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環境活動

人と、地球の、明日のために。

生物多様性の保全

社会的課題
希少な動植物の絶滅危機、生態系サービスの劣化
東芝グループにとってのリスクと機会
リスク:
水や鉱物などの資源の調達不安定化・コストアップ
取り組みが不十分であった場合の評判・イメージ低下
機会:
資源の調達不安定化やコストアップのリスク回避
従業員のモチベーションアップ
東芝グループの方針
2020年に向けた国際的な目標である「愛知目標」10項目への貢献
具体的施策
事業所内での希少な動植物の保全や生態系ネットワークの構築のほか、従業員教育や事業所外の保護地域の保全、ステークホルダーとの連携など、活動内容を拡大

自然共生社会の実現をめざして

東芝グループでは、「持続可能な社会」の3つの条件である「低炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けて総合的に取り組みを進めています。

低炭素社会ならびに循環型社会については、モノづくりにおける温室効果ガスや廃棄物を削減するとともに、省エネ製品の提供や製品の省資源化など製品ライフサイクル全体での環境負荷削減、さらには地球温暖化の防止に貢献する低炭素発電技術や再生可能エネルギーの開発などに取り組んでいます。

また、自然共生社会の実現に向けては、人間を含むすべての生き物が地球上でにぎわい暮らすとともに、自然からの恵みを享受し続けられることをめざしています。地球温暖化の防止や化学物質による汚染の抑制に加えて、生物多様性が保全された環境を維持・拡大することが重要との認識に立ちグループ全体で取り組んでいます。

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第5次環境アクションプラン実績

東芝グループでは、2012年から2016年までの第5次環境アクションプランにおいて、グローバル主要拠点62拠点でビオトープを整備することをめざして活動してきました。

2012年時点で、2016年のあるべき姿として「生物多様性への悪影響を最小化し、改善に向けた転換が図られている」ことを掲げました。これは各拠点で決定した保護対象の減少を2016年までに食い止め、その後プラスにすることを意図しています。ビオトープの整備は「生物多様性調査」「指標選定・施策展開」「効果測定」の3つのステップで進めました。調査としては敷地内の生き物調査や立地地域のレッドリスト調査、専門家による踏査、周辺地域を含む生物多様性ポテンシャル評価などを実施しました。

これらの調査データを基に指標となる生き物を選定し、指標を保護・拡大するための施策を実施したうえで、定期的な効果測定を行い、プロセスの妥当性を検証しました。これら3つのステップを毎年50%以上の拠点で実施することを目標に推進した結果、各年度の計画をすべて達成しました。全62拠点のなかで、希少な動植物の保護を実施した拠点が32拠点、生態系ネットワークの構築を進めた拠点が42拠点となりました。希少な動植物の保護では、植物・樹木(78%)、魚類(38%)など絶滅危惧種を中心に100種を超える動植物の保護を進めてきました。生態系ネットワークの主な指標種は蝶(約64%)、鳥類(33%)、トンボ(3%)でした。

この3つのステップを中期計画に落とし込むことで、拠点単位およびグループ全体でのPDCAサイクルを回すことが可能になりました。

拠点による活動はデータベース化し、ウェブサイトで公開しています。活動の進捗に合わせ、今後アップデートしていきます。

■ 東芝グループで保護している主な希少生物

「東芝グループで保護している主な希少生物」のイメージ

希少性の定義…IUCN(国際自然保護連合)や各国・各地域のレッドリスト掲載種、または専門家が指定した生物

■ 第5次環境アクションプラン 計画と実績

項目 2012年度
計画
(実績)
2013年度
計画
(実績)
2014年度
計画
(実績)
2015年度
計画
(実績)
2016年度
計画
(実績)
調査実施率 50%
(81%)
100%
(100%)
- - -
指標選定率 -
(19%)
50%
(91%)
100%
(100%)
- -
測定実施率 - -
(18%)
50%
(67%)
100%
(100%)
-

