ニュースリリース

国立大学法人 山形大学医学部附属病院向け次世代型重粒子線がん治療装置の受注について

2015年11月10日

重粒子線がん治療装置の完成予想図

 当社は、国立大学法人 山形大学(以下、山形大学)と次世代型重粒子線がん治療装置の製造請負契約を締結しました。

 重粒子線治療は、炭素イオンを光の速さの70%まで加速して炭素イオン線(=重粒子線)とし、“がん腫瘍”に対して体の外から照射する放射線治療です。がん腫瘍の位置、大きさ、形状に合わせて治療効果を集中させることができるため、周囲の正常な細胞を傷つけにくく、他の放射線治療と比べて“がん細胞”を殺傷する能力が高いという特長があります。患者の身体的負担が少なく早期の社会復帰を可能とする治療方法です。

 今回受注したシステムは、固定ポート式と回転ガントリー式の2つの治療室を含む重粒子線がん治療システムです。
 当社の最新技術を駆使し、省エネルギー、省スペース・小型化、イージーオペレーション(運転・管理の容易化)、廃棄物低減注1といった、山形大学の提唱する次世代型重粒子線がん治療装置の厳しい要求を満たした、世界最高性能かつ国際展開を視野に入れた装置となります。

 本システムの大きな特徴である「回転ガントリー」は、治療時に患者を傾けるなどの不自然な体位を必要とせず、360度自由な角度から照射が可能となり、患者には楽な姿勢で安全に治療を受けて頂けます。山形大学医学部附属病院による治療開始は2019年10月を予定しています。

 当社は、重粒子線照射システムを国立研究開発法人放射線医学総合研究所とともに開発し、今回の受注は地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立がんセンターに続くものです。

 当社は、ヘルスケア事業を注力事業の一つとしており、重粒子線治療装置はヘルスケア関連分野で期待される技術の一つです。
 東芝グループは「みんなが健康でいきいき生活できる社会」の実現を目指し、ヘルスケアに貢献する製品・サービスを今後も提供していきます。

注1
患者ごとに作成するコリメータ(炭素イオン線のビームサイズを調整する器具)は、治療後には廃棄物になるが、当社システムはコリメータを必要としないため、廃棄物削減を実現できる。