ニュースリリース

AIを活用した高精度な電力需要予測システムを開発

2017年11月08日

 当社はこの度、電力事業者が電力の供給計画を立てる上で必須となる電力需要予測において、多地点における気象情報の作成と、AIを活用した複数の予測手法の組み合わせを特徴とする当社独自の高精度な予測システムを開発しました。当社は、本システムを11月9日、10日に、グランドニッコー東京 台場で開催する当社グループの「東芝オープンイノベーションフェア」に出展します。

 近年、電力小売全面自由化に伴う太陽光発電の導入など、電力の供給計画がより難しくなるなか、電力事業者は電力供給を効率的に行うため、AIやIoTの最新技術を積極的に導入しています。
 電力の需要予測では、通常、供給エリア内の主要都市の気象予測値を参照し、電力需要を予測するか、気象条件が近い過去の需要実績値を用いるのが一般的です。当社は、供給エリア内の多地点における気象予測値を作成し、気象情報と電力需要実績値の関係を効率良く機械学習させるスパースモデリング技術注1を開発しました(図1)。さらに、深層学習を用いた需要予測を実施し、これらの予測結果値を、AIを利用して最適に組み合わせることで、高精度な需要予測を実現しました(図2)。

 当社は、本技術を用いて参加した東京電力ホールディングス株式会社主催の「第1回電力需要予測コンテスト」において、応募約100団体の中で、最高の予測精度を達成し、最優秀賞を受賞しました注2

 高精度な電力需要予測は、発電事業者が予想を上回る需要に対応するために行っている発電所の待機運転を減らすことができ、発電効率の向上に寄与します。また、発電量が自然条件に左右される太陽光発電などの再生可能エネルギーにおいて、発電した電力を供給するか、蓄電するかといった運用をより適切に行うことができ、電力の高率的な利用が可能となります。

 当社は今後、より多くの地点の需要実績値をAIに学習させることで、さらなる予測精度の向上を追求し、電力事業者の効率的な需給運用を支えるシステムへの導入を目指していきます。

注1
高次元のデータの中から有意な情報を抽出する機械学習の技法で、今回は多地点の気象情報の中から電力需要に影響の大きな地点を抽出するのに適用しました。
注2
毎朝8時迄に翌日1日の電力需要を1時間刻みで予測した結果、予測と実績の平均二乗平方根誤差RMSEが参加者中最小の83.49万キロワットとなりコンテストの「最優秀賞」を受賞しました。

図1:多地点の気象予測情報から、重要な地点を機械学習により抽出
 
図2:スパースモデリングと深層学習の手法を組み合わせて電力需要を予測

 

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 東京電力ホールディングス株式会社