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環境活動

人と、地球の、明日のために。

生物多様性保全への取り組み

希少な動植物の生息域外保全

東芝グループはグローバル62拠点で生物多様性保全活動を展開しています。
確認された希少種は100種類を超えており、敷地内で保護活動を進めています。

自然共生社会の実現をめざして

東芝グループでは、「持続可能な社会」の3つの条件である「低炭素社会」、「循環型社会」、「自然共生社会」の実現に向けて総合的に取り組みを進めています。

低炭素社会ならびに循環型社会については、モノづくりにおける温室効果ガスや廃棄物を削減するとともに、省エネ製品の提供や製品の省資源化など製品ライフサイクル全体での環境負荷削減、さらには地球温暖化の防止に貢献する低炭素発電技術や再生可能エネルギーの開発などに取り組んでいます。

また、自然共生社会の実現に向けては、人間を含むすべての生き物が地球上でにぎわい暮らすとともに、自然からの恵みを享受し続けられることをめざしています。地球温暖化の防止や化学物質による汚染の抑制に加えて、生物多様性が保全された環境を維持・拡大することが重要との認識に立ちグループ全体で取り組んでいます。

2012年にスタートした第5次環境アクションプランでは、グローバル62拠点で2015年までにビオトープを整備するという目標を達成しました。特に、企業敷地ならではの取り組みとして希少生物の保護に注力した結果、当社グループの工場敷地内で絶滅危惧種など100種を超える希少な動植物が生息しており大きな成果をあげることができました(「第5次環境アクションプラン実績」参照)。

また、2014年からは大日本印刷グループと全国6地域12事業所での連携活動を開始しました。生物多様性の主流化、ならびに民間参画が求められるなかで今後はさらなる企業連携の拡大をめざします(「大日本印刷グループとの連携」参照)。

2017年度以降の目標設定については、2020年に向けた世界目標である「愛知目標」への貢献をめざしています(「愛知目標の達成に向けて」参照)。

これらの取り組みを進めることで、自然共生社会の実現に寄与したいと考えています。

「自然共生社会の実現をめざして」のイメージ

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事業所敷地内に生息する希少生物が100種類超

東芝グループではグローバル62拠点で生物多様性保全活動に取り組んでいます。まず、2012年、13年の2年間で事業所敷地内および周辺地域の生態系調査を行いました。事業所内で希少な動植物が発見された場合には積極的に保護を進めています。また、周辺地域に生息する希少な動植物を事業所内で保護・人工繁殖させ、本来の生息地へ戻す「生息域外保全(生物多様性条約第9条)」も進めています。

その結果、現在では東芝グループの事業所敷地内で100種類を超える希少な動植物が生息しています。

本来の生息地では存続できない生物について、自然の生息地の外で人工増殖を行い、生息地を再生したうえで野生回復を図る方法。本来の生息地で保全を図る「生息域内保全(同条約第8条)」の補完的措置として取られる手段。

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事業所敷地内で希少生物を保護する意義

行政やNPO等が希少生物の保護活動を実施する公園や森林などに比べて、企業の事業所はセキュリティが確保されていることから第三者による盗掘や乱獲の恐れがなく、天敵や侵略的外来種による食害のリスクも少ないと考えています。よって、企業の事業所は厳正自然保護区域としての特徴を備えているともいえます。

土地利用による生態系への影響を認識するとともに、大きな敷地を有する事業所・工場の特徴を活かしたあらたな生態系保全活動として、今後もさまざまな希少生物の保護を進めていきます。

■ 東芝グループで保護している主な希少生物

「東芝グループで保護している主な希少生物」のイメージ

希少性の定義…IUCN(国際自然保護連合)や各国・各地域のレッドリスト掲載種、または専門家が指定した生物

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ギフチョウ東芝ライフスタイル愛知事業所

東芝ライフスタイル愛知事業所では、2014年から事業所内の生態系調査を行っています。この生態系調査によって、愛知事業所敷地内でギフチョウが発見されました。

「愛知事業所内で発見されたギフチョウ(成虫)」のイメージ
愛知事業所内で発見されたギフチョウ(成虫)

「愛知事業所内で発見されたギフチョウ(成虫)」のイメージ

ギフチョウは里山や森林等に生息していますが、近年は里山の放棄や開発によって個体数が減っており、環境省および愛知県のレッドデータブック(RDB)で絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

平地や市街地ではあまり見られず、特に企業の事業所敷地内に生息しているのは大変に珍しいことです。食草のスズカカンアオイが敷地内に自生しており、愛知事業所内では毎年、ギフチョウの成虫のほか、多数の卵や幼虫が確認できます。ギフチョウの生息環境保全のため、ネザサや低木等の刈り取りを定期的に行い、飛翔空間の確保とスズカカンアオイの育成を行っています。

