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環境活動

人と、地球の、明日のために。

生物多様性保全への取り組み

希少な動植物の生息域外保全

東芝グループはグローバル66拠点で生物多様性保全活動を展開しています。
確認された希少種は100種類を超えており、敷地内で保護活動を進めています。

事業所敷地内に生息する希少生物が100種類超

東芝グループではグローバル66拠点で生物多様性保全活動に取り組んでいます。まず、2012年、13年の2年間で事業所敷地内および周辺地域の生態系調査を行いました。事業所内で希少な動植物が発見された場合には積極的に保護を進めています。また、周辺地域に生息する希少な動植物を事業所内で保護・人工繁殖させ、本来の生息地へ戻す「生息域外保全(生物多様性条約第9条)」も進めています。

その結果、現在では東芝グループの事業所敷地内で100種類を超える希少な動植物が生息しています。

本来の生息地では存続できない生物について、自然の生息地の外で人工増殖を行い、生息地を再生したうえで野生回復を図る方法。本来の生息地で保全を図る「生息域内保全(同条約第8条)」の補完的措置として取られる手段。

事業所敷地内で希少生物を保護する意義

行政やNPO等が希少生物の保護活動を実施する公園や森林などに比べて、企業の事業所はセキュリティが確保されていることから第三者による盗掘や乱獲の恐れがなく、天敵や侵略的外来種による食害のリスクも少ないと考えています。よって、企業の事業所は厳正自然保護区域としての特徴を備えているともいえます。

土地利用による生態系への影響を認識するとともに、大きな敷地を有する事業所・工場の特徴を活かしたあらたな生態系保全活動として、今後もさまざまな希少生物の保護を進めていきます。

■ 東芝グループで保護している主な希少生物

「東芝グループで保護している主な希少生物」のイメージ

希少性の定義…IUCN(国際自然保護連合)や各国・各地域のレッドリスト掲載種、または専門家が指定した生物

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ギフチョウ東芝ライフスタイル愛知事業所

東芝ライフスタイル愛知事業所では、2014年から事業所内の生態系調査を行っています。この生態系調査によって、愛知事業所敷地内でギフチョウが発見されました。

「愛知事業所内で発見されたギフチョウ(成虫)」のイメージ
愛知事業所内で発見されたギフチョウ(成虫)

「愛知事業所内で発見されたギフチョウ(成虫)」のイメージ

ギフチョウは里山や森林等に生息していますが、近年は里山の放棄や開発によって個体数が減っており、環境省および愛知県のレッドデータブック(RDB)で絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

平地や市街地ではあまり見られず、特に企業の事業所敷地内に生息しているのは大変に珍しいことです。食草のスズカカンアオイが敷地内に自生しており、愛知事業所内では毎年、ギフチョウの成虫のほか、多数の卵や幼虫が確認できます。ギフチョウの生息環境保全のため、ネザサや低木等の刈り取りを定期的に行い、飛翔空間の確保とスズカカンアオイの育成を行っています。

「ギフチョウの卵」のイメージ
ギフチョウの卵

「ギフチョウの幼虫」のイメージ
ギフチョウの幼虫

「食草のスズカカンアオイ」のイメージ
食草のスズカカンアオイ

「生態系調査の模様」のイメージ
生態系調査の模様

■ その他、愛知事業所内で発見された希少種

「サクラバハンノキ」のイメージ
サクラバハンノキ
環境省RDB準絶滅危惧


「シデコブシ」のイメージ
シデコブシ
環境省RDB準絶滅危惧
愛知県RDB絶滅危惧Ⅱ類

「カザグルマ」のイメージ
カザグルマ
環境省RDB準絶滅危惧
愛知県RDB絶滅危惧ⅠB類

「シマジタムラソウ」のイメージ
シマジタムラソウ
環境省RDB絶滅危惧Ⅱ類
愛知県RDB準絶滅危惧

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キンラン東芝横浜事業所

東芝横浜事業所は、埋立地という人工的な立地に位置しながら、事業所内に多くのキンランが生育しています。最初に発見されたのは2008年ですが、2013年から本格的な保全活動を開始しました。

「横浜事業所内に生息するキンラン」のイメージ
横浜事業所内に生息するキンラン

「横浜事業所内に生息するキンラン」のイメージ

キンランはかつては雑木林によく見られましたが、雑木林の放置や山野草ブームによる乱獲などによって個体数が減っており、環境省および神奈川県RDBで絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