■ 東芝グループ生物多様性保全活動データベース

「東芝グループ生物多様性保全活動データベース」のイメージ

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第6次環境アクションプラン

2010年に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において「愛知目標」が採択されました。愛知目標は「2020年までに回復力があり、また必要なサービスを引き続き提供できる生態系を確保するため、生物多様性の損失を止めるための効果的かつ緊急の行動を実施する」を目標に、2020年までに国際社会が達成すべき20の個別目標を定めています。

社内の生物多様性ワーキンググループ内で東芝グループの事業活動と愛知目標の関連を整理した結果、愛知目標における20の個別目標のうち10項目(愛知目標1、2、4、5、8、9、11、12、14、19)に関連することがわかりました。現在東芝グループでは、この10項目への貢献をめざした生物多様性保全活動をグローバル70拠点で推進しています。

■ 第6次環境アクションプランの推進項目

愛知目標(20目標)より10目標を選定 東芝グループの取り組み(計画)
目標①
普及啓発
従業員教育、情報発信、外部との連携
目標②
戦略・計画への組み込み
環境方針、環境アクションプラン、ISO14001目的・目標への取り込み
目標④
持続可能な生産
地球温暖化防止、資源有効活用
目標⑤
生息地破壊の抑止
自然生息地と事業所を結ぶ生態系ネットワークの構築、植林活動
目標⑧
化学汚染の抑制
化学物質管理
目標⑨
外来種の防除
事業所における外来種の防除
目標⑪
保護地域の保全
事業所外保護地域の保全に資する活動
目標⑫
種の保全
希少な動植物の保護、生息域外保全
目標⑭
生態系サービス維持・管理
文化的サービスの維持・向上
目標⑲
知識・技術の向上と普及
生態系調査データの蓄積・開示(生き物マップ含む)、保全技術の創出

これまで第5次環境アクションプランで進めてきた生態系調査、生態系ネットワークの構築、希少な動植物の保護に加えて、従業員教育や保護地域の保全、自然観察会、ステークホルダーとの連携などにも積極的に取り組んでいきます。

さらに、当社は電機電子4団体生物多様性ワーキンググループにも参加しており、各社ワーキングメンバーとともに電機電子業界としての生物多様性認知向上に向けた施策や、国際動向のリサーチを行っています。

東芝グループは今後も生物多様性の主流化に向け、社内外への啓発活動や活動内容の拡大を進めていきます。

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【事例1】鳥の保護活動

東芝テックヨーロッパ画像情報システム社

「鳥の保護活動」のイメージ

鳥類保護のために、現地NPO法人と連携し、工場敷地内に保護地区を設け、緑地の草刈り時期の変更や飛来数調査を行っています。このような生物多様性保護の取り組みや地域での環境活動が評価され、ノルマンディーで毎年開催される持続可能な環境貢献活動表彰の「審査員賞」(最優秀賞)を受賞しました。

【事例2】社員教育と地域の環境意識向上

(株)ジャパンセミコンダクター 本社・岩手事業所 大分事業所

「社員教育と地域の環境意識向上」のイメージ

事業所内7部門が連携しての希少な花の育苗(岩手事業所)や、構内排水処理水を利用してホタルの幼虫のえさとなるカワニナを飼育し、近くを流れる北鼻川へ放流することによるホタルの呼び戻し(大分事業所)など、社員教育や地域の環境意識向上への貢献が評価され、環境省と環境人材育成コンソーシアムが主催する「環境 人づくり企業大賞2016」で奨励賞を受賞しました。

東北大学大学院 環境科学研究科 教授 香坂 玲 氏

「東北大学大学院 環境科学研究科 教授 香坂 玲 氏」のイメージ世界では確実に生物多様性に関する潮流が起きている。現在多くの国々が、2010年に日本で合意した愛知目標の枠組みを生物多様性にかかわる目標としており、2020年東京オリンピックの年に一つの節目を迎え、日本を含めて評価を受ける。