「ギフチョウの卵」のイメージ
ギフチョウの卵

「ギフチョウの幼虫」のイメージ
ギフチョウの幼虫

「食草のスズカカンアオイ」のイメージ
食草のスズカカンアオイ

「生態系調査の模様」のイメージ
生態系調査の模様

■ その他、愛知事業所内で発見された希少種

「サクラバハンノキ」のイメージ
サクラバハンノキ
環境省RDB準絶滅危惧


「シデコブシ」のイメージ
シデコブシ
環境省RDB準絶滅危惧
愛知県RDB絶滅危惧Ⅱ類

「カザグルマ」のイメージ
カザグルマ
環境省RDB準絶滅危惧
愛知県RDB絶滅危惧ⅠB類

「シマジタムラソウ」のイメージ
シマジタムラソウ
環境省RDB絶滅危惧Ⅱ類
愛知県RDB準絶滅危惧

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キンラン東芝横浜事業所

東芝横浜事業所は、埋立地という人工的な立地に位置しながら、事業所内に多くのキンランが生育しています。最初に発見されたのは2008年ですが、2013年から本格的な保全活動を開始しました。

「横浜事業所内に生息するキンラン」のイメージ
横浜事業所内に生息するキンラン

「横浜事業所内に生息するキンラン」のイメージ

キンランはかつては雑木林によく見られましたが、雑木林の放置や山野草ブームによる乱獲などによって個体数が減っており、環境省および神奈川県RDBで絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。

多くのランは自分自身で得る栄養だけで生育することは困難で、栄養塩類の吸収には菌類(ラン菌)の助けが必要不可欠です。このため、ランを増殖する方法としてはラン菌の存在が確認された場所への播種が有効とされています。ただし、播種には多くの種子が必要になりますが、自然条件下では種子を確保できる確率が極めて低いことが課題となっています。

そこで、横浜事業所では専門家の協力を得ながら、人工授粉による種子の採取、ラン菌の生息域調査、播種による発芽実験などに取り組んでおり、キンランの保護ならびに増殖をめざしています。

播種(はしゅ):植物の種をまくこと

<人工授粉実験>

「人工授粉実験」のイメージ

<播種実験>

「播種実験」のイメージ

キンランの種子発芽までのステージ

「キンランの種子発芽までのステージ」のイメージ

横浜事業所ではステージ3まで確認し、ラン菌の存在が明らかに。

プロトコーム:ラン科の種子の胚が発育するとき、共生菌(ラン菌)からの栄養塩類の供給をエネルギーとして発育し、胚から生長分化する途中に作る球形の細胞塊

<結果>

実績 2013年度 2014年度
人工授粉約20,000粒約200,000粒
ラン菌生息域調査12地点60地点

今後は、ラン菌の存在が確認された場所において種子からの個体生育に取り組みます。開花までは十数年かかる可能性もありますが、自生地を永続的に維持することをめざして活動を進めます。

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カワバタモロコ東芝姫路半導体工場

東芝姫路半導体工場では、2013年からカワバタモロコの保護活動に取り組んでいます。

「カワバタモロコ」のイメージ
カワバタモロコ

「姫路半導体工場内の保護池」のイメージ
姫路半導体工場内の保護池

カワバタモロコは工場の近隣を流れる揖保川水系ではすでに野生絶滅しており、姫路市立水族館で一部の個体が保護されている状況でした。環境省RDBで絶滅危惧ⅠB類、兵庫県RDBでAランク(環境省RDB絶滅危惧Ⅰ類に相当)になっています。

姫路市立水族館でも絶滅リスク分散のために他の保護地域を探していたことから、2013年6月にカワバタモロコ26匹を姫路半導体工場内の池に放流しました。

「工場内で保護を開始(2013年6月)」のイメージ
工場内で保護を開始(2013年6月)

「個体数が約29倍に増加(2014年4月)」のイメージ
個体数が約29倍に増加(2014年4月)

2014年4月の調査では700匹以上に増えていることを確認しました。同年5月には姫路市立水族館の指導のもと、200匹を元の生息地である揖保川水系に放流しました。その後のモニタリング調査でも生息を確認することができました。今後も野生回復に向けてモニタリング調査を継続していきます。

「元の生息地に放流(2014年5月)」のイメージ
元の生息地に放流(2014年5月)

「近隣の小学校に寄贈(2015年6月)」のイメージ
近隣の小学校に寄贈(2015年6月)

2015年6月には、近隣の小学校の池にカワバタモロコ60匹を寄贈しました。絶滅のリスク分散とともに子どもたちの環境学習も目的としています。

今後もさまざまなステークホルダーと連携することで、保全拠点を拡大するとともに地域コミュニケーション活動も進めていきます。

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ホクオウクシイモリ英国スプリングフィールズフュエル社

英国のスプリングフィールズフュエル社では、国際NGOである「The Wildlife Trusts」が生物多様性に配慮した事業所に対して認証を与える「生物多様性ベンチマーク」を2006年に取得しました。敷地内の池では、欧州保護生物種(European Protected Species)に指定されているホクオウクシイモリを含む2種類のイモリが見つかっており、生き物に配慮した池の整備を進めています。