多くのランは自分自身で得る栄養だけで生育することは困難で、栄養塩類の吸収には菌類(ラン菌)の助けが必要不可欠です。このため、ランを増殖する方法としてはラン菌の存在が確認された場所への播種が有効とされています。ただし、播種には多くの種子が必要になりますが、自然条件下では種子を確保できる確率が極めて低いことが課題となっています。

そこで、横浜事業所では専門家の協力を得ながら、人工授粉による種子の採取、ラン菌の生息域調査、播種による発芽実験などに取り組んでおり、キンランの保護ならびに増殖をめざしています。

播種(はしゅ):植物の種をまくこと

<人工授粉実験>

「人工授粉実験」のイメージ

<播種実験>

「播種実験」のイメージ

キンランの種子発芽までのステージ

「キンランの種子発芽までのステージ」のイメージ

横浜事業所ではステージ3まで確認し、ラン菌の存在が明らかに。

プロトコーム:ラン科の種子の胚が発育するとき、共生菌(ラン菌)からの栄養塩類の供給をエネルギーとして発育し、胚から生長分化する途中に作る球形の細胞塊

<結果>

実績 2013年度 2014年度
人工授粉約20,000粒約200,000粒
ラン菌生息域調査12地点60地点

今後は、ラン菌の存在が確認された場所において種子からの個体生育に取り組みます。開花までは十数年かかる可能性もありますが、自生地を永続的に維持することをめざして活動を進めます。

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カワバタモロコ東芝姫路半導体工場

東芝姫路半導体工場では、2013年からカワバタモロコの保護活動に取り組んでいます。

「カワバタモロコ」のイメージ
カワバタモロコ

「姫路半導体工場内の保護池」のイメージ
姫路半導体工場内の保護池

カワバタモロコは工場の近隣を流れる揖保川水系ではすでに野生絶滅しており、姫路市立水族館で一部の個体が保護されている状況でした。環境省RDBで絶滅危惧ⅠB類、兵庫県RDBでAランク(環境省RDB絶滅危惧Ⅰ類に相当)になっています。

姫路市立水族館でも絶滅リスク分散のために他の保護地域を探していたことから、2013年6月にカワバタモロコ26匹を姫路半導体工場内の池に放流しました。

「工場内で保護を開始(2013年6月)」のイメージ
工場内で保護を開始(2013年6月)

「個体数が約29倍に増加(2014年4月)」のイメージ
個体数が約29倍に増加(2014年4月)

2014年4月の調査では700匹以上に増えていることを確認しました。同年5月には姫路市立水族館の指導のもと、200匹を元の生息地である揖保川水系に放流しました。その後のモニタリング調査でも生息を確認することができました。今後も野生回復に向けてモニタリング調査を継続していきます。

「元の生息地に放流(2014年5月)」のイメージ
元の生息地に放流(2014年5月)

「近隣の小学校に寄贈(2015年6月)」のイメージ
近隣の小学校に寄贈(2015年6月)

2015年6月には、近隣の小学校の池にカワバタモロコ60匹を寄贈しました。絶滅のリスク分散とともに子どもたちの環境学習も目的としています。

今後もさまざまなステークホルダーと連携することで、保全拠点を拡大するとともに地域コミュニケーション活動も進めていきます。

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ホクオウクシイモリ英国スプリングフィールズフュエル社

英国のスプリングフィールズフュエル社では、国際NGOである「The Wildlife Trusts」が生物多様性に配慮した事業所に対して認証を与える「生物多様性ベンチマーク」を2006年に取得しました。敷地内の池では、欧州保護生物種(European Protected Species)に指定されているホクオウクシイモリを含む2種類のイモリが見つかっており、生き物に配慮した池の整備を進めています。

「ホクオウクシイモリ」のイメージ
ホクオウクシイモリ

「敷地内の池で保護」のイメージ
敷地内の池で保護

「アブラコウモリの巣箱」のイメージ
アブラコウモリの巣箱

2015年4月には、近隣の子どもたちと一緒に自然観察会を行い、さまざまな生き物に交じって9匹のホクオウクシイモリを含む11匹のイモリを確認しました。それ以前の調査で、イモリは1匹〜2匹しか観察することができなかったため、池の中で繁殖が進んでいる可能性があります。ホクオウクシイモリをはじめとする多様な生き物の生息場所として、今後も池の保全に努めます。

