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ギガビット級大容量スピン注入書き込みMRAMの基盤技術の確立 ―垂直磁化方式のMTJ記憶素子で低電流書き込みと高出力読み出しを両立―

2011年6月

概要

MTJ(Magnetic Tunneling Junction)素子は、磁気抵抗変化型ランダムアクセスメモリMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)の記憶素子です。当社は、垂直磁化方式を用いることで、世界で初めて、磁化反転電流密度0.5MA/cm2の低電流書込みと抵抗変化200%以上の高出力読み出しを両立したMTJ素子を開発しました。

今回開発した微細MTJ記憶素子の断面の図

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背景

スピン注入書き込みは、MTJ素子に電子スピンの方向を揃えた電流を流して磁化を反転させる技術で、微細化に伴い書き込み電流が低減する有力技術です。また、垂直磁化方式は、MTJ素子の磁性層に垂直方向の磁化を記録する方式です。大容量ハードディスクでも採用されている高密度記録に適した方式であるとともに、書き込み電流を従来の数十分の一まで低減できる技術として注目されています。2007年には、当社が世界で初めて、垂直磁化方式MTJ素子で安定したスピン注入書き込みを実証し、その後もこの方式を当社が先導してきました。ギガビット級のMRAMを実現するためには1.0MA/cm2以下の低電流書込みと200%以上の抵抗変化を両立させることが必要で、二律背反の関係にあるこの二つを両立させることはこれまで不可能でした。

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特長

今回、磁化反転時の摩擦が小さい、新しいMTJ素子材料を開発しました。ベースは、コバルトと鉄です。さらに、MTJ素子の記憶層とトンネル絶縁層の界面を改良し、2007年に開発したMTJ素子に比べ、磁化反転電流密度を6分の1の0.5MA/cm2に、約15%だった抵抗変化も200%以上にすることに成功しました。

低電流スピン注入書き込み実証 抵抗変化200%超の高出力読み出し特性

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今後の予定

PCや携帯端末などで、読み書き頻度の高いランダムアクセスデータの記憶部にMRAMを用いれば、システム全体のパフォーマンス向上が図れます。さらに、システム技術の工夫と組み合わせることで、より省エネ性の高い機器の開発も可能になります。例えば、必要な時だけ瞬時に電源を入れて使用するノーマリオフ機器も実現可能と考えられています。今後は、メモリアレイ技
術や量産加工技術の開発などを進め、高速動作と低消費電力を合わせ持つギガビット級のMRAMを数年以内に製品化する予定です。
※この高性能MTJ素子の開発の一部は、2010年度に終了したNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託事業「スピントロニクス不揮発性機能技術プロジェクト」として、産業技術総合研究所、東北大学、大阪大学、電気通信大学との共同研究により開発したものです。


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