「ホクオウクシイモリ」のイメージ
ホクオウクシイモリ

「敷地内の池で保護」のイメージ
敷地内の池で保護

「アブラコウモリの巣箱」のイメージ
アブラコウモリの巣箱

2015年4月には、近隣の子どもたちと一緒に自然観察会を行い、さまざまな生き物に交じって9匹のホクオウクシイモリを含む11匹のイモリを確認しました。それ以前の調査で、イモリは1匹〜2匹しか観察することができなかったため、池の中で繁殖が進んでいる可能性があります。ホクオウクシイモリをはじめとする多様な生き物の生息場所として、今後も池の保全に努めます。

また、敷地内には同じく欧州保護生物種に指定されているアブラコウモリが生息しており、巣箱を設置して保護しています。

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ハマカンゾウ東芝ライテック

横須賀市の東芝ライテックでは、三浦半島小網代の谷で盗掘被害に遭っているユリ科のハマカンゾウ28株を、2012年5月に受け入れました。

「ハマカンゾウ移植の模様(2012年5月)」のイメージ

「ハマカンゾウ移植の模様(2012年5月)

ハマカンゾウ移植の模様(2012年5月)

その後、ハマカンゾウの様子を見ながら水やりの頻度や肥料の配合を工夫して成長を見守っていました。
そして2012年の8月、最初の2株が開花しました。

「最初に開花したハマカンゾウ(2012年8月)」のイメージ

「最初に開花したハマカンゾウ(2012年8月)」のイメージ

最初に開花したハマカンゾウ(2012年8月)

しかし、今回の目的は株を増やすことであり、花を育てることではありません。花を咲かせるために費やされる養分を根に向けるため、つぼみの段階で摘む作業を実施しました。
また、土の表面を覆っていた芝を剥がすなど、ハマカンゾウの成長を優先した緑地管理を進めました。

2013年冬の時点では下の写真のような状態で、枯れてしまったのではないかととても心配になりました。

「冬のハマカンゾウ(2013年2月)」のイメージ

「冬のハマカンゾウ(2013年2月)」のイメージ

冬のハマカンゾウ(2013年2月)

しかし2013年の春にはまた元気に芽を出してくれました。
2013年秋の時点で、約60株ほどに増えていることが確認できました。

「2年目の開花時期を迎えたハマカンゾウ(2013年7月)」のイメージ

「2年目の開花時期を迎えたハマカンゾウ(2013年7月)」のイメージ

2年目の開花時期を迎えたハマカンゾウ(2013年7月)

そして2014年5月、最初に移植をしてからちょうど2年を経て約100株にまで増やすことに成功し、小網代の谷で返還式を行いました。

●繁殖に成功し、最初の28株が約100株に増加

「繁殖に成功し、最初の28株が約100株に増加」のイメージ

「繁殖に成功し、最初の28株が約100株に増加」のイメージ

●株数を3倍にして小網代の谷に返還

「株数を3倍にして小網代の谷に返還」のイメージ

「株数を3倍にして小網代の谷に返還」のイメージ

「株数を3倍にして小網代の谷に返還」のイメージ

「株数を3倍にして小網代の谷に返還」のイメージ

●小網代の谷の生きもの

「小網代の谷の生きもの」のイメージ

「小網代の谷の生きもの」のイメージ

「小網代の谷の生きもの」のイメージ

「小網代の谷の生きもの」のイメージ

「小網代の谷の生きもの」のイメージ

「小網代の谷の生きもの」のイメージ

2014年7月には小網代に戻したハマカンゾウが開花しました。順調に野生回復しています。

「小網代ハマカンゾウ」のイメージ

「小網代ハマカンゾウ」のイメージ

2014年7月に小網代の谷は一般開放されました。東芝グループで保全したハマカンゾウが育っているのは「えのきテラス」。私たちのお世話の経験から、ハマカンゾウの見頃は7月下旬〜8月中旬になりますので、ぜひ小網代現地でご覧になってください。

また今後は、東芝ライテックで得られた繁殖のノウハウを他の東芝グループの事業所にも展開して、毎年複数の拠点から東芝生まれのハマカンゾウを小網代の谷へ供給していく予定です。

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生息域外保全における動植物の移動範囲

生息域外保全を実施するうえでは、動植物の移動範囲についての配慮が必要です。例えば、北海道の絶滅危惧種を気候や生息環境が異なる九州の工場で保護することは好ましくありません。では、どの程度の範囲であればよいのでしょうか。

一つの目安として「流域」があげられます。流域とは降った雨が川に集まる大地の範囲であり、生態系の一つの単位としてとらえることができます。そこで東芝グループでは、各拠点で生息域外保全を目的として動植物を移動する際には、同一流域内であることを原則としています。

日本の国土の約70%が109の一級河川流域で占められており、日本国内の東芝グループの拠点がいずれかの流域に立地していることを確認しています。また、日本以外の拠点についても、 各地域の流域図や植生分布図、湿地帯の特徴などを参考にして、生態系の単位に配慮しながら生息域外保全を進めています。

