ニュースリリース

東芝とデルテクノロジーズが共同提案した施設向けIoTテストベッドをIICが承認

IoT領域のディープラーニングの活用を推進するテストベッドとして初めて採択
2016年10月17日

 当社は、デルテクノロジーズと共同で、Industrial Internet Consortium(以下、IIC)に対し、ディープラーニング注1を活用したIoTのテストベッド注2「Deep Learning Facility」を提案し、このたび承認されました。ディープラーニングを活用したテストベッドとして初めてIICが承認したもので、当社はデルテクノロジーズと協力し、東芝のスマートコミュニティセンター(ラゾーナ川崎東芝ビル)注3にて、ビル施設内の各種センサーデータを活用して、設備・機器やオフィス管理を対象としたディープラーニングプラットフォームの検証を2017年9月まで実施します。

 近年、IoT技術が急速に普及する中、エッジデバイス注4の効率的な管理、信頼性の確保、および関連リスクの最小化が課題となっています。また、生成される膨大なデータの効率的な管理・制御のため、ディープラーニングの活用が求められています。

 今回のテストベッドでは、IoTプラットフォームにおけるディープラーニングの有用性の検証とベストプラクティスの構築を目指します。ディープラーニングを活用することにより、各種センサーを含む監視機器のメンテナンスを最適化し、メンテナンスコストの削減、機器の稼働率向上を実現します。東芝の大規模データ向けディープラーニング技術とDell EMCの高速ストレージ技術により、大規模データに対応した高速ディープラーニングテストベッドを提供します。

 東芝は、ビルや工場などの施設における効率的な設備・機器の管理や制御を実現するため、長年、画像・音声などの分野で培ってきたディープラーニング技術・ノウハウを本テストベッドに適用します。本テストベッドでは、東芝のスマートコミュニティセンターにおいて蓄積した、ビル管理システム、空調機器、セキュリティゲートなどから得られる多様な情報をビッグデータとして活用します。

 従来のディープラーニング技術では、大規模なデータを扱う場合、学習時間やデータサイズの問題から並列分散処理注5が主流ですが、十分な学習効果が得られないという課題があります。そこで、今回、当社が開発した学習モデルとパラメータ最適化技術による大規模データ向け並列分散処理技術を本テストベッドに適用します。

 デルテクノロジーズのDell EMC注6は、長年培ってきたストレージ機器開発の技術・ノウハウがあり、今回、高速処理が可能なラックスケール オールフラッシュ ストレージ「Dell EMC DSSD」注7 を本テストベッドに提供します。

 当社は、この検証結果を通じて、ビル・ファシリティ分野でのディープラーニングで、効率的な管理や制御を可能にする新たなソリューションを確立し、今後さまざまなパートナーと共創し、病院、ホテル、ショッピングモール、工場、空港などの大規模設備のニーズに応えていくことを目指します。

 

 

 IIC(Industrial Internet Consortium)について

IICは、2014年3月27日に米国で設立された、産業分野におけるIoT活用のデファクトスタンダードを推進する国際的な団体です。現時点で、参加企業は240社を越え、ユースケースの分析、アーキテクチャー/フレームワークの策定、テストベッドによるエコシステムの構築などを推進しています。
http://www.iiconsortium.org/

 

注1
ディープラーニング:システムがデータの特徴を学習して事象の認識や分類を行う「機械学習」の手法。認識や分類の精度を高めることを目的にデータの特徴をより深いレベルで学習させることが特徴。
注2
テストベッド:インダストリアル・インターネットの発展を目的に、新技術、新しいアプリケーション、新製品、新サービス、新プロセスなどの有用性と実現性を、実証実験を通して検証するためのプラットフォーム。
注3
スマートコミュニティセンター(ラゾーナ川崎東芝ビル): NREG東芝不動産株式会社が保有・管理する大型オフィスビル。省エネと快適性を両立すべく導入した空調・照明機器など各種ビル設備の運用データが日々蓄積され続けており、ディープラーニングの検証に適している。
注4
エッジデバイス:通信機能を持ち、機器の状態などを取得する装置。
注5
並列分散処理:ディープラーニングの演算などを複数個の計算機に分散し、並列で処理する手法。
注6
Dell EMCはデルテクノロジーズの1ブランドです。
注7
ラックスケールオールフラッシュストレージ「Dell EMC DSSD」:NAND型フラッシュメモリを超高密度に搭載することにより大容量化を実現、複数のサーバとPCIeにより接続し、超高速、低遅延を実現する共有型フラッシュストレージ。