東芝デジタルソリューションズ株式会社

お客さまインタビュー

訪日外国人へのインフォメーション業務を支援
高度な音声認識と同時通訳でインバウンド施策を担う「RECAIUS™

カンパニー:株式会社西武プロパティーズ×ソリューション:東芝コミュニケーションAI「RECAIUS(TM)」
本部ビル

多くの訪日外国人がショッピングに訪れる軽井沢・プリンスショッピングプラザ。ここにおいて、インフォメーション業務に不可欠な複数言語対応を円滑にするための新たな仕組みがある。スマートフォンに話しかけることで、音声認識と機械翻訳を並行実行する同時通訳機能を搭載したクラウドサービスを活用、訪日外国人とのコミュニケーションを実現している。これが、株式会社東芝 インダストリアルICTソリューション社(以下、東芝)が提供する東芝コミュニケーションAI「RECAIUS™」による音声トランスレータ/同時通訳サービスだ。

訪日外国人のお客さまが年々増加し、インフォメーション業務における複数言語での対応が急務に。外国語を話せるスタッフの人材確保を進めながらも、彼らが不在となる時間帯の対応方法を検討していた。
実証実験を経て、スマートフォンを利用した音声トランスレータ/同時通訳サービスを導入。インフォメーション業務も専門用語の辞書登録により円滑に実現し、急遽呼び出された場合も、同プラザ内の離れたエリアで対応できるようになり、訪日外国人によるインバウンド需要に応える環境を整えることができた。
導入の背景

インフォメーション業務におけるインバウンド施策の強化が必要に

松田 晃一 氏

リゾート商業運営部
マネジャー

松田 晃一 氏

 商業施設事業や不動産事業に実績を持つ西武商事と西武不動産が2009年に経営統合し、西武グループにおける不動産事業の中核企業として事業を展開する株式会社西武プロパティーズ。西武鉄道やプリンスホテルなど西武グループが保有する不動産を有効活用し、資産価値を高めるためのさまざまな施策に取り組んでいる。2016年7月には、初の大型プロジェクトとして、ホテルやオフィス、商業施設、住宅などで構成される複合市街地「東京ガーデンテラス紀尾井町」を開業させた。また、西武鉄道沿線での商業施設開発や既存施設のリニューアルも積極的に行っている。また、西武グループでは“「観光大国ニッポン」の中心を担う企業グループへ”といったスローガンを掲げており、同社においてもインバウンド施策に注力すべく、魅力的な施設づくりに取り組んでいる。

 そんな同社が施設運営を手掛ける軽井沢・プリンスショッピングプラザ(以下、軽井沢PSP)では、日本人だけではなく、年を追うごとに増え続けている訪日外国人にも楽しくショッピングをしてもらえるようさまざまなインバウンド施策を講じてきた。その大きな役割のひとつが、お客さまに情報を提供するインフォメーション業務だ。「以前から海外のお客さまに対応すべく、中国語が堪能な担当者をインフォメーションに配置するなどお客さまサービスの向上に取り組んでいました。そして今回、さまざまな国からのお客さまが増加することを考え、さらなる対応が必要と考えていました」とリゾート商業運営部 マネジャー 松田 晃一氏は当時を振り返る。

導入の経緯

人材確保が困難な中、仕組みによるバックアップを検討

花田 健彦 氏

総務部
マネジャー(システム担当)

花田 健彦 氏

 軽井沢PSP内に設置されたインフォメーションには、ピーク時は1日3,000人あまりの方が訪れ、そのうち訪日外国人が2〜3割を占める。ブランドショップの場所や荷物の預かり場所、軽井沢のおすすめスポットなど、さまざまな問い合わせに対応している。そのため、外国語を話すことができるスタッフを採用することはもちろん、電話通訳サービスや指さしコミュニケーションシートなどいろいろな手段で対応してきたという。「ただし、インフォメーションの場合は迅速な解決が期待されており、外国語を話せるスタッフが不在の際には、フロアガイドのようなパンフレットや地図、ジェスチャー、顔の表情などでコミュニケーションを成立させてきました。しかし、それだけでは思い通りに通じない部分もあり、対策を講じようと考えたのです」と松田氏は語る。