また、敷地内には同じく欧州保護生物種に指定されているアブラコウモリが生息しており、巣箱を設置して保護しています。

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ハマカンゾウ東芝ライテック

横須賀市の東芝ライテックでは、三浦半島小網代の谷で盗掘被害に遭っているユリ科のハマカンゾウ28株を、2012年5月に受け入れました。

「ハマカンゾウ移植の模様(2012年5月)」のイメージ

「ハマカンゾウ移植の模様(2012年5月)

ハマカンゾウ移植の模様(2012年5月)

その後、ハマカンゾウの様子を見ながら水やりの頻度や肥料の配合を工夫して成長を見守っていました。
そして2012年の8月、最初の2株が開花しました。

「最初に開花したハマカンゾウ(2012年8月)」のイメージ

「最初に開花したハマカンゾウ(2012年8月)」のイメージ

最初に開花したハマカンゾウ(2012年8月)

しかし、今回の目的は株を増やすことであり、花を育てることではありません。花を咲かせるために費やされる養分を根に向けるため、つぼみの段階で摘む作業を実施しました。
また、土の表面を覆っていた芝を剥がすなど、ハマカンゾウの成長を優先した緑地管理を進めました。

2013年冬の時点では下の写真のような状態で、枯れてしまったのではないかととても心配になりました。

「冬のハマカンゾウ(2013年2月)」のイメージ

「冬のハマカンゾウ(2013年2月)」のイメージ

冬のハマカンゾウ(2013年2月)

しかし2013年の春にはまた元気に芽を出してくれました。
2013年秋の時点で、約60株ほどに増えていることが確認できました。

「2年目の開花時期を迎えたハマカンゾウ(2013年7月)」のイメージ

「2年目の開花時期を迎えたハマカンゾウ(2013年7月)」のイメージ

2年目の開花時期を迎えたハマカンゾウ(2013年7月)

そして2014年5月、最初に移植をしてからちょうど2年を経て約100株にまで増やすことに成功し、小網代の谷で返還式を行いました。

●繁殖に成功し、最初の28株が約100株に増加

「繁殖に成功し、最初の28株が約100株に増加」のイメージ

「繁殖に成功し、最初の28株が約100株に増加」のイメージ

●株数を3倍にして小網代の谷に返還

「株数を3倍にして小網代の谷に返還」のイメージ

「株数を3倍にして小網代の谷に返還」のイメージ

「株数を3倍にして小網代の谷に返還」のイメージ

「株数を3倍にして小網代の谷に返還」のイメージ

●小網代の谷の生きもの

「小網代の谷の生きもの」のイメージ

「小網代の谷の生きもの」のイメージ

「小網代の谷の生きもの」のイメージ

「小網代の谷の生きもの」のイメージ

「小網代の谷の生きもの」のイメージ

「小網代の谷の生きもの」のイメージ

2014年7月には小網代に戻したハマカンゾウが開花しました。順調に野生回復しています。

「小網代ハマカンゾウ」のイメージ

「小網代ハマカンゾウ」のイメージ

2014年7月に小網代の谷は一般開放されました。東芝グループで保全したハマカンゾウが育っているのは「えのきテラス」。私たちのお世話の経験から、ハマカンゾウの見頃は7月下旬〜8月中旬になりますので、ぜひ小網代現地でご覧になってください。

また今後は、東芝ライテックで得られた繁殖のノウハウを他の東芝グループの事業所にも展開して、毎年複数の拠点から東芝生まれのハマカンゾウを小網代の谷へ供給していく予定です。

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生息域外保全における動植物の移動範囲

生息域外保全を実施するうえでは、動植物の移動範囲についての配慮が必要です。例えば、北海道の絶滅危惧種を気候や生息環境が異なる九州の工場で保護することは好ましくありません。では、どの程度の範囲であればよいのでしょうか。

一つの目安として「流域」があげられます。流域とは降った雨が川に集まる大地の範囲であり、生態系の一つの単位としてとらえることができます。そこで東芝グループでは、各拠点で生息域外保全を目的として動植物を移動する際には、同一流域内であることを原則としています。

日本の国土の約70%が109の一級河川流域で占められており、日本国内の東芝グループの拠点がいずれかの流域に立地していることを確認しています。また、日本以外の拠点についても、 各地域の流域図や植生分布図、湿地帯の特徴などを参考にして、生態系の単位に配慮しながら生息域外保全を進めています。

