japan

LSI・ストレージ

グラフェン複合透明導電フィルム

2012年9月

概要

当社は、グラフェン超薄膜と銀ナノワイヤー薄膜を積層した透明導電フィルムを開発しました。この透明導電フィルムは、ガラス上のITO(インジウムスズ酸化物)とほぼ同等の導電性があり、銀の腐食が抑制されて安定で、ITOの約3倍の波長範囲で透明、かつフレキシブルです。塗布プロセスを用いて安価で簡便な方法で作製できます。

透明導電フィルムの図

このページのトップへ

背景

透明導電フィルムは、透明で、かつ電気をよく通します。この性質を活かし、太陽電池、ディスプレイ、照明や光センサーなど、身近な機器に幅広く利用されています。現在はITOの透明導電フィルムが一般的ですが、インジウムはレアメタルであること、透過波長範囲が狭いこと、フレキシブルではないこと、といった種々の課題を抱えています。そのため、代替材料の開発や新機能の開発に各社が取り組んでいます。ITOに代わる透明導電フィルムとしては、グラフェン、銀ナノワイヤー、導電性ポリマー、カーボンナノチューブ、酸化亜鉛など、様々なものが開発されています。グラフェンは地球上に豊富にあるカーボンが材料であり、安定してフレキシブルで電導度の高い透明導電フィルムを作製できます。しかし、大面積の高電導フィルムを作製するには1000℃もの高温の熱CVDと、触媒として銅が必要なので、低コスト化は困難です。低温でのプラズマCVDや酸化グラフェン膜の還元などによる作製も試みられていますが、電気抵抗が大幅に増加してしまう課題があります。一方、銀ナノワイヤーは電導度が高く、ごく少量の銀しか使用しないため、低コストの透明導電フィルムを作製できますが、平坦性がないため電子の授受を行うデバイスには向きません。空気中の硫黄成分で腐食するなどの化学的安定性にも問題があります。

このページのトップへ

グラフェン複合透明導電フィルム

当社は、グラフェン超薄膜と銀ナノワイヤー薄膜を積層した透明導電フィルムを開発しました。親水性基板上の酸化グラフェン塗布膜を還元して形成されたグラフェン超薄膜上に、銀ナノワイヤーを塗布し、さらにポリマーを塗布し、全体を基板からはがして作製します。フィルムの表面抵抗と、波長550nmでの全光透過率はITOガラスとほぼ同等です。グラフェン超薄膜がない場合にはポリマー部分に銀の腐食が観察されますが、開発したグラフェン複合透明導電フィルムは全面で導電性があり、かつ銀の腐食が抑制されていることを確認しました。また、フッ素系ポリマーを用いると、近紫外光から近赤外光までITOの約3倍の波長範囲で透明な導電フィルムになります。

このページのトップへ

今後の展望

今後は、光透過性及び導電性の向上、仕事関数や光散乱の制御や大面積化、そして光デバイス応用に向けて研究開発を進めていきます。


  • 「研究開発センター」のトップへ
  • このページのトップへ