■ 一級水系流域図
「一級水系流域図」のイメージ
資料:国土交通省

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地域連携による実施

東芝グループでは、地域のステークホルダーや行政と連携しながら生物多様性保全活動を進めています。事業所での取り組みについては、NPO法人「鶴見川流域ネットワーキング」(代表:岸由二慶應義塾大学名誉教授)から、さまざまなアドバイスをいただいています。また、東芝ライテックでのハマカンゾウの生息域外保全については、小網代の谷の所有者である神奈川県と連携しています。今後も、地域の専門家や関係者と協力しながら生物多様性保全活動を進めていきます。

NPO法人「鶴見川流域ネットワーキング」

「代表の岸由二教授(右)による事業所調査」のイメージ
代表の岸由二名誉教授(右)による事業所調査

NPO法人「鶴見川流域ネットワーキング」ロゴ
http://www.tr-net.gr.jp/

(鶴見川流域ネットワーキングページが別ウィンドウで開きます)

慶應義塾大学経済学部岸由二名誉教授が代表を務めるNPO法人。鶴見川流域において20年以上にわたって生態系調査、自然保護活動などを実施。

東北大学大学院 環境科学研究科 教授 石田 秀輝 氏
NPO法人鶴見川流域
ネットワーキング
代表理事
慶應義塾大学 名誉教授
岸 由二 氏

生物多様性の主流化は、活動や暮らしの足もとで、あらゆる主体が生物多様性の危機と希望を確認し、その保全・再構築に向けた貢献の方法を見出し、日々実践してゆくことと言い換えることができます。この新しい視野の中で、いま、工場敷地の可能性が根本的に見直されようとしています。たとえば足元の水系・流域といった大地(=生態系)の広がりの中で見直せば、どの工場も、地域固有の生態系の決して小さくない一部としてそれぞれの生態系の危機と希望の当事者であり、空中移動できる近隣生物たちの新たな生息拠点提供地として、あるいは地域生態系において絶滅の危機にある空中移動できない生物たちの域外保全の候補地として、大きな期待と希望の焦点であることがわかります。さらに企業敷地は厳しいセキュリティー管理の基にあることから、実は厳正自然保護地域としての特徴も備えています。これらに気付きさえすれば、企業敷地はその立地する生態空間(=水系・流域・丘陵など)における生物多様性保全・回復の希望の拠点、というのが論理必然の帰結となるでしょう。

生物多様性の危機は、世界のあらゆる暮らしの日常領域において、地域と連携して解決すべき自らの課題として認識し実践する主体の多様多彩な工夫を通して克服されてゆきます。この単純明快にしてパワフルな真実にみごとに気付かれ、localにしてglobalなビオトープ戦略をスタートされた御社のご活躍に、心よりの期待を申し上げます。

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第5次環境アクションプラン実績

第5次環境アクションプラン中期計画

東芝グループでは、2012年から2015年までの第5次環境アクションプランにおいて、グローバル62拠点でビオトープを整備することをめざして活動してきました。

2012年時点で、2015年のあるべき姿として「生物多様性への悪影響を最小化し、改善に向けた転換が図られている」ことを掲げました。これは各拠点で決定した保護対象の減少を2015年までに食い止め、その後プラスにすることを意図しています。

■ 悪影響の最小化と転換のイメージ
「悪影響の最小化と転換のイメージ」のイメージ

ビオトープの整備は「生物多様性調査」「指標選定」「効果測定」の3つのステップで進めます。調査としては敷地内の生き物調査や立地地域のレッドリスト調査、専門家による踏査、周辺地域を含む生物多様性ポテンシャル評価などを実施します。

これらの調査データを基に指標となる生き物を選定し、指標を保護・拡大するための施策を実施したうえで、定期的な効果測定を行い、プロセスの妥当性を検証します。中期計画では、これらのステップを毎年31拠点(50%)以上実施していくことにしました。

この3つのステップを中期計画に落とし込むことで、拠点単位およびグループ全体でのPDCAサイクルを回すことが可能となります。

■ 中期計画

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度
調査実施率50% 調査実施率100%
指標選定率50%
指標選定率100%
測定実施率50%
測定実施率100%

※50%=31拠点以上

「グローバルの主要拠点すべてでビオトープを整備する(対象62拠点)」のイメージ

■ ビオトープ整備のためのステップ

「ビオトープ整備のためのステップ」のイメージ

調査 敷地内の生き物調査、地域のレッドリスト調査、地域の専門家による踏査、周辺地域を含む生物多様性ポテンシャル評価など。
指標選定 調査データを基に対象となる指標を選定する。また、選定した指標を保護・拡大するための施策も策定する。
測定 指標を定期的に測定する。測定対象の例:生き物の種類数・個体数、植物の株数、植栽の面積など。
向上 定期的な測定の結果、指標が改善または向上している。