■ 一級水系流域図
「一級水系流域図」のイメージ
資料:国土交通省

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地域連携による実施

東芝グループでは、地域のステークホルダーや行政と連携しながら生物多様性保全活動を進めています。事業所での取り組みについては、NPO法人「鶴見川流域ネットワーキング」(代表:岸由二慶應義塾大学名誉教授)から、さまざまなアドバイスをいただいています。また、東芝ライテックでのハマカンゾウの生息域外保全については、小網代の谷の所有者である神奈川県と連携しています。今後も、地域の専門家や関係者と協力しながら生物多様性保全活動を進めていきます。

NPO法人「鶴見川流域ネットワーキング」

「代表の岸由二教授(右)による事業所調査」のイメージ
代表の岸由二名誉教授(右)による事業所調査

NPO法人「鶴見川流域ネットワーキング」ロゴ
http://www.tr-net.gr.jp/

(鶴見川流域ネットワーキングページが別ウィンドウで開きます)

慶應義塾大学経済学部岸由二名誉教授が代表を務めるNPO法人。鶴見川流域において20年以上にわたって生態系調査、自然保護活動などを実施。

東北大学大学院 環境科学研究科 教授 石田 秀輝 氏
NPO法人鶴見川流域
ネットワーキング
代表理事
慶應義塾大学 名誉教授
岸 由二 氏

生物多様性の主流化は、活動や暮らしの足もとで、あらゆる主体が生物多様性の危機と希望を確認し、その保全・再構築に向けた貢献の方法を見出し、日々実践してゆくことと言い換えることができます。この新しい視野の中で、いま、工場敷地の可能性が根本的に見直されようとしています。たとえば足元の水系・流域といった大地(=生態系)の広がりの中で見直せば、どの工場も、地域固有の生態系の決して小さくない一部としてそれぞれの生態系の危機と希望の当事者であり、空中移動できる近隣生物たちの新たな生息拠点提供地として、あるいは地域生態系において絶滅の危機にある空中移動できない生物たちの域外保全の候補地として、大きな期待と希望の焦点であることがわかります。さらに企業敷地は厳しいセキュリティー管理の基にあることから、実は厳正自然保護地域としての特徴も備えています。これらに気付きさえすれば、企業敷地はその立地する生態空間(=水系・流域・丘陵など)における生物多様性保全・回復の希望の拠点、というのが論理必然の帰結となるでしょう。

生物多様性の危機は、世界のあらゆる暮らしの日常領域において、地域と連携して解決すべき自らの課題として認識し実践する主体の多様多彩な工夫を通して克服されてゆきます。この単純明快にしてパワフルな真実にみごとに気付かれ、localにしてglobalなビオトープ戦略をスタートされた御社のご活躍に、心よりの期待を申し上げます。

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中期計画と年度実績

2015年目標

東芝グループでは、2015年のあるべき姿として「生物多様性への悪影響を最小化し、改善に向けた転換が図られている」ことを掲げています。

これは各拠点で決定した保護対象の減少を2015年までに食い止め、その後プラスにすることを意図しています。

■ 悪影響の最小化と転換のイメージ
「悪影響の最小化と転換のイメージ」のイメージ

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2015年度までの中期計画

東芝グループでは2015年度目標を達成するために、グローバル66拠点でビオトープを整備することをめざしています。

「2015年までの中期計画」のイメージ

ビオトープの整備は「生物多様性調査」「指標選定」「効果測定」の3つのステップで進めます。調査としては敷地内の生き物調査や立地地域のレッドリスト調査、専門家による踏査、周辺地域を含む生物多様性ポテンシャル評価などを実施します。

これらの調査データを基に指標となる生き物を選定し、指標を保護・拡大するための施策を実施したうえで、定期的な効果測定を行い、プロセスの妥当性を検証します。中期計画では、これらのステップを毎年33拠点(50%)以上実施していくことにしています。

この3つのステップを中期計画に落とし込むことで、拠点単位およびグループ全体でのPDCAサイクルを回すことが可能となり、今後はISO14001: 2015年版への対応も進めていきます。

■ 中期計画

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度
調査実施率50% 調査実施率100%
指標選定率50%
指標選定率100%
測定実施率50%
測定実施率100%

