東芝デジタルソリューションズ株式会社

お客様インタビュー

高度な音声認識技術や音声合成技術、知的対話技術をハイブリッドに実装
人手を介さずインターネット上で専門領域の相談サービスを展開

カンパニー:東邦銀行×ソリューション:インターネット相談サービス

本プロジェクトのご担当者様
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震災復興に繋がる仕組み作りの一環として、東芝グループの持つ高度な音声認識技術や音声合成技術、そして知的対話技術を活用し、相続に関する相談業務をWebサイト上で展開。Webサイトに話しかけることで相続に関する知識が得られる仕組みを構築し、福島県外に避難を余儀なくされている方々への利便性向上を図りながら、行員が相続に関する様々な対応ノウハウを蓄積できる環境作りを強力にバックアップしている。

2011年3月に発生した東日本大震災の復興に向けた様々な施策を展開している東邦銀行は、福島県外への避難を余儀なくされていることで日常的に足を運ぶのが難しいお客さまに向けた利便性の高いサービスを模索。なかでも高度な知識が必要な相続に関する相談窓口をインターネット上に開設し、お客さまへの支援とともに行員のサービス品質向上に繋がる仕組みを検討。
相続業務のノウハウを持つ東邦銀行と東芝グループの持つ高度な音声認識技術や音声合成技術、知的対話技術を組み合わせた「相続相談サービス」を共同開発。人手を介さずにWebサイトに話しかけることで、対話しながら目的の答えに辿りつくことができる仕組みを構築、震災復興支援の有力なツールに。
導入の背景

震災復興に貢献するべく県外への避難者を支援するサービスを模索

若菜 正典 氏

事務本部 事務企画部

部長

若菜 正典 氏

 福島に確固たる基盤を持つ株式会社東邦銀行は、東日本大震災発生後新たに制定された「すべてを地域のために」をコーポレートメッセージに、福島県を中心とする地域に向けた震災復興に繋がる支援姿勢を明確に打ち出している。現在は中期経営計画「東邦“一歩一歩”計画」のなかで、復興に向けた福島県への貢献や成長戦略の着実な遂行、経営体質の更なる強化を基本方針に据え、地域への円滑な資金供給を実施しながら、ビジネスマッチングの強化や復興商談会の開催による地域産業の創出・活性化支援など、福島の復興・発展に貢献すべく様々な取り組みに注力している。

 そんな福島の震災復興への貢献活動の1つに、インターネットを利用した相続相談サービスがある。「震災以降、ピーク時には6万人を超える方が県外に避難を余儀なくされており、現在でも避難されている方が大勢いらっしゃいます。地方銀行である我々は、全国に支店や営業店を構えておらず、当行をご利用いただいていた方に避難先でご不便をおかけする場面も多々あったのです」と語るのは事務本部 事務企画部 部長 若菜 正典氏だ。そこで、県外に避難を余儀なくされている方も含めてお役立ていただけるサービスのあり方を模索していたという。その具体的な方策の1つが相続に関する相談サービスだったのだ。

導入の経緯

高度な専門性が求められる相続業務に着目

肥田木 聡 氏

事務本部 業務支援部部

事務支援センター長代理

肥田木 聡 氏

 数ある銀行業務の中でも、特に相続に関する業務は高度な専門知識が求められる。この相続に関する手続きを簡素化するためにも、気兼ねなく相談できる仕組み作りが急務となっていた。「相続に関わる機会は人生において、多くはないため、相続に関して詳細な知識をお持ちでないお客さまが一般的です。それゆえ、役所などに相談したり、公的書類を取りに足を運んだ後、当行の営業店にて1つずつ相続手続きを進める必要があるのです」と若菜氏。自宅近くに営業店があれば良いが、県外に避難を余儀なくされている方には負担が大きくなっていた。

 相続手続きに触れる機会が少ないのは、お客さまだけではない。「お客さまの相談を受け付ける行員も、高度な法務知識や税務知識など専門的な知見が求められます。お客さまにとっても行員にとっても相続事務をスムーズに行えるような環境作りが求められていたのです」と同本部 業務支援部 事務支援センター長代理 肥田木 聡氏は振り返る。

