[ ここから本文 ]
![]() |
![]() |
株式会社東芝 デジタルメディアネットワーク社 コアテクノロジーセンター エンベディッドシステムコア技術開発部 第二担当主査 菊池 義浩 |
じつは、私自身、ワンセグ視聴者のひとりでした。ところが、映像に生じるエラーが気になったんです。ワンセグを観たことがある友人や家族も、やはり口をそろえて言う。「移動中でも、ワンセグを途切れることなく快適に観てみたい」そんなみんなの純粋な欲求から、このプロジェクトは始まったのです。技術というものは、当然ながら、すべての部品や技術にイチから着手するわけではなく、世の中にあるテクノロジーをベースにしていかなければなりません。しかし、このプロジェクトはきわめて異例で、新しい発想のもと、立ち上がりました。
美しい映像を表示するというゴールには、いくつかのルートがあります。アンテナを大きくする、というのもそのひとつ。しかし、アンテナが大きくなると、確かに電波の感度は良くなりますがボディのコンパクト化が進む今、非常にユーザーデメリットが大きくなってしまう。そこで、まずは、従来のデコーダはエラー時に画像が止まってしまうところに着目。エラー時でも、停止することなく最後までデコードさせる技術を開発しました。ところが…再生された映像を観て、がっかりしました。画面には、エラーが入った汚い画像がそのまま表示されていたからです。そこでさらに私たちが選んだのは、「欠落したデータを補完する」というアプローチ。アンテナを大きくすることがポジティブセーフティーだとすれば、この技術は、パッシブセーフティーと言うことができますね。エラーをそのまま表示させず、周りのブロックから予測処理し表示させるわけです。これらのエラー耐性処理が、“gigabeat V41/V81”のビデオデコーダ内で行われているんです。「移動体やビルの中…電波状況が良くない場所でも、まさに途切れることなく映像を表示し続ける」その明確な目標があったからこそ、この技術は誕生しました。
実際この技術が搭載された“gigabeat V41”の試作品を初めて観たときは、正直、驚きました。予想以上に美しい映像が手のひらにあったからです。あぁ、自分は間違ってなかったんだ、と確信した瞬間でした。長年の研究の延長線上にこの技術が生まれ、大きな達成感を味わいましたが、私たちのプロジェクトはまだまだ終わっていません。すべての移動体に搭載された映像を美しく表示させ続けるために、私たちは、また次の挑戦をしていきたいと思います。 |


