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情報通信プラットフォーム

ビットあたりのデータ伝送電力効率が世界最高のミリ波帯近距離高速無線チップセット

2012年3月

概要

当社は、ビット当たりのデータ伝送電力効率が世界最高となる、ミリ波帯近距離高速無線通信用アンテナ内蔵チップセットを開発しました。本チップセットを用いることで、2Gb/s超の小型近距離高速無線通信機が実現します。

試作したIC

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開発の背景と従来技術

無線通信による伝送データは年々増加し、通信速度も著しく高速化しています。対策の一環として、チャネルあたり約2GHzの広帯域信号で1Gb/s以上の高速通信が可能なミリ波帯と呼ばれる60GHz帯を利用した無線チップセットの実用化が期待されています。これまで、デジタルIC等で広く用いられている汎用CMOSプロセスを利用した低価格な無線チップセットの実現に向けた研究開発が進められてきました。しかしながら、従来は送信用と受信用のアンテナが無線チップセットの外部にあるため、無線チップセットの小型化が困難でした。また、メディアアクセス制御(MAC)部を含む無線チップセットの消費電力が大きい、あるいは1秒あたりの実効データ伝送速度が300メガビット程度に留まるなど、ビットあたりのデータ伝送電力効率が低いという課題がありました。

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本技術の特長

そこで当社は、ICパッケージ内にアンテナと高周波無線機能を備えたRFチップ、および信号処理機能を備えたベースバンドチップの2つのチップから成る無線チップセットを開発しました。本チップセットを用い、通信距離3cmでフレーム交換を伴う2.07Gb/sの実効データ伝送速度と、業界最小となるビット当たりの消費電力651pJを達成しました。アンテナ内蔵RFチップは汎用樹脂ICパッケージで実現可能で、RFチップを樹脂基板上へ実装するだけで動作が可能ですので、低価格なチップを容易に携帯電話等の小型機器へ実装することができます。また、ベースバンドチップは、物理レイヤのデジタル変復調機能及びMACレイヤのフレーム交換によるデータ再送機能を備えていますので、データ誤りを起こすことなくデジタルデータの伝送が可能です。

パッケージ内臓アンテナ

フレーム交換を行うためには、RFチップ内のミリ波帯送信器と受信器を切り替える送受モード切替機能が必要です。さらに、高速データ伝送を行うためには、送受モード切替を短時間で完了させなければなりません。開発したRFチップでは、内蔵アンテナを送受信器で共用し、かつ送受モードの切り替え機能を実現するために、低損失ミリ波帯アンテナスイッチを採用しました。また、送受モード切替時に周波数変換用信号源の周波数変動を抑制する工夫を行った結果、2.4マイクロ秒で送受モードを切り替える高速フレーム交換に成功しました。さらに、複数の増幅器の電流を再利用するRF回路を採用し、アナログデジタル変換器の内部増幅器の数を削減し、他の回路ブロックを最適化設計することで、回路全体の消費電力を低減しました。

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今後の展望

本技術は、2012年2月21日に米国で開催された半導体国際会議ISSCC(International Solid -State Circuits Conference)にて発表しました。今後は、RFチップとベースバンドチップを1チップに集積することで小型化を図るとともに、動画など大容量データの送受信が可能なデジタル機器への搭載を目指して研究開発を進めていきます。


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