ニュースリリース

車載向け画像認識用プロセッサ「Visconti™4」の発売について

夜間の歩行者認識性能と静止障害物の検知能力が向上
2014年11月13日
新製品の写真

 当社は、画像認識用プロセッサViscontiTMの新シリーズとして「ViscontiTM4」注1を開発し、新製品の「TMPV7608XBG」を2015年1月からサンプル出荷、2016年12月に量産を開始する予定です。

 新製品は、カメラからの入力映像を処理し、自動車周辺の車線、車両、歩行者、標識などを認識する車載向けの画像認識用プロセッサです。新製品は、2018年に欧州で施行予定の新車安全性能評価「Euro NCAP(New Car Assessment Programme)」で要求される昼夜での歩行者衝突回避などの次世代先進運転支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System)への採用を目指します。

 新製品は、夜間の歩行者などの認識において、従来方式の輝度情報に加え、色情報での識別が可能な当社独自開発の新認識装置「Enhanced CoHOGアクセラレータ注2」を搭載しており、従来機種注3の昼間の認識性能と同等レベル注4の認識が可能になりました。

 また、従来機種から実現していた歩行者や車両など事前登録した障害物の認識に加え、単眼カメラの時系列の画像情報から静止物の距離、高さ・幅の三次元情報の推定が可能となり、事前登録のない落下物・落石・土砂崩れなどの予期せぬ障害物も検知することができるようになりました。

 なお、ViscontiTM4の使用条件で最大効率が得られるよう電圧及び電流を最適化したシステム電源IC「TC9580FTG」も合わせて製品化し、今月末からサンプル出荷し、2015年11月に量産を開始する予定です。

 近年、より安全で快適な車社会を目指し、自動車市場では先進運転支援システムの重要性がより高まるとともに、将来的には自動運転のニーズが高まっていくことが見込まれています。当社は拡大するニーズに対応すべく、今後もViscontiTMシリーズを中心に車載向け半導体事業を積極的に展開していきます。

注1
Viscontiは株式会社東芝の商標です。
注2
CoHOG は東芝独自の輝度勾配方向共起ヒストグラム特徴量
注3
Visconti2、Visconti3
注4
認識率に対する誤認識率が従来機種と同等水準。

新製品の主な特長

1.高精度の認識を実現

 新製品は、当社独自の画像特徴量「CoHOG」と色情報を用いた特徴量「Color-CoHOG」などを組み合わせた複合特徴量を計算する、カラー特徴量パターン認識処理装置「Enhanced CoHOGアクセラレータ」を搭載しています。特に夜間や背景と対象物の輝度差が少ない画像での識別性能が向上します。また、「Enhanced CoHOGアクセラレータ」の高速演算性能により歩行者、車両などの認識時間を短縮することが可能です。

2.事前登録のない不特定の障害物検知を実現

 新製品は単眼カメラの時系列画像情報から静止障害物の三次元形状の再構成が可能になり、事前に登録したパターン認識だけでは難しかった不特定の静止障害物の検知ができます。自動車の前方あるいは後方監視カメラシステムにおいて、路上の予期せぬ落下物や見落とした静止障害物の有無検知、その障害物の位置や高さ・幅の推定などが可能です。また、三次元再構成情報を利用することで、増大する認識対象物の探索候補を削減し、パターン認識を高速に処理することが可能となり、より迅速な運転支援・制御が実現できます。

3.最大8つの画像認識アプリケーションの同時実行を実現

新製品は、画像認識で広く使用される倍精度浮動小数点演算処理に対応した8個の画像処理エンジン「Media Processing Engine」と14個の各種画像処理アクセラレータを搭載しています。最大8つの画像認識アプリケーションの同時実行が可能になるとともに、画像処理能力が従来製品の10倍向上しました。また、画像処理エンジンとアクセラレータは、最大266.7MHzの動作周波数で駆動し、歩行者、車両などの同時認識を50ms注5以内に実行することができます。

具体的には一般障害物検知、赤信号認識、運転者監視、車線逸脱警報・車線維持支援、車両及び歩行者の衝突警報・回避支援、対向車ヘッドライトや先行車テールランプ検知によるハイ・ロービーム切替え支援、電光掲示タイプを含む速度規制などの標識の認識などのアプリケーションを最大8つ同時に処理することができ、高度な先進運転支援が可能になります。

注5 msはmillisecond。1/1000秒。

4.ViscontiTM4に最適化した電源ICを製品化

 ViscontiTMシリーズ及びその周辺部品に対し電圧及び電流を最適化したDCDCコンバータによるシステム電源IC「TC9580FTG」を製品化しました。本製品は特にViscontiTM4の使用条件で最大効率が得られるよう出力段を最適化しており、配線ロスを低減させる工夫を施す事により高効率化を実現し、ADASアプリケーションで要求されるセットの小型化、低発熱化に貢献します。

Visconti4を搭載した先進運転支援システムのイメージ

イメージ図

新製品の概要

品番

サンプル価格

(税込)

サンプル出荷時期

量産開始時期

TMPV7608XBG

10,000円

2015年1月

2016年12月

TC9580FTG

1,000円

2014年11月末

2015年11月

新製品の主な仕様

品番

TMPV7608XBG

CPUコア

東芝オリジナル 32ビットRISC CPUコア

Media embedded Processor(MeP)×2

画像処理エンジン

東芝オリジナル 32ビットRISC 画像処理エンジン

Media Processing Engine(MPE) × 8

画像処理

アクセラレータ

アフィン変換

3 ch

フィルタ

2 ch

ヒストグラム

1 ch

輝度勾配方向共起ヒストグラム(CoHOG/HOG)

1 ch

Enhanced CoHOG

2 ch

マッチング

2 ch

ピラミッド

2 ch

SfM

1 ch

内蔵周辺機能

ビデオ入力

インタフェース

4 ch

(カメラ入力ポート数は8ch)

ビデオ出力

インタフェース

2 ch

電源電圧

コア: 1.1V、I/O: 3.3V及び1.2V(LPDDR2接続時)、1.5V(DDR3接続時)、1.2V(MIPIⓇCSI2-I/F)

動作周波数

最大266.7MHz

パッケージ

P-FBGA 796ボール、27mm×27mm、0.8mmボールピッチ

* MIPIは、MIPI Alliance, Inc. の商標または登録商標です。

品番

TC9580FTG

電源電圧

動作電圧範囲    :4.5~5.5V

DC-DCコンバータ電源
(出力電圧/電流)

DCDC1(降圧)   :1.15V / 3.5A                              
DCDC2(降圧)   :3.3V / 1.0A                              
DCDC3(降圧)   :1.25V or 1.53V or 1.84V / 2.4A  
DCDC4(降圧)   :1.25V or 1.54V or 1.84V / 0.8A

監視機能

電源回路の常時監視機能

I2C通信

電源起動ON/OFF

各電源の電圧値設定

各電源の異常検出

電源立ち上がりシーケンス

パッケージ

VQFN48(7mm×7mm×0.9mm )

新製品のお客様からのお問い合わせ先:

車載営業推進部
TEL : 03(3457)3428