 情報システム全体を管理している総務部 マネジャー 花田 健彦氏のところにも、現場の状況は伝わっていた。「軽井沢PSPの場合、外国語が話せるスタッフに、営業時間帯に絶えず対応してもらうことは現実的に難しい。複数の言語を理解して会話を成立させる手段を模索したいと思っていました」。そんな折、音声認識技術に関する情報とそのための製品づくりに取り組む話を東芝から聞きつけたという。

導入のポイント

専門用語の辞書登録機能が翻訳の精度を高める技術的な優位性に

 そこで花田氏は、東芝に対して軽井沢PSPを実証実験の場として活用することを提案し、円滑な同時通訳が可能になる「RECAIUS™」技術による実証実験を行うことが決定する。しかし、松田氏は当初まったく期待をしていなかったとその思いを吐露する。「当時話題にあがっていたソフトでも音声認識の精度が充分とは言えず、懐疑的な思いがあったのが正直なところでした。しかも音声認識にプラスして、きちんと文節で理解する翻訳部分が必要であり、現実的には難しいのではと考えたのです」。

 しかし、東芝のクラウドサービスを実際に使ってみてその印象は一変する。「中国語が話せるスタッフと一緒に試してみたところ、期待以上に音声認識が反応してくれました。従来の一般的なサービスでは、認識した単語をそのまま変換してしまうものばかりでしたが、東芝のサービスは表現が固いながらも接客に使えるレベルで、会話の流れをきちんと理解していた印象でした」と松田氏は振り返る。

 その後の実証実験については、2年の間に4度ほど行われ、中華圏の夏休み期間や国慶節、春節など来客が多くなるタイミングに実施された。その実証実験ではさまざまなリクエストを出し、二人三脚で進めていったと松田氏は語る。「当初は外付けの大型マイクが備えられた持ち運びのできないような代物でしたが、さまざまな要望に対して真摯に応えていただき、改善を図っていくことができました」。実証実験を経てリリースされた製品版では、スマートフォンのアプリとして利用可能となり、軽井沢PSPでの正式採用への大きな原動力になっている。

 また技術的な視点では、効果指標となるKPIの設定を大きく変えたことが実証実験を大きく前進させる契機になったと花田氏は力説する。「翻訳の正確さを追及するのではなく、意思の疎通を優先させたことが大きなポイントでした。正確でなくてもニュアンスさえ伝わればいいということが、実証実験を通じてわかったのです」。

渡邉 真也 氏

商業企画部
マネジャー(営業企画担当)

渡邉 真也 氏

 商業企画部 マネジャー 渡邉 真也氏は、「実際に使われているシチュエーションや現場でお客さまとコミュニケーションしていくなかで、100%の精度にこだわることはないということが共通認識できたのです。その瞬間から、技術が急速に成熟していった気がしています。正確な統計はとっていませんが、6〜7割の内容が理解できればコミュニケーションが進むという印象です」と語る。松田氏は「言っていることが“まったくわからない”から“大体わかる”レベルになった。これはものすごい進歩だと思います」と評価する。

 この実証実験を経て正式版リリースのタイミングで採用を決断した同社だが、そのポイントについて渡邉氏は、「実証実験のおかげで、軽井沢PSPにとって使いやすい仕組みを東芝さんと一緒に考えて、便利なものにすることができました。既製品として存在しているほかの通訳の仕組みを導入するよりも、はるかに使い勝手がいいと感じています」とその決断の背景を語る。

 そして、他社にはない強みとして花田氏はチューニング性能の高さをポイントに挙げている。「将来的には、インフォメーションだけでなく軽井沢PSPにある各ブランド店舗への展開も視野に入れており、それを考慮すると汎用的な翻訳ではなく、RECAIUS™のように専門の辞書が作れる機能が有効です。また、軽井沢PSP周辺の地名などの認識もさらに増やしていけばより精度の高い回答ができるということなのです」と花田氏は評価する。

