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日本経済新聞 2004年7月掲載広告
注)情報・役職等は2004年7月時点のものです
エクスプロラビジョン・アウォード(EVA)の2007年度は、約4,500チーム、1万4千人の生徒が参加しました。


アメリカとカナダのこどもたちを対象に、全米科学教師協会(NSTA)が毎年主催する科学技術コンテスト「エクスプロラビジョン・アウォード(EVA)」。このプログラムは、1992年に東芝とNSTAによって創設され、今年12回目を迎えました。あたかも未来を探検するかのように、こどもたちが20年後のテクノロジーと人々の暮らしをひとつのビジョンとして提案し、科学技術に対する理解の深さや創造性、表現力などを競い合います。
今年のチャレンジャーはなんと4,377チーム、総勢13,463人。幼稚園から高校まで幅広い年齢の子どもたちが参加しました。さて今回は、どんな作品が集まったのでしょうか。NSTAを代表し、アイゼンクラフト博士にお話をうかがいました。
八塩)コンテストに優勝したこどもたちがつくったホームページを拝見しましたが、いずれも本当に素晴らしい作品で驚きました。
博士)ありがとうございます。今年は“ペットのフンを探し出して燃料に変えるロボット”“折れた骨を瞬時につなげる磁力ジェル”“バクテリアに汚染された肉を検出する手袋”などユニークな作品がいくつも登場し、私たちも非常に感銘を受けました。
一例をご紹介すれば、8歳のこどもたちのグループが発案した”スリープ・ドクター“は、悪夢についての研究から生まれたものです。彼らのうちの一人が、悪い夢に悩まされている自分の弟を助けたいと考えたんですね。まず夢について調べてみると、悪い夢を見ている間には眼球の動きが速くなるとか、呼吸が荒くなるといった生理学的な変化が起きているが分かりました。そうした変化を計測し、症状が現れたら好きな音楽や録音した母親の声などを流してあげることで、弟を悪夢から開放することができると考えたのです。これは素晴らしい発想だと思いませんか。
八塩)そうした素晴らしい発想は、どうしたら生まれるのか非常に興味深いのですが、具体的にコンテストの目的をお話しいただけますか。
博士)このコンテストはNSTA(National Science Teachers Association/全米科学教師協会)が運営しています。
その目的は「幼稚園から高校生までの科学教育の統合と、あらゆる才能、興味を持った学生が意味ある科学活動に参加できる機会を提供すること、またそれによる技術の科学原理に対する理解の増進を図ること」です。簡単に言うと、こどもたちが現在の科学やテクノロジーに対する理解を深め、それをきっかけにして未来への希望を持ち自分の才能を伸ばしていける、そんな機会をつくりたかったのです。
私たちのこうした思いに東芝も賛同してくれて、第1回からずっと私たちの良きパートナーとしてサポートを続けてくれています。
八塩)コンテストの内容が大変ユニークですね。
博士)現在のテクノロジーが20年後には、どんな進歩を遂げ、どのように人々の生活に寄与しているか。それをこどもたちが考え、プレゼンテーションします。
テーマは特に決まっていなくて、自分たちが関心のあるテーマを自由に設定し、教師やメンターの支援も得ながらチームで協力し合って、未来のテクノロジーのアイディア、つまり、自分たちの作品を完成させていきます。
八塩)なぜ、100年後でなく20年後なのですか。
博士)20年後というのは、ある意味で非常に微妙です。たとえば20年前の私たちが、現在のように携帯電話やノートPCが普及していることをいったい想像できたでしょうか。今のように科学技術の進歩が早い時代にあっては、20年というのはかなり長い時間を意味するのです。
しかし一方で、5歳のこどもたちも20年後には大人になっています。彼らは自分自身の20年後に思いをはせ、将来への希望や自分が果たすべき役割についても、あわせて考えることになります。そのことにも重要な意味があると思うのです。
八塩)確かに、こどもたち自身の手でその新しいテクノロジーを開発し、人々の生活に寄与する可能性は非常に大きいですね。

八塩)今年は4,377チーム、総勢13,463人も参加したのですね。審査も大変だったでしょう。
博士)ええ、いつも大変です。そこでまず地区予選を行います。その段階で、科学と現在の技術に対する理解、研究の質、創造性などについて総合的に判定し、地区予選の勝者に結果を通知します。
そして、ここからがEVAのユニークなところなのですが、彼らには東芝のノートPCとデジタルカメラが贈られ、彼らはそれらの機材を使ってホームページをつくり最終選考に臨みます。
八塩)つまりEVAで優勝するためには、技術に対する理解の深さや創造性ばかりでなく、その表現力も問われるということですか。インターネットで私が見たこどもたちの作品は、実は彼ら自身がつくったものだったのですね。
博士)かつてEVAがスタートした頃は、ビデオ制作によるプレゼンテーションで最終選考を行っていました。最近は、科学の分野でもホームページを使ったコミュニケーションが一般的になってきましたから、EVAもホームページ制作によるプレゼンテーションを取り入れたのです。
それぞれの時代の新しい技術と方法を駆使して、自分たちの考えをいかに分かりやすく正確に伝えていくかということも、科学者としての大切なスキルだからです。
八塩)第一回からの延べ参加者がついに20万人を超えましたね。
博士)このコンテストに参加したこどもたちの多くが、大学に進学したり、卒業後さまざまな分野に進んでいます。そのなかから優秀な科学者も輩出しています。EVA自体が、そうした分野に進む道程の第一歩になっているとすれば、それは大変うれしいことです。
でも、たとえ科学者にならなくても、少なくとも「科学的リテラシー」つまり科学的に読む、見る、書く、話すといったことが自然にできる、そういう市民を醸成するのに役立っていることは確かだと思います。
八塩)それは素晴らしいことだと思います。
博士)そのためにも、東芝とNSTAとのパートナーシップがこれからさらに深まっていくことを期待しております。
八塩)ぜひ、日本版EVAを企画していただきたいですね。
博士)そうなる日を私も心待ちにしています。
Dr.Arthur Eisenkraft
(アーサー・アイゼンクラフト)
科学教育学博士。元全米科学教師協会(NSTA)会長。米国の科学教育改革活動に積極的に参加。
また、教育内容委員会の一員として全米科学教育標準策定に参画、全米科学アカデミーの科学・数学・技術教育センターの顧問委員会委員等を務める。2004年9月からは、マサチューセッツ大学で教鞭をとる。
八塩 圭子 氏
(やしお けいこ)
上智大学法学部卒業後、テレビ東京入社。
報道局経済部で記者をつとめた後、同局アナウンス室に異動。「出没!アド街ック天国」「株式ワイド・オープニングベル」その他、報道、情報番組など多数出演。また、法政ビジネススクールにてMBA取得。2003年6月より、フリーアナウンサーとして活動を開始。
現在、フジテレビ系列『めざましどようび』のメインキャスターとしてレギュラー出演中。
EVA公式ホームページ(英語)(別ウィンドウで開きます)

日本経済新聞
2004年8月5日(木曜日)朝刊 掲載広告