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機械・システム

太陽光発電システムの構想設計のための設計支援ソフト − パネル配置から発電量とコスト見積りまでの構想設計を10倍高速化 −

2012年6月

概要

当社は、メガソーラーや産業用太陽光発電システムの構想設計における、パネル配置や架台などの設備系とケーブル配置などの電気系の設計を一括して行える3次元の自動パネル配置設計支援ソフトを開発し、見積り工数を従来比最大で約10分の1程度に短縮しました。2012年7月から本ツールを活用したエンジニアリング業務の運用を開始します。

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開発の背景

日本では、大規模な太陽光発電システム向け電力買い取り制度が2012年7月に始まる予定で、太陽光発電システムの設置案件が今後増加することが予測されます。一方欧米では、電力買い取り価格が低下傾向にあり、運用コストも考慮した長期的な収益分析に基づく見積り作成が投資判断に必要となっています。このような中、メガソーラーから小規模な産業用システムまで、顧客のニーズに応えるためには、多様な設計案を迅速に比較することが可能で、現地の地形や周囲の建物の影響も考慮した発電量とコストの見積りを迅速に提示することが求められています。

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従来技術や課題

従来、太陽光発電システムの構想設計は、パネルの設置角度や配置の設計、発電量推定に基づくパネル群のグルーピングなどを手作業で行っていました。風の影響を考慮した架台の設計や、ケーブル配線ロスの極小化など、複雑な解析を必要とする作業もあり、パネル数万枚程度のシステムの場合、構想設計に約2週間(10日間)かかっていました。また、発電量やコストを比較するために異なる設計案を作成するには、改めてパネルの配置案の作成から開始しなくてはならず、顧客のニーズに応えた複数の設計案の提示には膨大な時間を要していました。

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技術の特長

当社は、構想設計における、設備系と電気系の設計を一括して行える3次元の自動パネル配置設計支援ソフトを開発しました。設備系の設計は、パネル配置や架台の選択、ケーブル配線、インバータの配置をカバーします。電気系の設計は、日照量解析に基づいて発電量を揃えるパネル群のグルーピングやケーブルでの送電ロスなどをカバーします。設備系の設計に必要なデータモデルと、発電量見積りに必要な電気系のデータモデルを、一括して扱うことができるモデルの構造を定義することで、パネル配置から発電量とコスト見積りまでを一貫して行うことが可能となりました。このツールにより、これまで約2週間(10日間)を要していた構想設計が、1日で行えるという評価結果を得ています。このようなエンジニアリング業務の高速化は、作業工数に起因するコストダウン効果を生み、今後急拡大する顧客ニーズに対応できるエンジニアリング能力を確保できます。

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高速化のポイント

主な高速化のポイントは、次の3つです。

1つ目は、周囲の建物の影響を考慮した高速な日照量の評価技術です。影の影響は、3次元的な幾何学計算を行う必要があり、独自のアルゴリズムにより影の影響を高速に評価できるようになりました。本ソフトでは、同技術を展開して、パネルで反射した光が周辺に与える影響を解析する反射光解析機能も備えています。

2つ目は、複雑な解析を要する架台設計やケーブル送電ロスの計算を、多数のメガソーラー設計で培ったノウハウを活かしデータベース化やルール化したことです。架台の設計には、風に対する強度計算のため乱流解析が必要ですが、蒸気タービンの設計で培った乱流解析技術を設計ツールに組み込むことで、強度が必要な場所を特定して、データベースから架台の形状を選択する機能として実現しました。

3つ目のポイントは、設備系のデータモデルと電気系のデータモデルを、一括して扱えるデータ構造を定義したことです。これにより、従来、設備系の設計ツールと電気系のツールをつなぎ合わせて使用する際のデータ変換の非効率性が排除でき、パネル配置から発電量とコスト見積りまでの構想設計が一貫して行えるようになりました。データモデルの変数を変えた複数設計案の提示や自動最適化が容易に実現でき、顧客の目の前のパソコン上で複数の設計案を3次元環境で比較しながら、最適なシステム構成を選択することが可能となりました。

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今後の展望

当社は、日本で本ソフトを用いたエンジニアリング業務を2012年7月に開始し、今後海外でも展開する予定です。顧客ニーズを捉えた迅速で効率的なエンジニアリング能力を活かし、太陽光発電システム事業を拡大させていきます。また、気象状況に応じた発電量の見積り高精度化や、太陽光発電システムの異常部位を特定する遠隔監視システムとの連携を行い、運用保守に必要なコストも、案件見積り時に試算、提示する機能なども今年度末をめどに追加していきます。


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