値を創造する理念のもと、今後も革新的な技術を開発することで、豊かな社会の発展に貢献する製品を提供していきます。

 なお、本技術については7月7日からチェコ共和国開催される「22th International Conference on Nuclear Engineering(ICONE22)」で発表します。

注1
Chemical Vapor Deposition : 原料ガスを供給し、化学反応により基板表面に膜を堆積する方法
注2
従来の製膜装置内全体を温度制御、原料ガス供給する方式と異なる製膜領域のみを温度制御および原料ガス供給制御した方式による
 

試作した燃料集合体カバー材

燃料集合体カバー材