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情報通信プラットフォーム

小型・低送信電力を実現するセルラー無線システム向け自動整合アンテナの開発−周辺環境に応じて動作周波数を補正−

2014年8月

概要

当社は、従来のアンテナと比較し、約20%小型で、送信電力を低減できる自動整合アンテナを開発しました。本開発品は、スマートフォンなどの無線通信端末に内蔵することができ、送信電力が変動するような通信方式にも対応できます。アンテナの自動整合には当社で開発中のMEMS(注1)可変コンデンサを用いています。これにより、高い通信品質と小型化の両立が可能となりました。開発品の詳細は、米国テネシー州メンフィスで開催されるAP-S(注2)で、7月10日(木)8時(現地時間)に発表します。

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開発の背景

無線通信端末に内蔵されたアンテナの動作周波数は、机やユーザーの手などの近接物の影響により通信電波の周波数とずれてしまうため、通信品質が劣化したり、送信電力が増大してしまいます。この近接物による通信品質の劣化の影響はアンテナが小型化するほど顕著になるため、更なる端末の小型化および低送信電力化の実現には、アンテナの動作周波数を電波の周波数に常時修正できる小型な自動整合アンテナの開発が望まれていました。一方で、自動整合アンテナは正常に動作できる対応周波数帯域が狭いという問題がありました。また、自動整合の動作中にTPC(注3)や近接物の影響により刻々と変化する送信電波の変動に対応することも大きな課題でした。

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自動整合アンテナ

そこで当社は、世界で初めてTPCに対応した小型かつ低送信電力な自動整合アンテナを開発しました。プローブをアンテナの先端に近接して電波を検出する方式の採用により、周波数に関係なく電波を正確に検出でき、対応帯域制限のない自動整合機能が実現します。また、TPCによる電波の変化をトリガーとした制御技術の採用により、検出された電波の変動がTPCによるものか、近接物等による周辺環境の変化によるものかの判定が可能になりました。これにより、TPCの影響なく、アンテナの自動整合が可能となり、余分な電力を使用することなく通信できるようになりました。
 当社の試算では、従来のアンテナと比べて最大30%、従来の自動整合アンテナと比べても約10%の送信電力削減が見込まれています。また、アンテナの大きさも、従来と比べて約20%削減できました。

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今後の展望

当社は、今後、個別の部品で組み上げた試作品に相当するICを製作し、2016年度を目途に実用可能な技術開発を目指します。また、小型化が求められるウェアラブル機器やインフラ監視用センサネットワークなどのように、アンテナ特性が周辺環境によって変化してしまう製品への応用も目指します。

(注1)Micro Electro Mechanical Systems (MEMS):電気的に駆動する微細な機械要素部品

(注2)AP-S:IEEE International Symposium on Antennas and Propagation and USNC−URSI Radio Science Meetingアンテナ・電波伝搬関連で世界最大の学会の1つ。

(注3)Transmit Power Control(TPC):携帯電話システムで,基地局と携帯電話端末間でやり取りする電力制御の仕組み。


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