またISOの環境マネジメントのなかでもその重要性が増している。以前は附属書での言及にとどまっていた生物多様性だが、2015年に改定されたISO14001では、資源、気候変動と同等の位置づけで要求事項として登場している。また持続可能な開発目標(SDGs)は陸域と海域、持続可能な生産や消費などのテーマで生物多様性にかかわる項目が並ぶ。

東芝の取り組みは本社だけではなく、各拠点・工場に自主性を持たせ、どのような動植物を保護していくのか、どのような取り組みを実施していくのか、自ら考えるボトムアップのアプローチの試みとして評価される。多くの工場で希少種、ビオトープ、化学物資の排出抑制などについて積極的に取り組んでいるといった傾向が読み取れる。一方で侵略的外来種への取り組みが不十分であり、全体を見渡して足りない点は本社や各拠点が定期的に見直す必要があろう。定期的に発行される本報告書が振り返りのよいタイミングでもある。その際に翌年、5年後といった期限を定めて目標を設定することも検討いただきたい。愛知目標の枠組みのなかで世界中の工場の活動数を把握し公表しているので、愛知目標のベンチマークとしての特性である「いつまでに何をどれだけ達成するのか」についても検討いただきたい。また普及啓発も実施しているかいないかだけではなく、経験の共有や内容面での深化を期待したい。

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地域連携による実施

東芝グループでは、地域のステークホルダーや行政と連携しながら生物多様性保全活動を進めています。事業所での取り組みについては、NPO法人「鶴見川流域ネットワーキング」(代表:岸由二慶應義塾大学名誉教授)から、さまざまなアドバイスをいただいています。今後も、地域の専門家や関係者と協力しながら生物多様性保全活動を進めていきます。

NPO法人「鶴見川流域ネットワーキング」

「代表の岸由二教授(右)による事業所調査」のイメージ
代表の岸由二名誉教授(右)による事業所調査

NPO法人「鶴見川流域ネットワーキング」ロゴ
http://www.tr-net.gr.jp/

(鶴見川流域ネットワーキングページが別ウィンドウで開きます)

慶應義塾大学経済学部岸由二名誉教授が代表を務めるNPO法人。鶴見川流域において20年以上にわたって生態系調査、自然保護活動などを実施。

東北大学大学院 環境科学研究科 教授 石田 秀輝 氏
NPO法人鶴見川流域
ネットワーキング
代表理事
慶應義塾大学 名誉教授
岸 由二 氏

生物多様性の主流化は、活動や暮らしの足もとで、あらゆる主体が生物多様性の危機と希望を確認し、その保全・再構築に向けた貢献の方法を見出し、日々実践してゆくことと言い換えることができます。この新しい視野の中で、いま、工場敷地の可能性が根本的に見直されようとしています。たとえば足元の水系・流域といった大地(=生態系)の広がりの中で見直せば、どの工場も、地域固有の生態系の決して小さくない一部としてそれぞれの生態系の危機と希望の当事者であり、空中移動できる近隣生物たちの新たな生息拠点提供地として、あるいは地域生態系において絶滅の危機にある空中移動できない生物たちの域外保全の候補地として、大きな期待と希望の焦点であることがわかります。さらに企業敷地は厳しいセキュリティー管理の基にあることから、実は厳正自然保護地域としての特徴も備えています。これらに気付きさえすれば、企業敷地はその立地する生態空間(=水系・流域・丘陵など)における生物多様性保全・回復の希望の拠点、というのが論理必然の帰結となるでしょう。

生物多様性の危機は、世界のあらゆる暮らしの日常領域において、地域と連携して解決すべき自らの課題として認識し実践する主体の多様多彩な工夫を通して克服されてゆきます。この単純明快にしてパワフルな真実にみごとに気付かれ、localにしてglobalなビオトープ戦略をスタートされた御社のご活躍に、心よりの期待を申し上げます。

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大日本印刷グループとの連携

全国6地域12事業所で連携

東芝グループと大日本印刷(DNP)グループは、全国6地域12事業所でお互いの事業所敷地を活用した生物多様性保全活動を進めています。連携施策として、「希少生物の保護」「両社の事業所を結ぶ生態系ネットワークの構築」「合同生物調査」「合同自然観察会」などを行っています。