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第5次環境アクションプラン結果

各拠点で調査、指標選定、効果測定の3つのステップを踏んで活動を進めた結果、各年度の計画をすべて達成しました。全62拠点のなかで、希少生物の保護を実施した拠点が32拠点、生態系ネットワークの構築を進めた拠点が42拠点となりました。希少生物の保護では、植物・樹木(78%)、魚類(38%)など絶滅危惧種を中心に100種を超える動植物の保護を進めてきました。生態系ネットワークの主な指標種は蝶(約64%)、鳥類(33%)、トンボ(3%)でした。

なお、2016年度は第5次環境アクションプランを延長して活動を進めています。

  • 注)複数の施策を実施した拠点があるため合計が62拠点、100%とはなりません。

■ 第5次環境アクションプラン結果

項目 2012年度計画
(実績)
2013年度計画
(実績)
2014年度計画
(実績)
2015年度計画
(実績)
調査実施率 50%
(81%)
100%
(100%)
指標選定率
(19%)
50%
(91%)
100%
(100%)
測定実施率
(18%)
50%
(67%)
100%
(100%)

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生物多様性保全活動データベースの整備

「「調査」「指標選定」「測定」の状態をマーキング」のイメージ
「調査」「指標選定」「測定」の状態をマーキング

第5次環境アクションプランの対象となっている66拠点の生物多様性保全活動をデータベース化して社内で共有しています。国内外でフォーマットを統一しており、調査、指標選定、測定の3つの段階における各拠点の進捗や活動内容がわかるようになっています。

「調査」のイメージ
調査

「指標選定」のイメージ
指標選定

「測定」のイメージ
測定

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生態系ネットワークの構築

工場を中心とした生態系ネットワークの構築

生態系に影響を与えている人間活動のひとつに土地利用があげられます。住宅地や工場の立地が生き物たちの回廊を分断し動植物の生息環境に影響を及ぼしています。そこで東芝グループでは、工場とその周辺地域を結ぶ生態系ネットワークの構築をめざしています。

当社では家庭菜園としてユズ、スダチなどを自宅で栽培している従業員に対し、葉に付くアゲハ蝶の幼虫をすべては駆除せずに、成虫になるまで見届けるように呼び掛けています。また、希望する従業員には無償でユズの苗木を配付しています。従業員の家庭に蝶を呼び込むことで生息域の拡大に貢献することができると考えています。

植物(蝶の食草) 呼び込みが期待できる蝶(例)
ユズ、スダチ ミアゲハ、クロアゲハ、ナガサキアゲハ
キンカン ナミアゲハ、クロアゲハ、カラスアゲハ

「ユズ」のイメージ
ユズ

「ナミアゲハ(幼虫)」のイメージ
ナミアゲハ(幼虫)

「ナミアゲハ(成虫)」のイメージ
ナミアゲハ(成虫)

さらに、各工場の緑地の一角にユズ畑を整備し、従業員の家庭菜園に来た蝶の卵や幼虫の避難場所とすることを計画しています。

将来的には、家庭での幼虫の駆除数を最小化するとともに、工場を中心として従業員の家庭や地域の森、川、公園などを結ぶ蝶の生態系ネットワーク構築をめざしています。

■ 工場を中心として、従業員の家庭や周辺の公園、森、川などを結ぶ蝶のネットワークづくり
「工場を中心として、従業員の家庭や周辺の公園、森、川などを結ぶ蝶のネットワークづくり」のイメージ

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東芝キヤリア富士工場

工場排水を活用したビオトープで、生態系ネットワークの構築と希少な動植物の生息域外保全を同時に実現

東芝キヤリア富士工場では、敷地内の緑地にビオトープを整備しました。工場排水を太陽光パネルを利用したポンプで汲み上げて池に導入し、メダカやゲンゴロウ、トンボのヤゴなど多数の水生生物が生息しています。2013年7月にはカルガモの親子も見られました。

「ビオトープの外観」のイメージ
ビオトープの外観

「ビオトープの構造図(工場排水の一部を汲み上げ池に導入)」のイメージ
ビオトープの構造図
工場排水の一部を汲み上げ池に導入

また、池の周りには多数の植栽を施しており、トキワマンサク(静岡県RDB絶滅危惧ⅠB類) 、ヒメシャガ(同絶滅危惧ⅠB類) 、シラン(同準絶滅危惧)などの絶滅危惧種も保護しています。

ビオトープの設置については常葉大学社会環境学部下田路子教授のアドバイスを受け、富士工場の従業員が管理しています。ビオトープでは近隣の小学生を招いて自然観察会も実施しています。

■ 東芝キヤリア富士工場ビオトープで観察された生き物(例)

「トキワマンサク」のイメージ
トキワマンサク

「メダカ」のイメージ
メダカ

「ギンヤンマ」のイメージ
ギンヤンマ

「ギンヤンマ(ヤゴ)」のイメージ
ギンヤンマ(ヤゴ)

