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知能化システム

鉄道会社向けの列車遅延リスク評価アルゴリズムを開発
−列車遅延リスクを正確に演算することでダイヤの乱れを削減、
乗客の利便性・満足度の向上と鉄道会社の負担軽減に貢献−

2019年10月07日
株式会社東芝

当社は、鉄道会社がダイヤ作成の際に活用できる、大規模・過密な鉄道ダイヤの全ての列車の遅延確率を高速かつ正確に算出する列車遅延リスク評価技術を開発しました。本技術により列車遅延リスクを低減することが可能となり、鉄道会社の経営効率の改善につながる運行計画の作成を実現します。遅延リスクの低減は乗客の利便性を高め、鉄道利用における総合的な顧客満足度の向上に貢献します。

鉄道の遅延は、目的地への遅れだけでなく駅での混乱につながり、乗客の利便性・満足度低下の大きな要因となっています。我が国の鉄道・バス利用者が感じる不満要因(注1)では、「運行本数が少ない」(32.3%)に次いで、「遅延する」(17.7%)は第2位に挙げられています。特に、後続列車への遅延波及が累積して生じる2次遅延が問題となっており、ラッシュ時には、特に乗降客が集中する駅での混乱につながります。大きな2次遅延は稀にしか発生しないものの、一度発生するとダイヤが大きく乱れるため、列車遅延リスクを予め正確に評価・予測し、ダイヤ通りに運行することは重要な課題となっています。

従来は、遅延シナリオを想定して、何度もシミュレーションを繰り返して2次遅延評価を行う技術が主流でした。しかし、稀にしか発生しない大きな2次遅延を正確に評価するためには膨大なシミュレーションが必要となり、鉄道会社の時間・費用負担が重くなっていました。一例として、0.01%の確率で発生する事象の再現には、少なくとも数万回程度のモンテカルロシミュレーション(注2)が必要となります。

そこで当社は、膨大なシミュレーションを行わなくても、高速かつ正確に列車の遅延確率を算出できる列車遅延リスク評価アルゴリズムを開発しました。本アルゴリズムは、実際の運行パターンやダイヤの発着時刻の情報を元に確率伝搬モデル(注3)を作成し、実際の運行実績を学習させることで2次遅延確率の計算精度を向上させることができます。さらに、2次遅延確率の値を、確率伝搬モデルに基づく数式から導出しているため、モンテカルロシミュレーションで必要とされる膨大なシミュレーションを行わずに2次遅延確率を計算することができます。
本アルゴリズムを用いることで、実際のダイヤをはじめさまざまなダイヤ候補ごとに、各列車の各駅での2次遅延確率や遅延時間を見積もり、列車遅延リスクを高速かつ適切に評価することができます。列車遅延リスクを織り込んだダイヤを作成することで、ダイヤの乱れを削減することが期待できます。

なお、本技術は2019年9月、東芝デジタル&コンサルティング株式会社が英国で進めているコンサルティング事業(注4)に採用されました。
当社グループは、製造業として永年にわたり培ってきた幅広い事業領域の知見や実績と、情報処理やデジタル・AI技術の強みを融合し、世界有数のサイバー・フィジカル・システム(CPS)テクノロジー企業への変革を目指しています。列車遅延リスク評価技術をはじめとする鉄道スケジューリング技術は、CPSを具現化するテクノロジーの一つです。
今後は、本技術をさらに発展させ、運行計画作成のさらなるデジタル化に貢献してまいります。

図1:2次遅延分布の精度を上げることで、乗客の利便性や鉄道事業者のメリットを評価

(注1)鉄道・バスを利用する方が感じる不満要因
内閣府「公共交通に関する世論調査」(平成28年度)。
https://survey.gov-online.go.jp/h28/h28-kotsu/index.html

(注2)モンテカルロシミュレーション
シミュレーション対象の現象に対して、その入力に乱数を与えて出力値を観測する手法。

(注3)確率伝搬モデル
各列車の発・着・通過の事象と、その間の遅延の波及関係をネットワークで表し、各駅の2次遅延確率をネットワークに沿って計算するモデル。

(注4)東芝デジタル&コンサルティング株式会社が英国で進めているコンサルティング事業
東芝デジタル&コンサルティングCPS技術を活用した鉄道運行計画作成の取組開始で合意した。
https://www.toshiba-sol.co.jp/news/detail/20190910.htm


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