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![ハイライト2005[1] 環境問題が深刻化する今日、メーカーの生み出す製品は、性能など製品価値の高さと同時に、地球環境への負荷を最小に抑えることを要求される。この2つを同時に評価する指標として東芝グループはお客様の価値観を反映した「ファクターT」を誕生させた。](img/read.gif)
CSRレポート2005に掲載
注)情報・役職等は2005年6月時点のものです
いつの時代も製品をその性能・品質によって選択する消費行動は変わらない。しかし「冷蔵庫、エアコンでは40%以上のお客様が『製品の選択にあたって環境配慮を非常に重視する』とアンケートに回答しています」とグリーンコンシューマーの台頭を環境推進部の実平喜好は指摘する。
「豊かな暮らし」と「健全な地球環境」の両立を図るには、製品の価値向上と環境への配慮を同時に評価できることが必要だ。そのため東芝は、独自の手法を組み込んだ環境効率指標、ファクターTを開発。実平は環境効率の向上を全社で取り組むことによって「設計者は環境配慮を業務プロセスの中に取り込み、お客様はファクターTを基に購入製品を選択する」シーンを描く。
2003年4月、「新たな豊かさ」の指標「ファクターT」開発プロジェクトが発足した。「後発でしたので、各社の指標を比較評価して、最も完成度の高い指標づくりをめざしました」と実平は当時を振り返る。
環境効率は、算式は単純だが、製品価値・環境影響の算出は、実態に迫れば迫るほど複雑になる。そのため先行企業ではシンプル化している例も少なくない。しかし指標開発に携わった研究開発センターの小林由典は「製品価値と環境影響、どちらも詳細な分析ができるよう、豊富なデータを取り込める本質的な指標づくりを追求しました」と開発者としてのこだわりを隠さない。
「製品の価値」の数値化については品質機能展開(QFD)という手法を採用した。これは製品の価値を決めるのはお客様であるという考えから、製品の持つ様々な機能を、お客様が製品選択の際に考慮する重要度に基づいて統合するものだ。東芝グループでは品質管理ツールとして長年使い慣れた手法である。「製品の環境影響」については日本版被害算定型影響評価手法(LIME(注1))を採用した。これは製品ライフサイクル全体の環境負荷データから環境影響を推定する手法である。さらに、様々な環境影響を人々の価値観に基づいて統合化している。これも「当社には豊富なライフサイクルアセスメント(LCA)情報の蓄積があったため導入が容易だった」と小林。ファクターTの最大の特徴は「製品の価値と環境影響の両方にお客様の価値観を反映していることです」と強調する。
新たな豊かさを示す「環境効率」とは、製品の価値を向上させながら、環境への影響を小さくするための指標です。

「製品の環境影響」が小さいほど、また「製品の価値」が大きいほど、環境効率の数値は大きくなります。この数値が大きいほど、新たな豊かさが大きいといえます。

基準製品とは一般的には、過去における製品、評価製品とは一般に、新しい製品を指します。つまり、ファクターの数値が大きいほど、バランスのとれたよい製品であるといえます。
東芝家電製造(株)大阪工場は冷蔵庫の国内生産拠点である。冷蔵庫技術部の幡中秀治は「冷蔵庫は、これまでもオゾン層保護、温暖化防止、省資源、化学物質削減などに取り組み、結果的に環境効率を向上させてきました」と環境配慮を積極的に推進してきたことを説明する。それではファクターTの誕生は設計の現場に何ももたらさなかったのだろうか。「いいえ、ファクターTの数値が各製品への目標値として落とし込まれることで、設計者は製品の価値と環境影響の両方の因子を洗い出し、目標達成に向けて総合的に取り組めるようになりました」。「いつまでにどの課題を解決するのか、取り組みの優先順位づけ、スケジュール化ができるようになったことが最大の成果です」とファクターT導入のメリットを強調する。ファクターTはできあがった製品の成果を測定するだけではなく、新たな豊かさを提供する製品を生み出す指標として有効活用され始めているのである。
東芝ではファクターTに関するアンケートを実施している。その回答の分析によると、ファクターという指標の有効性については、「有効」「まあ有効」とする人が70%を超えた。その一方で「他社の製品と比較できないと購入するときの選択肢になりえない」との声も少なくない。実平は「指標開発の目的の一つはお客様のご要望に応える環境調和型製品を創出していく仕組みづくりだが、お客様が商品購入をする際にこの指標を使ってもらえるようになることがもう一つの大きな目的」として「ハードルは高いが、指標の統一化に向けて業界全体で議論を進めていきたい」と意気込みを語る。
東芝グループでは、2010年度の製品の環境効率を2000年度の2.2倍にする「環境ビジョン2010」を掲げ、ファクターT対象製品を家電だけでなく産業用機器などの製品群まで適用範囲を広げていく考えだ。具体的には100製品群中70製品群を対象とし、30以上の製品については、個別にファクターTの目標値を設定。一定のファクターを達成した製品については「エクセレントECP(環境調和型製品)」に認定するという。
東芝がめざす「お客様とつくるエコプロダクツ」に向けたあくなき挑戦は今日もつづく。
環境推進部 参事
実平 喜好
ファクターTを通じてお客様とのコミュニケーションが活発になり、商品選択の際に活用されることを期待しています。
研究開発センター
環境技術ラボラトリー
小林 由典
ファクターTは、製品価値や環境影響に豊富なデータを入れ込み、それらの評価にはお客様の声を反映することができます。
東芝家電製造(株)
冷蔵庫技術部 参事
幡中 秀治
設計者はファクターTの目標値に向けて何をすべきか明確になり、エコプロダクトを生み出す指標として有効です。

「ファクターT」の解説や東芝グループ「環境調和型製品」のファクターを掲載しています。
(女性・20代・専業主婦)