※50%=33拠点以上

■ ビオトープ整備のためのステップ

「ビオトープ整備のためのステップ」のイメージ

調査 敷地内の生き物調査、地域のレッドリスト調査、地域の専門家による踏査、周辺地域を含む生物多様性ポテンシャル評価など。
指標選定 調査データを基に対象となる指標を選定する。また、選定した指標を保護・拡大するための施策も策定する。
測定 指標を定期的に測定する。測定対象の例:生き物の種類数・個体数、植物の株数、植栽の面積など。
向上 定期的な測定の結果、指標が改善または向上している。

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2014年度実績

対象66拠点中、 2014年度は指標選定率100%(計画100%)、測定実施率67%(計画50%)となりました。

2015年度に測定実施率100%をめざしています。

地域 対象拠点数 指標選定率 測定実施拠点数 測定実施率
合計 66 100% 44 67%
日本 45 100% 29 64%
中国 11 6 55%
アジア 6 5 83%
米州 2 2 100%
欧州 2 2 100%

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生物多様性保全活動データベースの整備

「「調査」「指標選定」「測定」の状態をマーキング」のイメージ
「調査」「指標選定」「測定」の状態をマーキング

第5次環境アクションプランの対象となっている66拠点の生物多様性保全活動をデータベース化して社内で共有しています。国内外でフォーマットを統一しており、調査、指標選定、測定の3つの段階における各拠点の進捗や活動内容がわかるようになっています。

「調査」のイメージ
調査

「指標選定」のイメージ
指標選定

「測定」のイメージ
測定

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生態系ネットワークの構築

工場を中心とした生態系ネットワークの構築

生態系に影響を与えている人間活動のひとつに土地利用があげられます。住宅地や工場の立地が生き物たちの回廊を分断し動植物の生息環境に影響を及ぼしています。そこで東芝グループでは、工場とその周辺地域を結ぶ生態系ネットワークの構築をめざしています。

当社では家庭菜園としてユズ、スダチなどを自宅で栽培している従業員に対し、葉に付くアゲハ蝶の幼虫をすべては駆除せずに、成虫になるまで見届けるように呼び掛けています。また、希望する従業員には無償でユズの苗木を配付しています。従業員の家庭に蝶を呼び込むことで生息域の拡大に貢献することができると考えています。

植物(蝶の食草) 呼び込みが期待できる蝶(例)
ユズ、スダチ ミアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ
キンカン ナミアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハ

「ユズ」のイメージ
ユズ

「ナミアゲハ(幼虫)」のイメージ
ナミアゲハ(幼虫)

「ナミアゲハ(成虫)」のイメージ
ナミアゲハ(成虫)

さらに、各工場の緑地の一角にユズ畑を整備し、従業員の家庭菜園に来た蝶の卵や幼虫の避難場所とすることを計画しています。

将来的には、家庭での幼虫の駆除数を最小化するとともに、工場を中心として従業員の家庭や地域の森、川、公園などを結ぶ蝶の生態系ネットワーク構築をめざしています。

■ 工場を中心として、従業員の家庭や周辺の公園、森、川などを結ぶ蝶のネットワークづくり
「工場を中心として、従業員の家庭や周辺の公園、森、川などを結ぶ蝶のネットワークづくり」のイメージ

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【事例1】東芝キヤリア富士事業所

工場排水を活用したビオトープで、生態系ネットワークの構築と希少な動植物の生息域外保全を同時に実現

東芝キヤリア富士事業所では、敷地内の緑地にビオトープを整備しました。工場排水を太陽光パネルを利用したポンプで汲み上げて池に導入し、メダカやゲンゴロウ、トンボのヤゴなど多数の水生生物が生息しています。2013年7月にはカルガモの親子も見られました。

「ビオトープの外観」のイメージ
ビオトープの外観

「ビオトープの構造図(工場排水の一部を汲み上げ池に導入)」のイメージ
ビオトープの構造図
工場排水の一部を汲み上げ池に導入

また、池の周りには多数の植栽を施しており、トキワマンサク(静岡県RDB絶滅危惧ⅠB類) 、ヒメシャガ(同絶滅危惧ⅠB類) 、シラン(同準絶滅危惧)などの絶滅危惧種も保護しています。