「ヒメシャガ」のイメージ
ヒメシャガ

「シラン」のイメージ
シラン

「カルガモの親子」のイメージ
カルガモの親子

■ 小学生を招いて自然観察会を開催

「小学生を招いて自然観察会を開催」のイメージ

「小学生を招いて自然観察会を開催」のイメージ

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小向事業所

小向事業所では、西の慶應義塾大学、夢見ヶ崎公園と北の多摩川を結ぶ生態系ネットワークの構築をめざしています。敷地内の中庭にある池をトンボ池として改修するとともに、縄文ハスの栽培をはじめました。

「小向事業所」のイメージ

従来の池を改修し、0cm、10cm、65cmの3段階の深さを設けました。水深を変えることで多様な生息空間を実現することを狙っており、水深 0cmの縄文ハスゾーン、10cmのヤゴの生息地、65cmのトンボ池としました。

「縄文ハス」のイメージ
縄文ハス

1951年千葉市の遺跡で発掘された、2000年以上前のハスの実から発芽・開花したもので世界最古の花と言われている。現在は日本全国や世界各地に株分けされており、千葉県では天然記念物にも指定されている。

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東芝情報機器杭州社

東芝情報機器杭州社では地域の生態系調査を行いました。東の杭州湾湿地はシベリアやオーストラリアと東アジアを結ぶ世界的な渡り鳥の宝庫であり、銭塘江や杭州東部湿地公園を経由して工場内でも多くの渡り鳥が見られます。

今後も工場内の柳林の保全などを通して周辺との生態系ネットワーク強化を進めていきます。

「東芝情報機器杭州社」のイメージ

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愛知目標の達成に向けて

東芝グループと愛知目標の関連を整理

2010年に名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)において「愛知目標」が採択されました。愛知目標は2020年までに国際社会が達成すべき20項目の目標を定めています。

そこで、東芝グループの事業活動と愛知目標の関連を整理しました。その結果、愛知目標における20の個別目標のうち10項目(愛知目標1、2、4、5、8、9、11、12、14、19)に関連することがわかりました。2016年度より、この10項目への貢献をめざした生物多様性保全活動を開始しています。

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愛知目標への貢献を次期環境中期計画に位置づけ

現在、東芝グループでは2017年度から2020年度に取り組む次期環境中期計画を検討しています。2015年3月から2016年3月まで、社内の生物多様性ワーキンググループ内で4回にわたって議論を重ねた結果、2020年に向けた世界目標である「愛知目標」への貢献を東芝グループの中期目標として位置づける予定です。具体的には、東芝グループの事業活動と関連する愛知目標10項目に対して事業所単位で貢献することをめざします。これまで第5次環境アクションプランで進めてきた生態系調査、生態系ネットワークの構築、希少な動植物の保護に加えて、自然観察会や外来種の防除、ステークホルダーとの連携などにも積極的に取り組んでいきます。

■ 次期環境中期計画の推進項目(愛知目標10項目への貢献)

愛知目標 東芝グループの取り組み
目標① 普及啓発従業員教育、情報発信、外部との連携
目標② 戦略・計画への組み込み環境方針や環境アクションプランへの組み込み
目標④ 持続可能な生産地球温暖化防止、資源有効活用
目標⑤ 生息地破壊の抑止自然生息地と事業所を結ぶ生態系ネットワークの構築
目標⑧ 化学汚染の抑制化学物質管理
目標⑨ 外来種事業所における外来種の防除
目標⑪ 保護地域の保全保護地域の保全に資する活動
目標⑫ 種の保全希少な動植物の保護、生息域外保全
目標⑭ 生態系サービス文化的サービスの維持・向上
目標⑲ 知識・技術の向上と普及生態系調査データの蓄積・開示、保全技術の創出

また、2014年10月のCOP12において、地球規模生物多様性概況第4版(GBO-4)に基づく愛知目標の中間レビューが行われ、2020年で達成が見込まれるのは3項目のみと評価されました。次期環境中期計画で推進する項目は目標11を除く9項目で達成が危ぶまれており、2020年に向けて加速が必要となります。

■ GBO-4に基づく愛知目標の中間評価

2020年で達成見込み
(3項目)
● 目標11
  目標16
  目標17
進捗あり
(9項目)
● 目標1  ● 目標14
● 目標2    目標15
  目標7  ● 目標19
● 目標9    目標20
  目標13
進捗がない
(8項目)
  目標3  ● 目標8
● 目標4    目標10
● 目標5  ● 目標12
  目標6    目標18
  • ●:次期環境中期計画の推進項目

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愛知目標10項目への貢献状況

2016年3月時点で愛知目標10項目に貢献する活動を実施している拠点数を示します。目標4(持続可能な生産)、目標8(化学汚染の抑制)については従来からの環境保全活動(地球温暖化対策、資源有効活用、化学物質管理)により全工場で貢献していると考えています。生物多様性保全活動に関する活動について集計したところ、目標1(普及啓発)、目標2(戦略・計画)に取り組む拠点が多い一方で、目標9(外来種)、目標11(保護地域)ではあまり活動が進んでいないことがわかりました。

