ニュースリリース

東京メトロ銀座線車両に駆動システムを納入

世界初PMSMとSiCダイオードを組み合わせた駆動システムを導入
2014年09月23日

 当社は、東京地下鉄株式会社(以下、東京メトロ)の銀座線1000系3次車に、全閉式永久磁石同期電動機(以下、全閉PMSM)とSiC(炭化ケイ素)ダイオード適用のVVVFインバータ装置注1を組み合わせた駆動システムをこのたび納入しました。高効率のフィルタリアクトル注2とSiCダイオード適用のインバータを全閉PMSMに組み合わせることで、1000系1、2次車PMSM主回路システム車両と比較して、力行注3の消費電力量約4%、回生電力量約3%の改善を実現しました。また、従来の01系誘導電動機主回路システム車両と比較した場合、システム全体の消費電力量を約37%削減しています。
 なお、全閉PMSMとSiCダイオード適用のインバータを組み合わせた駆動システムとしては、世界で初めての導入事例になります。

 全閉PMSMは、定格効率97%を実現する高効率な主電動機であり、一般的な車両に用いられる開放型誘導電動機の定格効率90%と比較して、飛躍的に効率が向上しています。また、全閉構造により内部清掃が不要のため、メンテナンス性も向上しています。
 主電動機を駆動するVVVFインバータ装置には、当社が開発、製造した高温での動作が可能で、熱の発生および損失が小さいなどの特長を持つSiCダイオードを採用しました。

 当社はこれまで、PMSMを採用した省エネ性能の高い駆動システムを国内外で納入しています。日本国内では、東京メトロ銀座線のほか、千代田線、丸ノ内線、東西線などでも採用されています。また、2015年以降は、シンガポールの鉄道車両で運用が開始されます。

 当社は、今後もパワーエレクトロニクス領域において、デバイスからシステムまでの一貫した自社開発を進め、高効率化と小型化を両立する製品群を国内外へ積極的に展開していきます。

注1
可変電圧可変周波数制御:Variable Voltage Variable Frequency
注2
電流のノイズなどを除去するための制御装置。
注3
電力の供給を受けて車両が加速する状態。
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本製品の開発の一部は、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託した「省エネルギー革新技術開発事業」の実証研究「高耐圧SiCデバイスを用いた高効率小型電力変換器システム技術の研究開発」の一環として実施したものです。(2014年10月16日追記)

今回の納入品


全閉PMSM(左)とSiCダイオード適用のVVVFインバータ装置(右)