ビオトープの設置については常葉大学社会環境学部下田路子教授のアドバイスを受け、富士事業所の従業員が管理しています。ビオトープでは近隣の小学生を招いて自然観察会も実施しています。

■ 東芝キヤリア富士事業所ビオトープで観察された生き物(例)

「トキワマンサク」のイメージ
トキワマンサク

「メダカ」のイメージ
メダカ

「ギンヤンマ」のイメージ
ギンヤンマ

「ギンヤンマ(ヤゴ)」のイメージ
ギンヤンマ(ヤゴ)

「ヒメシャガ」のイメージ
ヒメシャガ

「シラン」のイメージ
シラン

「カルガモの親子」のイメージ
カルガモの親子

■ 小学生を招いて自然観察会を開催

「小学生を招いて自然観察会を開催」のイメージ

「小学生を招いて自然観察会を開催」のイメージ

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【事例2】小向事業所

小向事業所では、西の慶應義塾大学、夢見ヶ崎公園と北の多摩川を結ぶ生態系ネットワークの構築をめざしています。敷地内の中庭にある池をトンボ池として改修するとともに、縄文ハスの栽培をはじめました。

「【事例2】小向事業所」のイメージ

従来の池を改修し、0cm、10cm、65cmの3段階の深さを設けました。水深を変えることで多様な生息空間を実現することを狙っており、水深 0cmの縄文ハスゾーン、10cmのヤゴの生息地、65cmのトンボ池としました。

「縄文ハス」のイメージ
縄文ハス

1951年千葉市の遺跡で発掘された、2000年以上前のハスの実から発芽・開花したもので世界最古の花と言われている。現在は日本全国や世界各地に株分けされており、千葉県では天然記念物にも指定されている。

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【事例3】東芝情報機器杭州社

東芝情報機器杭州社では地域の生態系調査を行いました。東の杭州湾湿地はシベリアやオーストラリアと東アジアを結ぶ世界的な渡り鳥の宝庫であり、銭塘江や杭州東部湿地公園を経由して工場内でも多くの渡り鳥が見られます。

今後も工場内の柳林の保全などを通して周辺との生態系ネットワーク強化を進めていきます。

「【事例2】東芝情報機器杭州社」のイメージ

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生物多様性の主流化に向けて

生物多様性の主流化に向けた取り組みの現状

地球温暖化や廃棄物問題に比べて生物多様性の保全については認知度が低いことから、世界各地で生物多様性の主流化※1が進められています。国際的には2010年のCOP10で採択された愛知目標の戦略目標Aに主流化が位置づけられるとともに、各国で国家戦略の策定が進んでいます。国内では行政や民間団体などが企業や市民向けにセミナー、啓発イベント、アワードなどを実施していますが、各種のアンケート調査結果から主流化が進んでいるとは言えない状況です※2

※1
生物多様性の保全と持続可能な利用の重要性が、国、自治体、事業者、NPO、国民などのさまざまな主体に広く認識され、それぞれの行動に反映されること(平成25年版生物多様性白書より)。
※2
環境省が実施した「平成24年度生物多様性分野における事業者による取組の実態調査」によれば、アンケート調査に協力した企業(従業員500人以上、約2,600社)の中で「生物多様性民間参画ガイドラインを知っており活用している」が12%、愛知目標について「知っている」が25%であった。日本企業全体での実態はさらに低いことが予想される。
■ 愛知目標における主流化の位置づけ
愛知目標 【戦略目標A】
各政府と各社会において生物多様性を主流化することにより、生物多様性の損失の根本原因に対処する
目標1
目標2
目標3
目標4
【戦略目標B】
生物多様性への直接的な圧力を減少させ、持続可能な利用を促進する
目標5
目標6
目標7
目標8
目標9
目標10
【戦略目標C】
生態系、種及び遺伝子の多様性を守ることにより、生物多様性の状況を改善する
目標11
目標12
目標13
【戦略目標D】
生物多様性及び生態系サービスから得られるすべての人のための恩恵を強化する
目標14
目標15
目標16
【戦略目標E】
参加型計画立案、知識管理と能力開発を通じて実施を強化する
目標17
目標18
目標19
目標20

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主流化が進まない要因の考察〜生態系サービスの分類から〜

生物多様性保全の目的は人類が自然から受ける「生態系サービス」の持続可能な利用であり、生態系サービスは「供給サービス」「調整サービス」「文化的サービス」などに分類されます。

