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AI Technology

複数台のカメラ映像から高精度に複数の人物の移動経路を同時に把握するAI技術を開発

2017年8月

概要

当社は、大規模施設などで複数箇所に設置された防犯カメラの映像から、高精度に人物ごとの移動経路を把握できるAI技術を開発しました。複数台のカメラ映像に映った人物の移動経路を少ない計算量で精度良く処理できるため、同時に複数の人物の移動経路を把握できます。本技術の成果は、画像認識関係の主要なシンポジウムである「第20回画像認識・理解のシンポジウム(MIRU2017)」にて8月8日にデモンストレーション発表を実施します。

開発の背景

現在、防犯カメラは世界で約2,800万台設置されていると言われており、犯罪の抑止や事件の解決などにも貢献していることから、その必要性は高まっています。さらに安全・安心な社会づくりに向けて、顔認証や人物検知などの画像認識技術を活用した高度な防犯ソリューションの実現が期待されています。このようなニーズに対応するため、カメラ映像から人物の年齢・性別などの属性や行動を解析することが求められています。従来は、1台のカメラの視野内で人物の属性や行動を把握していましたが、大規模施設などでは複数箇所に設置されたカメラ映像間で同一人物を関係付けて把握する必要があります。同一人物であってもカメラごとで見え方が異なるため複数のカメラ間で同一人物を精度良く関係付けることは難しく、複数人物の移動経路を取得する場合の組み合わせ数は膨大となるため計算量における課題もありました。

本技術の特徴

当社は今回、次の3つの特徴をもつAI技術を開発することで、複数のカメラに映し出された人物ごとの移動経路を少ない計算量で精度良く取得することを可能にしました。

(1) ロバストな特徴量(注1)抽出を実現

人物画像から特徴量を抽出するための基本情報となる輝度・色の情報量を増やしたことで(マルチチャネル化)、場所の明るさやカメラごとの設定の相違に影響されることなく特徴量を抽出できます。また、カメラ映像を複数ブロックに分割し(マルチレイヤー・ブロック分割)、分割されたブロックごとの色分布を考慮することで(ヒストグラム特徴量の導入)、人物の姿勢などにも影響しないロバストな特徴量の抽出を実現しました。

(2) 複数の人物画像から特徴量を同時に抽出することで計算量を大幅に削減

カメラごとの映像から各人物を追跡し、得られた複数フレームの人物画像から特徴量を同時に抽出することで、人物同士が重なっている場合でも精度の高い特徴量の抽出を実現します。この結果、フレーム1枚ごとに特徴量を抽出する場合に比べて計算量を削減し、特徴量抽出時間を2.3倍高速化しました(注2)

(3) 複数カメラ間で全体を考慮して同一人物を判定

複数個所に設置されたカメラ映像間で同一人物同士が関係付けられるように最適な組み合わせを選択する類似度算出を行うとともに、同一画面上に同一人物は2人以上存在しないという制約条件を導入し、複数カメラを連結して1つのシステムであるかのようにクラスタリングを行いました。この結果、同一人物判定精度を向上させるとともに類似度算出処理を大幅に高速化し、従来技術と比較して1300倍の同一人物判定時間の高速化を実現しました(注3)
また、当社は、公開画像データベース「CUHK03(注4)」での評価を実施し、既存技術に比べて精度が向上することを確認しました(注5)。さらに、複数カメラ間での同一人物判定の大幅な計算量を削減できたことで、複数人物の個々の移動経路について、ほぼ実時間で推定結果を得ることができます。

<デモ動画>
*本動画は、事前に許可を得て撮影した映像を使用しています。
*個人情報保護の観点より、一部映像を加工して公開しています。

※再生ボタンをクリックすると、YouTubeに掲載している動画が再生されます。
※YouTubeは弊社とは別企業のサービスであり、各サービスの利用規約に則りご利用ください。

今後の展望

当社のコミュニケーションAI「RECAIUS™(リカイアス)」への本技術の搭載を2018年度中に目指します。
本技術により、大規模な施設内において、迷子・要注意人物などの特定人物の移動経路や現在地を検索できることで監視業務の省力化が可能になります。また、「男性がよく立ち止まる施設内の場所」といった人物の属性情報の統計解析によるマーケティングへの利活用も検討していきます。

* 本技術の実用化に際しては、個人情報保護法の遵守やプライバシー保護のために、顧客とともに適切な対策を実施します。

 東芝コミュニケーションAI「RECAIUS™ (リカイアス)」について

音声や映像から人の意図を理解しビジネスと生活の安心・快適な活動をサポートするサービスです。東芝が長年にわたり研究開発してきた、音声認識、音声合成、翻訳、対話、意図理解、画像認識(顔・人物画像認識)などのメディア知識処理技術(メディアインテリジェンス技術)を融合し体系化しました。RECAIUS™は、新しいライフスタイルやビジネスの創出に貢献します。
RECAIUS™(リカイアス)ホームページ:http://www.toshiba.co.jp/recaius/

*RECAIUS™は、東芝デジタルソリューションズ株式会社の日本またはその他の国における登録商標または商標です。
*その他、本サイトに記載されている社名及び商品名はそれぞれ各社が商標または登録商標として使用している場合があります。

(注1)入力された画像にどのような特徴(色や形状など)があるかを数値化したもの。

(注2)当社調べ。

(注3)当社調べ。

(注4)http://www.ee.cuhk.edu.hk/~xgwang/CUHK_identification.html
複数台のカメラで撮影した1,360名、13,164枚の公開画像データベース。

(注5)当社方式は、84.8%の精度を達成。


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