「新治療施設および重粒子線治療システム」が2011年度グッドデザイン金賞受賞

2011年11月10日

 当社が独立行政法人放射線医学総合研究所に納入した「重粒子線治療システム」が2011年度グッドデザイン金賞を受賞しました。

 今回の受賞では、本システムが、これまでに蓄積された粒子線を利用した癌治療のすべての知見・成果を集約して開発されたトータルサービス・システムとして、今後海外を含めた他地域への展開のモデルとなる点と、患者さんの心理的な負担が大きいがん治療の現場で、医療機器メーカー、建築設計会社、医療スタッフが最高のサービスを提供しようと協力し合っている点が注目され、日本の医療産業自体の国際競争力を高め、かつ日本らしい医療技術を通じた世界貢献にもなることが大いに期待できる最先端のシステムデザインであることが評価されました。 

今回のデザインのポイントについて

1.装置デザインのポイント

(1)患者さんの負担軽減と高次元の安全性

 装置は治療室の環境に調和した威圧感のないやさしいデザインで、患者さんの心身の負担を軽減します。また、スタッフへの業務支援を徹底し、患者セッティング、高い精度の位置合せ等、治療における高次元の安全性を実現しました。

(2)ユーザビリティへの配慮

 医療スタッフとのミーティングを重ね、治療室業務を最適化しました。不安を抱える患者さんに、スタッフが必要なコミュニケーションをとりやすいよう、動線や操作性の検討を行いました。また治療室内の情報表示は、安全性を高めるため最適な視認性を確保するなど、円滑な業務を可能にするデザインを画面に適用しました。

2.インターフェースデザインのポイント

(1)エレベータ運行管理技術の応用

 多くの患者さんの治療を実現するには、効率よいスケジュール運用が必要になります。東芝では、高層ビルや大規模施設のエレベータ運行管理システムで、運用の最適化を実現するための研究を行っています。正確な照射のため、準備に充分な時間を必要とする重粒子線治療のスケジューリングに、この技術を応用しました。この技術を応用したシステムの画面デザインでは、患者さんごとの治療スケジュール一覧を分かりやすく表示することで、効率的でスムーズな施設運用の実現を目指しました。

(2)多様な治療プロセスへの対応

 新しい治療システムでは、治療の様々な場面でスタッフの連携をスムーズにし、作業負担を軽減する情報画面が準備されています。患者情報を一元管理し、スタッフ間の情報共有を強化する画面、スタッフが患者の治療進捗を把握できる受付リスト、スタッフが治療を待つ患者さんをスムーズに案内するための治療室内状況が把握できる画面など、時と場に応じて必要な情報を適切に提供し、医療スタッフの業務負担を軽減する画面デザインを提供しました。

本システムのデザインの詳細についてはこちらをご覧ください。 http://www.toshiba.co.jp/design/html/product/heavyparticlePage.htm

グッドデザイン賞について

 「グッドデザイン賞」は、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する、総合的なデザインの推奨制度です。その母体となったのは、1957年に通商産業省(現経済産業省)によって創設された「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」であり、以来50年以上にわたって、私たちの暮らしと産業、そして社会全体を豊かにする「よいデザイン」を顕彰し続けてきました。

 その対象はデザインのあらゆる領域にわたり、受賞数は毎年約1,000件、50年間で約37,000件に及んでいます。賞はこの「グッドデザイン賞」と、さらに複数の「特別賞」で構成され、受賞したデザインには「Gマーク」をつけることが認められます。「Gマーク」は創設以来半世紀以上にわたり、「よいデザイン」の指標として、その役割を果たし続けています。

2011年度グッドデザイン賞( http://www.g-mark.org/archive/2011/award_r_outline.html

受賞件数 1,112件(受賞企業数 649社)
 特別賞
  大賞 1件
  金賞 12件
  サステナブルデザイン賞 5件
  中小企業長官賞 8件
  日本商工会議所会頭賞 1件
  ロングライフデザイン賞 18件

審査対象数 3,162件