■ 生態系サービスとは
生態系
サービス
①供給サービス 食料、水、木材、燃料などの物質的な供給
②調整サービス 廃棄物の分解、水の浄化、気候の調整
③文化的サービス レクリエーション、精神的・文化的・知的な恩恵

供給サービス・調整サービスの維持・向上のためには大自然の保護が必要であり、市民向けのイベントなどでも植林や里山の保全など規模の大きな自然保護活動が多く取り上げられます。

しかしながら現状では主流化は進んでおらず、これは現在の生物多様性保全活動が、供給サービス・調整サービスに偏っていることが一因と考えられます。植林や里山保全などのイベントは休日に都市部から離れた自然に出向いて参加する活動であり、リピート率が極めて低いことが課題となっています。また、植林や里山保全などの社会貢献活動は手間や費用がかかるため企業側も相応の負担を強いられることになります。さらに、CSR活動や社会貢献活動の場合は財務状況の悪化などで継続できないケースもあります。

つまり企業や市民レベルで主流化を進めるうえではより身近な自然に日常的に触れられる活動が重要であり、これには都市部における文化的サービスの向上が有効だと考えられます。「文化的サービス」に寄与する活動を工場の敷地内で行う場合は、工場の操業が続く限り活動を継続することができます。

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東芝グループによる主流化への貢献

東芝グループの生物多様性保全活動は文化的サービスに貢献することをめざしており、従業員とその家族や地域住民が一緒になって取り組むことができる、身近で手軽な活動を意識しています。

工場周辺の文化的サービスの向上によって従業員を含む地域住民の意識変革を促し、生物多様性の主流化にも貢献することを視野に入れています。参加者からは「自宅で子どもとアゲハ蝶の観察日記をつけた」「この魚が絶滅危惧種とは知らなかった」といった感想が寄せられるなど、徐々にその成果は表れはじめています。

さらに、東芝グループが進めている「工場を中心とした生態系ネットワークの構築」「希少な動植物の生息域外保全」は、手間もお金もかけない簡易的な手法ながら実効性の高い生物多様性貢献活動が可能であり、中小事業者を含むさまざまな企業で実践が可能だと考えています。今後は企業間連携など広域的な活動も視野に入れています。

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生物多様性ガイドラインを制定

東芝グループでは、2009年9月に生物多様性ガイドラインを制定しました。事業活動と、生物多様性を含む多様な環境問題を包括的かつ定量的に把握することにより、取り組みの「見える化」を図り、影響の低減、持続可能な利用につなげていきます。

東芝グループ生物多様性ガイドライン

基本方針

東芝グループは、生物多様性の保全および生物多様性の構成要素の持続可能な利用のため、次の取り組みを行う。

  • 事業活動が生物多様性に及ぼすかかわりを把握する。
  • 生物多様性に配慮した事業活動などにより、生物多様性に及ぼす影響の低減を図り、持続可能な利用を行う。
  • 取り組みの推進体制を整備する。

具体的な取り組み

  1. 工場の立地や再配置において、生態系の保護などに配慮する。
  2. 地方公共団体や民間団体などとのコミュニケーションを図り、連携した活動を行う。
  3. 持続可能な社会の一員として、継続的な社会貢献活動を行う。
  4. 環境対策による生物多様性を含む種々の環境側面への影響・効果を評価する。
  5. 資源採掘までを視野においたサプライチェーンにおける生物多様性保全への取り組みを推進する。
  6. 事業活動に由来する資源の消費や環境負荷物質の排出による影響を評価する。
  7. 自然の成り立ちや仕組みに学び、事業の特性に応じて、技術による貢献をめざす。

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【TOPICS】生物多様性アクション大賞2014で審査委員賞を受賞

生物多様性アクション大賞2014で東芝グループの生物多様性保全活動が審査委員賞を受賞しました。

生物多様性アクション大賞は「国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)」が主催し、一般社団法人CEPAジャパンが事務局を務める表彰制度で、生物多様性の保全に取り組む団体・個人を表彰するとともに積極的な広報を通じて、日本国内における生物多様性の主流化と愛知目標の達成をめざすことを目的として2013年に創設されました。

生物多様性アクション大賞2014ではNPOや学校など15団体が表彰を受け、当社は企業として唯一の受賞となりました。

「授賞式の模様」のイメージ
授賞式の模様

「表彰状」のイメージ
表彰状

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