今後も愛知目標への貢献を意識した生物多様性保全活動を進めていきます。

■ 愛知目標10項目への貢献状況
「愛知目標10項目への貢献状況」のイメージ

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大日本印刷グループとの連携

全国6地域12事業所で連携

東芝グループと大日本印刷(DNP)グループは、全国6地域12事業所でお互いの事業所敷地を活用した生物多様性保全活動を進めています。連携施策として、「希少生物の保護」「両社の事業所を結ぶ生態系ネットワークの構築」「合同生物調査」「合同自然観察会」などを行っています。

希少生物の保護では、事業所の周辺に生息する希少な動植物を敷地内で保護、繁殖させることで地域個体群の維持に努めるほか、元の生息地に返還し野生回復を実現した活動もあります。

生態系ネットワークの構築では、両社の事業所敷地内で同じ蝶の食草を育てることにより、事業所ならびに地域の公園、河川などを結ぶ生き物の回廊づくりを進めています。

事業所を選定する際には、同じ流域や丘陵地に立地していることなどを選定条件としました。流域とは降った雨が河川に流れ込む範囲・領域のことであり、里山や丘陵などと同様に生態系の一つの単位としてとらえることができます。連携する事業所間で動植物を移動する場合にも流域内や丘陵地内でおさまるように配慮しています。

■ 地域を結ぶ生き物の回廊のイメージ
「地域を結ぶ生き物の回廊のイメージ」のイメージ

■ 全国6地域12事業所で連携
「全国6地域12事業所で連携」のイメージ

  • ※ 東芝ライフスタイル(株)は2016年7月より中国美的集団となりましたが、今後も大日本印刷(株)名古屋事業所との連携は継続します

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全部門が希少種の増殖活動に参画(株)ジャパンセミコンダクター本社・岩手事業所

構内の湿地帯に希少植物花壇を造成し、オカトラノオやニッコウキスゲなどの希少種を植えました。また、社内の全7部門、および大日本印刷グループのディー・ティー・ファインエレクトロニクス(株)北上工場とも連携して、前年に咲いたニッコウキスゲ、サクラソウ、クリンソウの種を取り、育苗を行っています。一方、付近に生息する国蝶オオムラサキの呼び込みを目的として、エゾエノキの幼木1本と苗木8本を植樹しました。

すでに、オオムラサキの近縁種であるゴマダラチョウの飛来を確認しました。オオムラサキの登場に期待が高まります。

「事業所の全部門とDTF北上が連携し実生からの発芽実験」のイメージ「事業所の全部門とDTF北上が連携し実生からの発芽実験」のイメージ
事業所の全部門とDTF北上が連携し実生からの発芽実験

「花壇の拡張作業風景(左手前はニッコウキスゲ)」のイメージ
花壇の拡張作業風景
(左手前はニッコウキスゲ)

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ハマカンゾウの保全東芝ライテック(株)本社・横須賀工場 (株)DNPテクノパック横浜工場

東芝ライテック本社・横須賀工場では、三浦半島小網代の谷で盗掘被害に遭い絶滅寸前だったユリ科のハマカンゾウ28株を、2012年5月に敷地内へ移植し繁殖させました。そして2年後の2014年5月には100株を元の生息地である小網代の谷へ返還し野生回復に成功しました。また、2015年7月にはDNPテクノパック横浜工場へ当社から30株を移植しこちらも繁殖に成功したことから、2016年6月に82株を現地へ返還していただきました。

現在では約400株が毎年7月〜8月にオレンジ色の美しい花を咲かせて訪れる人々を楽しませています。一方で、野生回復したハマカンゾウの盗掘被害が再発しています。盗掘を防ぐ有効な対策はないため、両社による保全の重要性が増しており、今後も定期的に供給する計画です。

「ハマカンゾウ」のイメージ
ハマカンゾウ

「東芝ライテックからDNPテクノパックへ移植(2015年7月)」のイメージ
東芝ライテックからDNPテクノパックへ移植(2015年7月)

「盗掘が再発(2015年8月)」のイメージ
盗掘が再発(2015年8月)

「元の生息地で野生回復(2016年7月)」のイメージ
元の生息地で野生回復(2016年7月)

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生物多様性の主流化に向けて

現在、世界中で生物多様性の「主流化」が進められていますが、市民レベルでは生物多様性の認知度が低いようです。一方で、両社が進めている生物多様性保全活動は事業所敷地内で実施しており日常的に従業員が接することから環境意識啓発や生物多様性の認知度向上につながっています。地域住民などの工場見学の際にも見ていただくほか、エコプロダクツ2015のDNPグループブース、ならびに第25回東芝グループ環境展でも出展し多くの来場者にご説明しました。左記のハマカンゾウの例では、野生回復させた群落の前に両社の活動である旨の立て看板を設置し年間10万人以上(NPO法人小網代野外活動調整会議推定)の来場者に対して訴求しています。2015年4月の両社連名によるプレスリリースも社内外で大きな反響がありました。

