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BTと東芝が量子暗号通信技術を顧客向けに展示

2016年10月14日

 英国の大手通信会社BT(BT Group Plc.以下BT)と当社は、本日、英国で初めての量子暗号通信の顧客向け展示コーナーを英国イプスウィッチのアダストラルパークにあるBTの研究所内に開設します。最新のサイバーセキュリティ技術として、銀行等においてやり取りされるデジタル情報のハッキングを防ぎ、安全な金融取引を行うための量子暗号通信の利用方法を展示する予定です。

 量子暗号通信では、光ファイバー上で暗号鍵を光子を用いて転送します。光子は第三者が盗聴を試みた瞬間にその符号が変化し検知されるため、絶対安全性が保証されます。量子暗号通信により、金融取引の場面では、個人情報や生体認証データ、銀行の取引証明などの機密情報を、銀行の支店と離れた場所にあるデータセンター間で安全に送信することが可能となります。郊外のデータセンターは、金融業界では一般的になってきており、デジタル通信のインフラ上で安全に個人や銀行の情報を伝送することが喫近の課題です。本展示コーナーでは、こうした課題に対し、金融業界に限らず様々な産業領域における、最新のサイバーセキュリティ技術のメリットを展示します。

 BTの研究所のTim Whitley所長は、「これまで数年間にわたって量子暗号の研究を行っていますが、このショーケースは、私たちの研究がビジネスにどのような利点をもたらすかを示す大きな一歩です。サイバー犯罪からのリスクが増加する中、重要データの安全な通信を保証することが以前よりも更に重要になってきています。通信の完璧な安全性を保証するために、量子暗号通信が将来ますます重要な役割を演じるであろうと私たちは確信しています。」とコメントしています。

 東芝の技術統括部長の斉藤史郎上席常務は、「この一年間、東芝は日本において量子暗号通信によるゲノム解析データの長期間の安全な伝送を実証してきました。医療や健康にかかわる個人情報の安全性確保は、量子暗号通信の有望な適用先の一つです。今回BTの顧客向け展示で私たちのセキュア通信システムをご覧いただくことは、量子技術がビジネスの幅をどれだけ広げることができるのかを示す重要な機会になると考えています。今後顧客からの有益なフィードバックを収集し、顧客が抱える安全上の要求や課題に応えるシステムをBTと協力して作り上げていきたいと考えています。」とコメントしています。

 BTと東芝の開発したシステムでは、2地点間のデジタル暗号鍵の作成に量子暗号を利用し、生成された暗号鍵はサイト間を流れる機密情報の暗号化や認証に利用されます。暗号鍵の生成に利用される光子信号は、暗号化される銀行のデータと同一のファイバー上で送信可能なため、通信インフラに要求されるコストが大幅に削減されます。

 また、BTと東芝は、東芝欧州研究所傘下のケンブリッジ研究所において、量子暗号通信を光ファイバー通信ネットワークに統合する技術開発で協力し、2014年に10Gbps、および2015年に100Gbpsのデータ信号を運ぶファイバー上で量子暗号鍵を伝送することに初めて成功しました。

 BTと東芝欧州研究所は、英国における量子通信ネットワーク(“UK Quantum Network”)を構築する重要なプロジェクトでも協力しています。この取り組みは、英国において2億7千万ポンドが投じられている量子技術プログラムの一部で、ケンブリッジ、ブリストル、ロンドン、アダストラルパーク間の量子暗号による安全な通信の実現を目指すものです。アダストラルパークとケンブリッジサイエンスパークの間を接続する回線は、2017年はじめに完成する予定です。