
東芝グループは、化石燃料の有効活用、CO2の排出低減を目指し、火力発電の高性能化をさらに進めるとともに、ゼロエミッション火力発電の実現に向けたさまざまな技術開発に取り組んでいます。
火力発電は、現在、世界で発電される全電力量の約70%を支えています。しかし、化石燃料を使用して発電するため、他の発電方式に比べ多くのCO2を排出します。この単位発電量あたりのCO2排出量を削減するために、東芝グループでは、プラント効率のさらなる向上とCCS※1(CO2分離・回収技術)の実用化に向けた技術開発など、次世代火力発電技術の開発を進めています。
効率向上では、タービンを回す蒸気やガスの温度を上げ発電効率を向上させることが大きなテーマとなっています。東芝グループでは、超高温材料や冷却技術などの開発を推進、蒸気温度を従来の600℃から700℃級に高めた、より高効率なA-USC※2(先進超々臨界圧蒸気タービンシステム)の実用化に取り組んでいます。また、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル発電分野では、ガスの燃焼温度を1,500℃級に高めた発電システムを米国GE社と共同で開発しており、2008年7月には国内で営業運転を開始しました。
東芝グループは、火力発電所などから排出されるCO2を分離・回収し地中などに貯留するCCSの技術開発に取り組んでおり、特にCO2分離・回収技術の実用化に向けた開発に注力しています。実用化に向けた技術課題として、いかに発電所の経済性を損ねずにCO2を分離・回収するシステムを構築するかが求められています。東芝グループはこれまでの基礎研究を通して、CO2の分離・回収過程でエネルギー消費が少ない高性能の吸収液を開発しました。小規模試験装置を利用した試験では、その性能が業界トップクラスであることを確認しました。
また、現在、国内の石炭火力発電所内にパイロットプラントを建設しています。これは、石炭火力発電プラントのボイラー排ガスの一部を利用して、CO2分離・回収システムの性能を実証するとともに、火力発電プラント排ガス中のSOxなどの含有物がシステムに及ぼす影響、タービンなど他の発電システム機器との統合とその運用ノウハウなども含め、今後の大型発電プラント向けシステムの設計に必要な検証も行うものです。
CCSをA-USCと組み合わせれば、火力発電所から排出されるCO2を約9割削減できると試算されています。このようなゼロエミッション火力発電の実現を目指して、技術開発に注力していきます。


ガスタービンを用いたコンバインドサイクル発電設備は、低炭素社会へ向けたCO2削減、エネルギー利用の高効率化、経済性向上という点から年々増加しています。東芝グループはその長期・安定運転を支えるためのさまざまな技術開発を行っています。
過酷な環境で使用されるガスタービン高温部品の運用状況を解析・評価し、劣化状況に基づいて余寿命診断を行うために、従来の有限要素法(FEM)解析や、クリープ強度、引張強度、耐力、疲労強度などを調査する方法を併用し、高精度な診断を可能にしました。また、ガスタービンの動翼/静翼の再生と長寿命化を目指して寿命延伸・補修技術の実用化に取り組んでいます。動翼では、当社独自のBLE(Blade Life Extension™)のコンセプトから、修理基準を満たすものは廃棄せず繰り返し再生して使用するようにしています。こうした部品の修理・再生は、経済性の面からランニングコストの低減につながることはもちろん、環境負荷低減にも有効な取り組みです。