 社会情勢的にも、相続相談に対するニーズの高まりが背景にあると肥田木氏は指摘する。「高齢化社会が進展するなかで、当然相続の話題も増えてきます。来年度には相続税率が変更されることもあり、相続に関する相談が増えてくるのは明らかでした。そのための環境作りをしっかり行う必要があったのです」。また、本来、相続した後の資産をどのように運用していくのかについて十分時間を割いてご案内することが、お客さまのためにもなると若菜氏は力説する。「相続に関する事務処理の負担を可能な限り軽減することで、資産運用に関してご相談いただける時間を作ることができるようになります」(若菜氏)。

 そのような状況の中、人事システムや収納金システムなど20年あまりの長きに渡って同行に欠かせない様々な業務システムを提供してきた東芝ソリューションから、新たな提案がもたらされた。それが、東芝グループが持つ音声認識技術や音声合成技術、知的対話技術を組み合わせることで実現可能な、インターネットを活用した相談サービスだった。「この相談サービスの仕組みを、相続の場面に利用できるのではないかと考えました」(若菜氏)。

導入のポイント

国内金融機関初となる新たな形の相談サービスの共同研究を実施

古川 裕章 氏

事務本部 事務企画部

事務企画課 主任調査役

古川 裕章 氏

 初めて提案を受けたときの印象について肥田木氏は「相続の場合、相続人の特定や手続き書類の作成はもちろん、遺産分割調停や裁判沙汰など、手続きが完了するまでには様々なイベントが発生するケースも。複雑な相続のフローを、人手を介さずにWebサイト上だけで対話しながら情報提供が可能なのか、半信半疑だったのが正直なところです」と当時の思いを吐露する。それでも、復興の足掛かりとなる顧客サービスの充実を目指し、相続相談に関する業務的なノウハウを持つ同行と高度な音声技術を持つ東芝グループ双方が手を携えることで合意。国内金融機関として初の新たな相談サービスの共同研究をスタートさせたのだ。

 共同研究を始めるにあたって最初に行ったのが、音声技術を研究している東芝グループの研究開発センターのメンバーから、東芝グループの持つ音声技術について詳細な説明を受けることだったと若菜氏は当時を振り返る。「それぞれの技術を持つ東芝グループ内での連携が非常によく、グループ挙げての対応に心強さを感じました。最初は不安を感じていた我々でしたが、実際にお話を伺うことで実現可能な感覚を持つことができたのです」。また、3ヶ月という短い期間で意見をまとめながらシンプルなプロトタイプを東芝ソリューションが作り上げたことで、音声を利用した相続相談サービスが具体的にイメージしやすい状況になったという。「プロトタイプのおかげで、経営層のほうにも具体的なイメージを伝えることができました。迅速にご対応いただいたことでプロジェクトを円滑に進めることができたのです」と若菜氏は評価する。

 その後、営業店で相続を担当する副支店長クラスに参画してもらい評議会を立ち上げ、現場の要望も踏まえながら意見集約を実施。その意見を再度プロトタイプに反映し、営業店から更なる要望をフィードバックしていくことで高度な相続業務に対応できるサービスを作り上げていった。「もともと渉外業務を支援するため、すべての営業店にタブレットが配布されていました。このタブレット上で実際に使ってもらいながら感触を確かめていったのです」と語るのは同本部 事務企画部 事務企画課 主任調査役 古川 裕章氏だ。これまで相続に関する業務支援に繋がる抜本的なツールがなかったため、現場からの評判は上々だったという。

 また、相続の相談を必要としている人がインターネットをどれだけ活用するのかということについても当初は不安を持っていたという。しかし、ターゲットとなる層に向けてフィールド調査を実施し、多くの方が利用することに対して前向きだという結果を得ることができた。「60歳以上の方でも抵抗なく使ってもらえるというフィールド調査の結果を受けて、活用の促進がはかれるのではないかという実感を得ました」(古川氏)。

 同時に、今後10年後を見据えるとインターネットを利用したマルチデバイス対応が欠かせないものになると考えた若菜氏。「PCだけで利用するのでなく、タブレットやスマホなどのスマートデバイスでも活用できるものが今後は必要になるはずです。共同研究の中で蓄積されたノウハウをもとに、マルチデバイスに対応できる相続相談サービスを構築するべく共同開発へと進んでいったのです」。そして1年あまりの開発期間を経て、2014年11月より新たに「相続相談サービス」がリリースされることになる。