同時通訳サービスフロー

同時通訳サービスフロー
導入の効果

万一の際の切り札として、スタッフに安心感を与える仕組みへ

RECAIUSを利用した同時通訳サービス

 現状は、「RECAIUS™」における音声トランスレータ/同時通訳サービスを月額サービスとして利用し、中国語と英語の通訳を可能にする仕組みとしてインフォメーションにある2台のスマートフォンからサービスにアクセスしている。実際のところ、利用時はジェスチャーや片言の英語だけでは対応できないような状況が多いという。「フードコートで食事をした中国のお客さまが差し歯をティッシュに包んだまま忘れてしまったということがありました。お客さまも懸命に英語で説明されるのですが、フードコートという場所と会話に出てくる歯という単語がシーンとしてつながらず、何度聞いても理解できませんでした。しかし、このサービスを活用し、お客さまがおっしゃる歯は差し歯であるということが分かって、対応することができました」と具体例をもとに松田氏は説明する。

 なお今回の仕組みは、サービスにアクセスするための回線には施設内のWifiではなく、4G/LTEを利用している。「インフォメーションが閉まった後でも、飲食店エリアの一部はオープンしています。実は、飲食店内で体調が悪くなった中国のお客さまのため、急きょ救急車を呼ぶことになったこともありました。サポートのため呼び出されたのですが、通常の搬送の対応に加え、この同時通訳サービスを駆使することで、救急隊、お客さまと私たちでコミュニケーションをとりながら無事に搬送でき、タクシーで追いかけるお連れのお客さまに対しても搬送先の病院をスムーズにご案内できたのです。エリアに縛られない4G/LTEならではですね」と渡邉氏。これを使えば何とかなるという安心感をスタッフに与えるという部分でも大きな効果を発揮したと評価する。

RECAIUSを利用した同時通訳サービス

 東芝に対しては「大企業でありながら、ベンチャー企業のような柔軟性、弾力性のある対応をしていただけました。そうでなければ、これだけの仕組みをわずか2年で製品にまでもっていくことは難しかった」と松田氏は評価する。特にスマートフォンへの実装は、まさに一緒に作り上げていくことで生まれた“共創”の成果だと指摘する。「何とか持ち運びができないかという、私たちのわがままを形にしてくれた」。また花田氏は、「今回、東芝の研究所にもバックアップしていただきましたが、フロントに立つ営業、技術の方や開発研究者との連携の理解があってはじめてうまくいくもの。最終的にいいサービスにしていただけました」と評価する。渡邉氏は「私自身はプロジェクトにおいては後方支援の立場で、契約や仕組みの話をする機会が多かったのですが、非常にフレキシブルに動いていただいた印象です。また、軽井沢PSPを含めた当社のほかの施設に親近感を持っていただいており、互いに信頼を築けたこともプロジェクト成功の理由の1つではないでしょうか」と評価する。

将来の展望

楽しく買い物ができる、意義ある空間づくりに一層尽力

花田 健彦氏(左)、松田 晃一氏(中)、渡邉 真也氏(右)

花田 健彦氏(左)、松田 晃一氏(中)、渡邉 真也氏(右)

 今後については、軽井沢PSPに出店している各店舗に対しても必要に応じて通訳サービスを展開し、施設全体の魅力を高めていく施策にも取り組んでいきたいという。「売上を伸ばすことも大切ですが、世界中のお客さまがここで買い物することが楽しい、ここで買い物することに意義がある、と思って下さるようにしたい」と松田氏は語る。

 渡邉氏は「インバウンド施策に役立つインフラとして整備できましたので、今後はほかの施設への横展開も検討していきたいと考えています。また、RECAIUS™には音声認識以外の様々な技術が用意されていますので、私たちの事業に照らし合わせながら活用できるものは合わせて検討していきたい」と今後に期待を寄せる。
 システム面では、「全社的にIoT化を進めるための体制づくりを始めています。さまざまな技術と多くの実績を持っている東芝さんに、今後も期待しています」と将来について花田氏は語る。

 東芝が持つ東芝コミュニケーションAI「RECAIUS™」。同社のビジネスを今後も強力にバックアップしていくことだろう。

この記事の内容は2016年6月10日に取材した内容を元に構成しています。
記事内における数値データ、組織名、役職などは取材時のものです。

COMPANY PROFILE

会社名
株式会社西武プロパティーズ
設立
1974年8月31日
代表者
取締役社長 安藤 博雄
本社所在地
埼玉県所沢市くすのき台1-11-2
事業概要
西武鉄道沿線の開発や都心エリアでの再開発、ショッピングモールの開発・運営など西武グループにおける不動産事業を担う
URL
http://www.seibupros.jp/ 別ウィンドウで開きます

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