ニュースリリース

米国における電力需給調整事業向けに大型蓄電池システムを受注

メガワット級蓄電池システムとして国内外で9ヶ所目の採用
2015年04月20日

 当社はこのたび、米国のオハイオ州ハミルトン郡にて、住友商事株式会社が米州住友商事会社、米国の再生可能エネルギーデベロッパーであるRenewable Energy Systems Americas社(RES社)とともに実施する電力需給調整事業向けに、大型蓄電池システムを受注しました。蓄電池システムを11月に納入し、12月から運用が開始される予定です。

 今回受注した蓄電池システムは、最大出力6メガワット、容量2メガワットアワーで、約1万回以上の充放電が可能な長寿命、高い安全性、低温動作などの優れた特性を持つ当社製リチウムイオン二次電池「SCiBTM」を搭載します。米国においては、風力発電や太陽光発電などの出力変動の大きい再生可能エネルギー比率の増加により生じる系統の不安定さを防止するため、周波数調整電力市場注1を通じての電力調達が始まっています。変動に対する反応が迅速で、細やかな調整を頻繁に行う必要があるため長寿命の当社製蓄電池システムが評価され、受注にいたりました。

 当社はこれまでも国内外でSCiBTMを用いた蓄電池システム事業を展開してきました。本年2月20日には、東北電力株式会社が実施する「西仙台変電所周波数変動対策蓄電池システム実証事業」注2において、当社が納めた世界最大出力40メガワット注3、容量20メガワットアワーの蓄電池システムが営業運転を開始しました。気象条件により出力が変動する再生可能エネルギーの普及拡大に伴う周波数変動対策の新たな取り組みに用いられるもので、電力系統にこの規模の大型蓄電池システムが設置されるのは、国内初です。

 海外においても電力の安定供給に向けた周波数変動抑制の取り組みに当社の蓄電池システムを提供しています。欧州では、イタリアの送電会社テルナ社の関連会社テルナ・ストレージ社が系統安定化のために導入した蓄電池システムを2014年に納入したほか、スペインで電力大手のガス・ナチュラル・フェノーサ社と配電系統の効率化・高信頼度化を目指して実施する可搬型蓄電池システム実証試験プロジェクト注4への参画や、英国シェフィールド大学の系統周波数調整実証試験向け蓄電池の納入などの実績があります。また、米国では電力大手のデューク・エナジー社と周波数調整および系統安定化を目指した蓄電池システムのパイロットプロジェクト注4に参画し、本年1月に蓄電池システムの運用を開始しています。

 当社は今後も、電力供給の安定化を通じた再生可能エネルギーの導入促進に貢献すべく、大規模蓄電池システムの普及拡大に向け、グローバルに事業を展開していきます。

注1
発電所の運転計画や需要予想のズレ、再生可能エネルギーの出力変動への対応を行う、数秒から数分といった短時間の予備用電力を確保する市場
注2
一般社団法人新エネルギー導入促進協議会が公募した「平成24年度大型蓄電池システム緊急実証事業」
注3
2015年4月20日時点 当社調べ
注4
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発」の採択を東芝が受けて進める実証試験

 

北米向け蓄電池システム(イメージ) 西仙台大型蓄電池システム
北米向け蓄電池システム(イメージ) 西仙台大型蓄電池システム