導入の効果

震災復興に貢献しながらサービスレベルの向上を実現

 今回の仕組みは、実際の窓口と同じようにWebサイトに向かって口頭で話しかけると、東芝グループが持つ高度な音声認識技術や音声合成技術、知的対話技術によってその内容が解析され、人手を介すことなく音声による対話で返答してくれるものだ。SaaS(Software as a Service)形式でサービス提供されており、声による入力だけでなく、テキストやあらかじめ表示された選択肢からでも相談できるようになっている。「Webサイトに向かって話しかけるだけでお客さまの相談にお応えできるのは、複数の音声技術をハイブリッドに組み合わせる高度な技術力を持つ東芝グループだからこそ」と若菜氏は力説する。なお、銀行が目指す応対のサービスレベルが満たせるよう、応対を行うアバターの言葉遣いも細かくチューニングされている。

 現在運用を開始して1ヵ月あまりしか経過していないが、日々数十件のアクセスが発生し、相続に関する相談がWebサイト上で行われているという。「効果の検証はこれから行っていきますが、現実的にはこの相続相談サービスだけで相続手続きを完全に終わらせることはできません。それでも、実際に利用いただいて少しでも相続手続きに関する予備知識を身につけていただければと考えています」と若菜氏。

 また、事前に必要な役所での手続きや書類が明確に示せることで、相談業務そのものの省力化にも貢献していると肥田木氏は評価する。「直接的な効果ではありませんが、相続の相談を受ける司法書士の方や相続の話題に接する機会の多い葬儀社の方から営業店のほうに連絡がきたという話は聞いています。当初想定したものよりも幅広い方にご利用いただけているようです」と古川氏。

 さらに、営業店ごとに相続に関する知識の差を埋め、サービス品質の均一化にも貢献していると肥田木氏は評価する。「これまで経験の少ない若手に対する研修材料としても活用できます。知識の底上げによってサービスレベルをこれまで以上に高めていけることを期待しています」。

 東芝ソリューションに対しては「現場の運用における課題とうまく技術をマッチングさせていただき感謝しています。我々のニーズをよく理解していただいていたからこその提案でした」と評価する若菜氏。なお、今回は東芝ソリューションとの共同開発プロジェクトだが、「稼働後に当初想定していなかったシステムの改善点が出てくるケースもあります。そんな折にもスピーディかつ真摯に対応いただいており、本当に感謝しています」とアフターフォローに対する評価も高い。

将来の展望
肥田木 聡 氏(左)、若菜 正典 氏(中央)、古川 裕章 氏(右)

肥田木 聡 氏(左)
若菜 正典 氏(中央)
古川 裕章 氏(右)

 今後について若菜氏は「今回は相続という複雑な業務に対して、音声認識や知的対話技術を用いることができました。今後は、営業店が課題に感じている他の業務に対する応用も期待できると考えています。高齢化に対応するためには、業務の簡素化が何よりも重要です。音声技術をさらに活用しながら、業務の効率化に貢献していきたい」と語る。もちろん「相続相談サービス」の認知を進めるなど、さらなる利用率向上に向けた啓蒙活動も引き続き行っていくという。

 また、今回初めてクラウドサービスを利用したことについては「初めてのクラウドだったこともあり、セキュリティポリシーなどの規定の見直しを行いました。これがきっかけとなり、クラウドという安定した仕組みが新たな選択肢として広がるのではないかと考えています」と古川氏。

 東芝グループでは、音声認識技術や音声合成技術、知的対話技術という音声に関する技術だけでなく、画像検索や画像認識など様々なメディアに対する高度な知見を持っており、これらを組み合わせたメディアインテリジェンスに関するソリューションを展開している。これからも地域のために様々なサービスを展開する同行の業務を、東芝グループ総力を挙げて強力に支援していくことだろう。


この記事内容は2014年12月1日に取材した内容を基に構成しています。
記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名
株式会社東邦銀行
設立
1941年11月4日
代表者
取締役頭取 北村 清士
本社所在地
福島県福島市大町3-25
事業概要
「すべてを地域のために」をコーポレートメッセージに、福島県を中心とする地域に向けた震災復興に繋がる支援姿勢を強化。地域への円滑な資金供給を実施しながら、ビジネスマッチングの強化や復興商談会の開催による地域産業の創出や活性化支援など、福島の復興・発展に貢献する活動を展開。
URL
http://www.tohobank.co.jp/ 別ウィンドウで開きます
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