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研究開発センター

学生の皆様へ

研究者紹介

第一線で活躍している研究者と研究をご紹介

“大画面の映像を質感溢れる描写にする” 4k2k高画質化技術 齊藤 佳奈子 / マルチメディア部門  2007年入社 情報数理科学専攻

研究の内容:質感の再現性を向上させる技術

東芝は昔から超解像技術を研究しています。これまでは主に画像の鮮鋭感、クッキリ感をターゲットにしてきました。超解像で大幅な画質向上を達成しREGZAにも搭載されています。私は、超解像のさらに先、人が画像に何を求めるのかをつきつめて考えました。より細かな所のテクスチャを再現することで、被写体が持つ質感を復元できないかというテーマに取り組んでいます。
ここでいうテクスチャとは被写体表面の微細な振動成分を指します。撮影や画像圧縮の際に最初に失われてしまう成分です。どうやってこの成分を推定して復元しようかと悩んでいたときに思いついたのが、フラクタルと呼ばれている自己相似性の考えです。画像を縮小すると、元画像のテクスチャ特徴を反映し、しかも、細かいとてもきれいなパターンが現れます。縮小画像を見ながら「このきれいな成分をどうにかして使えないかなあ、ここにあるのに!」と思ったのがきっかけです。画像を拡大したときに、そのパターンを変えずに再生する方法を考えたところ、テクスチャを再現するアイディアにつながりました。

提案手法の図

会社について:家族や友だちに成果が届く仕事

研究テーマを考えるときは、最初は先輩や同僚に相談しながら、それぞれアイディアの種を生み出して育てます。芽が出て上司に見せて、よいとなったら、いろいろな人にデモを見せる機会が増えて、徐々に使える技術に育っていきます。今回、この技術について北海道で行われた学会で発表しました。特許も出し、万全の体制で発表に臨みました。沢山質問もいただきました。東芝の新しい画像処理技術だからでしょうか。多くの方に興味を持っていただきました。
学生の時は、タンパク質の結晶化状態を自動で判定する研究に携わっていました。将来、ゲノム創薬などの形で私たちの生活に役立つ研究でした。企業に入社したのは、家族や友だちに研究の成果が直接届くような仕事がしたくなったという理由からです。学生時代の研究に比べると今の研究テーマは近い将来に製品化される可能性があります。いろいろな人に届けられる技術だと思っています。

毎日の生活:背景の異なる技術にも目を向ける

私が縮小画像にあるテクスチャを活かせないかと悩んでいたら、職場の先輩から、自分がやってみたいことをポンチ絵でいいから書いて机の見える所に貼っておくと進展するかもよ、というアドバイスをもらいました。そこで「小さな画像をきれいに拡げたい」というアイディアを書いて、机のわきに貼りました。そのタイミングで、職場の有志で行っている勉強会に出たら、気になる技術が掲載された論文と出会いました。コンピュータグラフィクス(CG)で使われるテクスチャ合成という技術で、限られた大きさのテクスチャ画像を使って任意の大きさの自然な画像を作り出す手法を紹介したものです。つまり、テクスチャの自然さを活かし、かつ、小さなテクスチャを拡大することができます。この論文が大きなヒントになりました。ちょっと違うジャンルの技術にも興味を持つことは大切だと思いました。
お休みの日は、お客様を呼んでホームパーティをすることがあります。前日からお料理して、当日は昼間から飲んでしゃべって楽しみます。うちは社内結婚で、お互いの職場にも知り合いが多いので、社内の人もたくさん来てくれます。週末にわいわい話をしながら、別の立場の人の意見を聞けるのでよいですね。海外旅行も好きです。もちろん、何もしない週末を作ってのんびりすることもあります。仕事で全力を出すためにも、週末にしっかりリセットしようと思っています。

齊藤 佳奈子の写真 齊藤 佳奈子の写真 齊藤 佳奈子の写真 齊藤 佳奈子の写真

学生の皆さんに一言

学生の皆さんに一言!『何でも良いのでひとつやり抜くことが大事だと思います。』

どんな小さな成果でも良いので、自分なりにしっかり体験して欲しいですね。たとえば、研究でも、最初はアイディアが浮かばなくてすごく辛い思いをして、そこからちょっと光が差し込んだ時の高揚感があって、目標を達成した時の感動があります。そういった経験があれば、その人の言葉や表情に自信のようなものが現れると思います。ひとつやり切って、何かを感じてください。

  • 杜塚 芙美:ecoチップ™
  • 神田 充:スマートグリッド向け通信セキュリティ技術
  • 藤村 浩司:音声認識技術
  • 齊藤 佳奈子:4k2k高画質化技術
  • 保中 志元:HDDヘッドの制御技術