希少生物の保護では、事業所の周辺に生息する希少な動植物を敷地内で保護、繁殖させることで地域個体群の維持に努めるほか、元の生息地に返還し野生回復を実現した活動もあります。

生態系ネットワークの構築では、両社の事業所敷地内で同じ蝶の食草を育てることにより、事業所ならびに地域の公園、河川などを結ぶ生き物の回廊づくりを進めています。

事業所を選定する際には、同じ流域や丘陵地に立地していることなどを選定条件としました。流域とは降った雨が河川に流れ込む範囲・領域のことであり、里山や丘陵などと同様に生態系の一つの単位としてとらえることができます。連携する事業所間で動植物を移動する場合にも流域内や丘陵地内でおさまるように配慮しています。

■ 地域を結ぶ生き物の回廊のイメージ
「地域を結ぶ生き物の回廊のイメージ」のイメージ

■ 全国6地域12事業所で連携
「全国6地域12事業所で連携」のイメージ

  • ※ 東芝ライフスタイル(株)は2016年7月より中国美的集団となりましたが、今後も大日本印刷(株)名古屋事業所との連携は継続します

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【事例1】大日本印刷グループとの連携 〜小網代の森におけるハマカンゾウ合同返還式〜

東芝ライテック(株) 横須賀事業所

「大日本印刷グループとの連携」のイメージ

2015年より開始した東芝ライテックと(株)DNPテクノパック(大日本印刷グループ会社)とのハマカンゾウ共同保護活動の集大成として、2017年6月4日、両社の事業所で育てた株を小網代の森へ移植する「合同返還式」を行いました。

東芝ライテック本社・横須賀工場(当時)では、三浦半島小網代の森で東日本大震災による甚大な被害と盗掘により絶滅寸前だったユリ科のハマカンゾウ28株を2012年に敷地内へ移植し繁殖させ、2015年には、(株)DNPテクノパック横浜工場へ30株を移植しました。さらに、2014年には横須賀工場より、また2016年には(株)DNPテクノパック横浜工場より、繁殖した株を小網代の森にそれぞれ返還しました。そして、今回の返還式ではNPO法人小網代野外活動調整会議のコーディネートにより両社社員で約900株の「全株」同時返還を行いました。毎年夏から秋にはオレンジ色の美しい花を咲かせてくれることを期待しています。

神奈川県が所有する三浦半島「小網代の森」の維持管理作業を、県・三浦市・(公財)かながわトラストみどり財団と協働して推進する非営利団体

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東芝グループの生物多様性ガイドライン

東芝グループでは、2009年9月に生物多様性ガイドラインを制定しました。事業活動と、生物多様性を含む多様な環境問題を包括的かつ定量的に把握することにより、取り組みの「見える化」を図り、影響の低減、持続可能な利用につなげていきます。

東芝グループ生物多様性ガイドライン

基本方針

東芝グループは、生物多様性の保全および生物多様性の構成要素の持続可能な利用のため、次の取り組みを行う。

  • 事業活動が生物多様性に及ぼすかかわりを把握する。
  • 生物多様性に配慮した事業活動などにより、生物多様性に及ぼす影響の低減を図り、持続可能な利用を行う。
  • 取り組みの推進体制を整備する。

具体的な取り組み

  1. 工場の立地や再配置において、生態系の保護などに配慮する。
  2. 地方公共団体や民間団体などとのコミュニケーションを図り、連携した活動を行う。
  3. 持続可能な社会の一員として、継続的な社会貢献活動を行う。
  4. 環境対策による生物多様性を含む種々の環境側面への影響・効果を評価する。
  5. 資源採掘までを視野においたサプライチェーンにおける生物多様性保全への取り組みを推進する。
  6. 事業活動に由来する資源の消費や環境負荷物質の排出による影響を評価する。
  7. 自然の成り立ちや仕組みに学び、事業の特性に応じて、技術による貢献をめざす。

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