japan

東芝トップページ > 企業情報 > 研究開発・技術 > 研究開発センター > 研究開発ライブラリ > 脳脊髄液の流速を定量化するMRI動画像解析技術の開発について

AI Technology

脳脊髄液の流速を定量化するMRI動画像解析技術の開発について

2015年6月

概要

当社は、造影剤を使用せずに撮像した脳脊髄液(CSF)のMRI(磁気共鳴イメージング)を自動解析し、CSFの流速を計測・表示する技術を開発しました。この技術により、認知症の原因疾患の一つである特発性正常圧水頭症など、CSFに関する疾患の診断効率化が期待できます。

開発の背景

認知症は、後天的に記憶・判断力が低下し、社会生活や対人関係に支障が出る病気であり、日常生活自立度II以上の患者数は2015年に345万人に達するといわれています(注)
認知症の原因疾患のうち、特発性正常圧水頭症は、早期に適切な治療を施すことで改善する可能性があるとされています。この特発性正常圧水頭症をはじめとするさまざまなタイプの水頭症の診断のため、造影剤を使用せずにCSFが体内で流れる様子(CSFダイナミクス)を可視化するMRIとして、Time-SLIP (Time-Spatial Labeling Inversion Pulse)法があります。従来、医師は、診断にあたり、Time-SLIP法で得られた動画像を観察し、CSFの流速を視覚的に評価していました。視覚的な評価では、CSFの流速を定量的な数値として表すことができませんでした。

本技術の概要

そこで当社は、東芝メディカルシステムズ(株)、東芝林間病院とともに、Time-SLIP動画像の画素ごとの信号変化を解析することで、CSFが存在する領域を自動的に抽出し、CSFの流速値を計測するCSFダイナミクス定量化技術を開発しました。本技術を、東芝林間病院の協力の下で撮像した健常ボランティアの動画像データに適用し、CSFに関係する疾患において医師が観察するポイントである橋前槽領域を対象に評価しました。評価の結果、本技術を用いて定量化したCSFの流速と、フレームごとに手動でCSFの位置を入力して算出した正解値との相関が0.91と高い値であることが確認できました。本技術により、CSFの流速という統一的な指標を高速で正確に算出でき、医師の診断の客観化や効率化、さらには確実な診断をサポートします。

脳脊髄液ダイナミクス定量化処理の流れ

今後の展望

当社は、造影剤を使用せずにCSFの流れる様子を可視化するMRI Time-SLIP動画像に対し、動画像解析技術を用いてCSFの流速を定量化する技術を開発しました。今後は、臨床データも含めてさらなる精度評価を進め、本技術の早期製品化を目指します。

(注) 厚生労働省 老健局. 2012年8月24日付報道発表資料 “「認知症高齢者の日常生活自立度」II以上の高齢者数について”
   http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002iau1-att/2r9852000002iavi.pdf (参照 2014-11-11)


  • 「研究開発センター」のトップへ
  • このページのトップへ