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AI研究の識者に聞く!日本企業に適したAIアプローチ

AI研究の識者に聞く!日本企業に適したAIアプローチ

  • AI
  • 【対談】
  • 2016.12.1


日本企業はAIにどう取り組んでいくべきか

笹川

AIが先行しているアメリカなどの国もありますが、日本企業がAIにどう取り組むべきなのか、海外とどう渡り合っていけばよいのでしょうか。

山川

まず人材についてですが、AI研究には優秀な人材が不可欠です。ただ、人材といっても研究の方向性を決めてしっかりマネージできるトップの人材、ある程度タスクを分割して作業を割り振る、大工でいえば棟梁のような人材、そして実際に手を動かしてプログラムを作成する人材など、おおよそ3階層の人材が必要です。トップの役割を果たす人材は日本にもいますが、棟梁となる40歳前後の働き盛りの人材が圧倒的に不足しています。これは、AI冬の時代があったことで人が育っていないことが原因です。これは世界中で起こっており、貴重な人材の取り合いになっているのが実態です。ただし、日本語という特殊環境のおかげで日本の研究者・技術者の流出は比較的避けられていると考えています。ある種ガラパゴスでよかったと。

梅木

潤沢な資金が用意できない日本企業の場合、そもそも枯渇している人材を1つの企業で囲い込むのは現実的ではありません。山川さんのところのようにオープンイノベーション的にプロジェクトを一緒に遂行していく仲間を外部にも増やし、全世界的なパートナーシップ活動などを通じてAI研究を進めていくべきです。東芝としても、北米や中国などの拠点を活用して、共創のネットワークをさらに広げていきたいと考えています。

株式会社ドワンゴ ドワンゴ人工知能研究所  所長 山川 宏 氏

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笹川

まさにAIという領域は「共創」というキーワードに適したものなんですね。そんな中で日本企業はどのような視点でAIに取り組むべきなのでしょうか。

梅木

AIを活用してシステムを設計するのはまだまだ人間の役割であり、日本特有のきめ細かなおもてなしのようなものが欧米では設計できないところになってくるはず。日本ならではの視点でJapan Wayを推進していくことが、AIという領域で日本企業が世界と戦う上で重要になってくると考えています。全く新しい技術を生み出すことはなかなか難しいのですが、現在のAI技術を応用した活用方法のバリエーションを増やしていくのは日本人ならではのやり方です。

笹川

日本ならではのおもてなしは、例えばどういったものが一例として挙げられますか。

聞き手:TBSアナウンサー 笹川 友里

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梅木

我々のお客さまで旅館を営んでいる「陣屋旅館」様では、お客さまの情報を共有し、その行動に合わせておもてなしをするということをやっています。こういったサービスをすればお客さまが喜んでくれるということを経験として理解しており、それを実践するために到着時点での情報を瞬時にセンシングし、旅館内で情報をすぐさま共有するという仕組みを構築しているのです(「陣屋旅館」様の活用事例について詳しい情報はこちら別ウィンドウが開きます)。欧米の場合は、サービスのレベルにおける考え方が日本のおもてなしとは違っている部分もあります。日本のおもてなしでは、訪れたお客さまの顔色や声を聴いて判断し、対応を変えていくといったきめ細かなサポートが重要になってきます。

山川

食べ物の強みを活かせるのは日本ならではだと思います。日本には世界に誇る食文化があり、おいしいものがたくさんあります。AIでレシピを作り、さらにAIを使って日本人が食べ物を改良し、世界に味を売り込んで市場を広げるといった活用も考えられます。味覚の繊細さは日本人ならではの部分ですから、そこをAIに取り込んでいくと日本的なビジネスでの広がりも十分あります。ちなみに、2000年代のグローバルなSNSサービスのような分野では、英語を話す人が世界的に多いという“数の論理”で日本企業が太刀打ちできない部分もありましたが、近年の深層学習で開拓されたAIの領域は、言語以外のパターン処理が中心ですから、英語圏でないことが不利になることはありません。それぞれの企業が持っている武器をいかに使って世界の中で利益を得ていけるのかを考えていくことができるはずです。

株式会社東芝 インダストリアルICTソリューション社 商品統括部 主幹 梅木 秀雄

笹川

東芝としては今後AIにどう取り組んでいかれる計画でしょうか。

梅木

自動運転に応用されている制御系のAIというものもありますが、私が携わっているクラウドAIサービス「RECAIUS」は、人と対話したり、音声や画像から意図や状況を理解して、人の活動を支えるAIサービスです。お客様との共創で新しいライフスタイルやビジネスの創出に貢献することを目指しています。AIは使うことが目的ではなく、これまでできなかった具体的な課題解決の手段として、安心と感動のユーザ体験を実現する新たなシステムやサービスを創っていきたいと考えています。

笹川

最後になりますが、お二人は今後AIにどう取り組んでいきたいと考えていますか。

山川

最近ホワイトハウスでも「AIの未来に備える」と題した報告書が発表されましたが、すぐに役立つものばかりでなく長期的な視点で投資をすべきだということが書かれています。私がかかわっている全脳アーキテクチャも2030年までに汎用人工知能を実現しようとしています。そのためには、中間的な目標設定やロードマップをしっかりと示し、段階的にビジネス価値などを発信する必要があります。長期的に投資を獲得できるよう、しっかりと方向性を打ち出しつつ、取り組んでいきたいですね。

梅木

山川さんも含めて、我々はAI冬の時代に入る前の第二次ブームを体験している世代で、限定的ではあるものの夢を見ることができました。しかし、しばらく低迷していたこともあってAIの分野では若い人材が育っていません。少なくともあと5年ぐらいは我々が頑張って、若い人たちに繋いでいくことが必要です。今できることを示していきながら、世の中に製品を出していく必要があると考えています。そこでしっかりと利益を出して次に投資する原資に回していく必要があり、今はまさに踏ん張りどころ。会社でやるからには利益も出す必要がありますし、社会貢献という側面も持ちながら、バランスよく取り組んでいけるよう頑張っていきたいと考えています。

笹川

今後出てくるであろうAI関連の新しい製品やサービスに、私自身ワクワクしています。本日はお忙しい中ありがとうございました。


集合写真



※本記事に関する社名、部署名、役職名などは2016年11月現在のものです。


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