「東芝グループ環境展(2016年6月)」のイメージ
東芝グループ環境展(2016年6月)

「連名によるプレスリリース(2015年4月)」のイメージ
連名によるプレスリリース(2015年4月)

両社の取り組みは手間も費用もかけない簡易手法ながら実効性の高い生物多様性貢献活動をめざしており、規模、業種、業態などにかかわらず多くの事業者が取り組むことができるため、今後はほかの企業との連携も積極的に進めていきます。動植物の保護・育成の際には、大雨や病気などによる絶滅のリスクを低減するために複数の保全拠点を確保することが重要です。東芝グループ、大日本印刷グループにかかわらずあらゆる企業の事業所敷地で同様の活動が行われれば極めて大きな生物多様性貢献につながります。

企業連携を拡大することで、生物多様性の主流化や民間参画にも貢献していきます。

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東北大学大学院 環境科学研究科 教授 香坂 玲 氏

「東北大学大学院 環境科学研究科 教授 香坂 玲 氏」のイメージ世界では確実に生物多様性に関する潮流が起きている。現在多くの国々が、2010年に日本で合意した愛知目標の枠組みを生物多様性にかかわる目標としており、2020年東京オリンピックの年に一つの節目を迎え、日本を含めて評価を受ける。

またISOの環境マネジメントのなかでもその重要性が増している。以前は附属書での言及にとどまっていた生物多様性だが、2015年に改定されたISO14001では、資源、気候変動と同等の位置づけで要求事項として登場している。また持続可能な開発目標(SDGs)は陸域と海域、持続可能な生産や消費などのテーマで生物多様性にかかわる項目が並ぶ。

東芝の取り組みは本社だけではなく、各拠点・工場に自主性を持たせ、どのような動植物を保護していくのか、どのような取り組みを実施していくのか、自ら考えるボトムアップのアプローチの試みとして評価される。多くの工場で希少種、ビオトープ、化学物資の排出抑制などについて積極的に取り組んでいるといった傾向が読み取れる。一方で侵略的外来種への取り組みが不十分であり、全体を見渡して足りない点は本社や各拠点が定期的に見直す必要があろう。定期的に発行される本報告書が振り返りのよいタイミングでもある。その際に翌年、5年後といった期限を定めて目標を設定することも検討いただきたい。愛知目標の枠組みのなかで世界中の工場の活動数を把握し公表しているので、愛知目標のベンチマークとしての特性である「いつまでに何をどれだけ達成するのか」についても検討いただきたい。また普及啓発も実施しているかいないかだけではなく、経験の共有や内容面での深化を期待したい。

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生物多様性ガイドラインを制定

東芝グループでは、2009年9月に生物多様性ガイドラインを制定しました。事業活動と、生物多様性を含む多様な環境問題を包括的かつ定量的に把握することにより、取り組みの「見える化」を図り、影響の低減、持続可能な利用につなげていきます。

東芝グループ生物多様性ガイドライン

基本方針

東芝グループは、生物多様性の保全および生物多様性の構成要素の持続可能な利用のため、次の取り組みを行う。

  • 事業活動が生物多様性に及ぼすかかわりを把握する。
  • 生物多様性に配慮した事業活動などにより、生物多様性に及ぼす影響の低減を図り、持続可能な利用を行う。
  • 取り組みの推進体制を整備する。

具体的な取り組み

  1. 工場の立地や再配置において、生態系の保護などに配慮する。
  2. 地方公共団体や民間団体などとのコミュニケーションを図り、連携した活動を行う。
  3. 持続可能な社会の一員として、継続的な社会貢献活動を行う。
  4. 環境対策による生物多様性を含む種々の環境側面への影響・効果を評価する。
  5. 資源採掘までを視野においたサプライチェーンにおける生物多様性保全への取り組みを推進する。
  6. 事業活動に由来する資源の消費や環境負荷物質の排出による影響を評価する。
  7. 自然の成り立ちや仕組みに学び、事業の特性に応じて、技術による貢献をめざす。

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【TOPICS】生物多様性アクション大賞2014で審査委員賞を受賞

生物多様性アクション大賞2014で東芝グループの生物多様性保全活動が審査委員賞を受賞しました。

生物多様性アクション大賞は「国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)」が主催し、一般社団法人CEPAジャパンが事務局を務める表彰制度で、生物多様性の保全に取り組む団体・個人を表彰するとともに積極的な広報を通じて、日本国内における生物多様性の主流化と愛知目標の達成をめざすことを目的として2013年に創設されました。

生物多様性アクション大賞2014ではNPOや学校など15団体が表彰を受け、当社は企業として唯一の受賞となりました。

「授賞式の模様」のイメージ
授賞式の模様

「表彰状」のイメージ
表彰状

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